216.無念の晴らし方
散歩中の高齢者が、異様な光景を見た。
トラックとトラックが正面衝突し、大きな音と共に、悲鳴が聞こえたのだ。
何故人形がと思っていると、人間サンドが出来てしまったのだ。
========== フィクションです ===========
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※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。
だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。
懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。
実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。
従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。
大会議室は、特殊捜査チーム専用である。
事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。
俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。
課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。
この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。
※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。
※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。
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前回のあらすじ。
散歩中の高齢者が、異様な光景を見た。
トラックとトラックが正面衝突し、大きな音と共に、悲鳴が聞こえたのだ。
何故人形がと思っていると、人間サンドが出来てしまったのだ。
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午後3時。町谷家の近く。
大曲先輩は、わざと『怨恨』の話をして、ご近所回りをした。
すると、一箇所に集まっていた主婦は、こう言った。
「殺されて当然よ。」
え?
「何故ですか?」先輩は、当然のことを言った。
「あんな危ないモノを野放しにして。こっちは免許要りますが、こっちは要りません。皆要らない方買って乗るでしょう。」
「昔、手こぎのアレ、流行った時、事故が増えたわ。オモチャの扱いだったけど、廃れたのは、安全じゃないから。」と、高齢者の主婦が言った。
「お義母さま、平成生まれだから知らないのよ、あの完了様達は。」と、嫁らしき主婦が言った。
「国交省の大臣も、あの人達もスパイなのよ、スパイ。あの国の。だから、馬鹿な法律作った。」
「今年、交通法、新しくなったでしょ。歩行者や車のドライバーには厳しいけど、『走る凶器』はお構いなし。」
「この間、駐在さんが住民調査に来たから、言ってやったら、部署が違うので、だって。刑事さんはどうなの?」
大曲先輩は、伝家の宝刀を出した。
いきなり土下座した。
「申し訳ありません。部署は違えど、お怒りは充分理解出来ます。警視総監の代わりにはなりませんが、下っ端の私は、取り敢えず謝罪致します。」
俺は、いつの間にか習って土下座していた。
村松がいなくて良かった。
話がややこしくなる。
午後3時半。町谷家。
待ち構えていたのは、予備校生の息子だった。
「見てました。刑事さん、土下座するんですね。ドラマみたいだ。」
「いつも、君は苦情言われていたの?」
「なるべくご近所とは顔を合わさないようにしていました。SNSで知ったらしく、父や宍戸さんのことは、皆知っています。警視庁から連絡がありました。アルバムと葉書ホルダーは用意してあります。家宅捜索して貰ってもいいですよ。あ、書斎は、この部屋です。」
大曲先輩は書斎に入り、俺は、一通り見て回った。
息子の寛司君の部屋も、クローゼットも物置も。
「去年、母が亡くなって、父子家庭。なるべく汚さないようにはしています。・・・父は、大学も官庁も、1年先輩の宍戸さんの言うことには逆らえ無くて。」
「じゃ、交通規則の変更も、宍戸さんが主導していたの?」
「はい。宍戸さんは、お子さんやお孫さんがおられないから、机上の論理を押し通して、その・・・隣国の業者に・・・。」
「便宜を図っていたか。」
「お父さんは、君の事もあって、我慢していたんだね。」
「多分。」
書斎に戻ると先輩は。「寛司君、大木って、オンナの人、知ってる?」と尋ねた。
寛司君と俺は、葉書や住所録を探したが、無かった。
「町谷さんの知り合いではないが、メールで呼び出されている。事件の前の日に。」
「すると・・・。」
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午後4時半。捜査一課。第二応接室。
村松が報告した。
「宍戸家はマンションで、引っ越したばかりで、ご近所の交流がありませんでした。」
皇係長は、替わって言った。「別居中の奥さんが出て来ていましたが、不機嫌でした。子供がいないので、離婚調停中だったらしいです。で、別居の原因は、愛人でした。大木ひかる、通称オーキー・フォン。隣国人です。サイバー犯罪課にも回しましたが、かなり役所の情報漏洩をしていたらしいです。事件前日、大木から呼び出されています。詰まり、偽メールです。」
今度は倉田課長が発言した。
「発見者の、いや、目撃者の星川さんですが、小宮課長から、家がもぬけの殻と報告があったので、電動スクーターによる事故を大仏課長の許可を貰って交通課のデータベースを調べたところ、一人の少年が、暴走電動スクーターによって死亡していることがわかりました。2年前です。星川さんの孫です。電動スクーターの免許化運動をしていました。ところが、法改正で天下御免になってしまった。」
「こっちも分かったよ。未来平安組の組長と星川龍太郎は幼馴染だ。今、別件で抑えた。」と、新垣課長が言った。
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午後5時半。捜査一課横の大会議室。『人間サンド殺人事件』本部。
取り調べ室から、小宮課長、倉田課長、新垣課長、大仏課長、皇係長、大曲先輩、蘭子、管理官が出て来た。
小宮課長、倉田課長、新垣課長、大仏課長、皇係長はすぐに出て行った。
「ホシは、未来平安組の馬場弘、宮前守、大迫仁志の三名が実行犯。依頼主は、発見者を装った星川だった。星川龍太郎は、未来平安組の組長安井健に依頼し、目の前で殺害し、発見者になった。その星川だが、元国交相大臣の住むマンションから、元大臣と一緒に飛び降り自殺をした、と連絡が入った。目撃者もいる。事件は終わった。これから、井関警視監と記者会見に向かう。」
午後7時半。眩目家。
蘭子はベランダに出たが、すぐに戻って、閉めた。
「さあ、もう邪魔する者はいない。だよね、真吉。」
俺は、震える手で、上着のボタンを外した。
覚悟は。。。出来ている。
―完―
※今回の登場人物(順不同)
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。
新垣舞・・・捜査四課(仮)課長。
赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。
倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。
小宮孝・・・警備課課長。
大仏俊吉・・・交通課(交通捜査課)課長。
皇信也・・・捜査一課第二係係長。警部。
井関一郎・・・警視庁警務部監察官。
名も無き殺し屋・・・???




