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215/222

215.人間サンド殺人事件

高齢者は迷ったが、119番通報をした。

10分もしない内に、最寄りの救急車が到着したが、すぐに事件性があると判断した救急隊員は、警察に連絡した。


 

 ========== フィクションです ===========

 =================================

 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。

 この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。


 ※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。

 ※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。


 ===========================

 午前8時。ある市道。

 散歩中の高齢者が、異様な光景を見た。

 トラックとトラックが正面衝突し、大きな音と共に、悲鳴が聞こえたのだ。

 トラックは2台とも燃えてはいない。

 だが、挟み込まれた人間から出た血が道路に出て来た。

 高齢者は迷ったが、119番通報をした。

 10分もしない内に、最寄りの救急車が到着したが、すぐに事件性があると判断した救急隊員は、警察に連絡した。

 2台のトラックに挟まれたのは2人いた。その内1人は、まだ息がある。

 3人がかりで、その人をトラックと電動スクーターから外し、ストレッチャーに乗せた。

 機捜と鑑識が到着した。

 救急隊員は、後の処理を、機捜の赤井警部補に任せた。


「人間サンド。」思わず言った秋野に智子の罵声が飛んだ。

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。」

 赤井の部下と、鑑識課員で、もう一人をトラックから離した。

 2人の人間は、ワイヤーでトラックのバンパーに固定されていた。

「主任。この道路、ちょっと見は水平に見えますが、緩やかな坂です。それと、サイドブレーキに細工がありました。時限装置です。詰まり・・・。」

「詰まり、駐車しているトラックに向かって衝突するように細工されていた、ということか。通報してくれたのは、ええと、星川さんでしたね。星川さんが見かけた時は、まだ生きていたことになりますが。」

「老眼で、人間が貼り付いていることは、その瞬間は分かりませんでした。ああ、トラックが駐まっているな、と思ったのと、人形かと思ったんです。なんで人形がと思っていると、後ろから音がして・・・危うく、もう1台のトラックに轢かれるところでした。」

「分かりました。後で捜査担当の刑事がお伺いすると思いますので、連絡先を教えて頂けますか。」

「はい。」



 =================

 ====================

 午後1時。捜査一課横の大会議室。『人間サンド殺人事件』本部。

 事件の名称は、仮称であり、正式には記号と番号の固有番号で資料管理されている。

 飽くまでも、捜査員達の、他の事件と混同しないための名称で、俗に、『戒名』と呼ばれている。従って、妙な戒名も許されるが、このチーム内でのことだ。

 管理官が説明した。

「ガイシャは、宍戸太郎氏、町谷圭介氏。2人とも、国交省の元官僚だ。宍戸氏は、事件直後亡くなっている。一方、救急車で運ばれた町谷氏は重体だったが、1時間前に亡くなられた。発見者、いや、目撃者の星川龍太郎氏によると、トラックAがバンパーに人形らしきモノをつけて駐まっていた。そこへ、緩やかな坂を下りてきたトラックBが衝突し、星川氏の前で、人間サンドが出来上がった。血が流れているのを見た星川氏が119番通報した。だが、残念ながら死亡した。井関さん。」

「ワイヤーで人間を固定し、更に、電動スクーターを有刺鉄線で固定。衝突の反動で体に食い込む。即死せずとも外傷は大きい。相当な怨恨だ。それと、彼らの胸ポケットには名刺が入っていた。偽の名刺だが、名前は合ってる。調べたんだろうな。」

「今、井関警視監が、国交省に問い合わせているが・・・。」

「呼んだ?」と、入って来たのは、酒井優香だ。すっかり警察の人間だ。

「ドローン使えば簡単だけど、ホシ、はレトロに拘ったのね。宍戸も町谷も、前の総理の時代の国交省のお役人様。大臣に、『免許が不要な電動スクーター(特定小型原付)』の枠を作らせた張本人。はっきり言って、隣国のスパイ。隣国に行って『体中の脱毛』してきたか、『玉手箱』を開けてしまったのね。何、眩目くん。不倫したいなら、奥さんの許可執ってね。」

「ん、んん。で、彼らが、こんな目に遭う交通事故は?」

「5件。死亡は、1件。」

「じゃ、その死亡した人の身内、かな?」と大曲先輩は言った。

「一応、二課と四課にも調べて貰っている。」

「呼んだ?」と神道課長が入ってきた。

「今、神道の仕事は早いって、褒めてたとこだ。」と蘭子は、心にもないことを言った。

「そりゃあ、どうも。関係あるかどうかは未定だが、電動スクーターに反対しているのが、八坂総合辛苦KK。井関さん、挟まってた電動スクーター、どこ国製品ですか?」

「隣国製品。尤も、8割は隣国輸入品か、工場が隣国。」

「呼んだ?」と、入って来たのが、新垣課長。

「その隣国と自転車提携しようとしているのが、米沢米子組。関係してたら潰すぞって、『注意』しておいた。」

 多分、注意でなく、脅しだろう。

 旧捜査四課は、反社の世界では『桜田門組』と呼ばれているそうだ。

 当たっている。

「じゃ、それぞれの『怨恨』は頼む。素人には起こせない事件だ。国交省の方は、辻さん達にお任せします。餅屋係長のチームに手伝って貰ってください。大曲達は、町谷家、皇係長のチームに宍戸家に行って貰う。村松は宍戸家に行け。」

「「「了解。」」」


 午後2時半。クルマの中。

「怨恨かあ。凄まじいですね。」

「うん。」


 午後3時。町谷家の近く。

 大曲先輩は、わざと『怨恨』の話をして、ご近所回りをした。

 すると、一箇所に集まっていた主婦は、こう言った。

「殺されて当然よ。」


 え?


 ―「捜査一課ですけど、216」につづくー


 ※今回の登場人物(順不同)

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。

 秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。


 神道助六・・・捜査二課課長。警部補。

 新垣舞・・・捜査四課(仮)課長。


 赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。

 酒井優香・・・サイバー犯罪対策課課員。


 皇信也すめらぎしんや・・・捜査一課第二係係長。警部。

 餅屋重樹・・・捜査一課第一係係長。警部。

 関口寛也・・・捜査一課第三係係長。警部補。


 井関一郎・・・警視庁警務部監察官。


 ※「電動スクーター」には、「運転免許不要」のものと「運転免許必要」のものがあります。物語に出てくるのは前者のものです。


 クライングフリーマン



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