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214/222

214.イクラ何でも殺人事件

部下の報告を受け、駐日大使は、真っ青になった。

大使館前に、遺体が放置されていたからだ。


 

 ========== フィクションです ===========

 =================================

 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。

 この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。


 ※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。

 ※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。


 ===========================

 午前8時。明日國神社。

 遺体を発見したのは、神職だったが、警備員が確認に来ると、遺体は無かった。

 だが、血痕は残っていた。神職は、遺体の人物に心当たりがあった。

 元々は与党移民党の議員で、その後一心の会に移り、一心の会と移民党が連立を組んだjことで、また与党に帰って来た議員だ。

 離党前は、琉宇列島国との癒着の、黒い噂のあった議員だ。

 先日、琉宇列島国が『北端領土』内に、我が物顔で上陸していることにも激怒し、隣国の『目が空発電』にも苦言を呈していた。政府は、『再エネ計画』そのものを停止はしたが、再エネ推進金は、中止も没収もされていないので、廃案を提言していた。


 午前9時。隣国大使館。

 部下の報告を受け、駐日大使は、真っ青になった。

 大使館前に、遺体が放置されていたからだ。


 警察に直接通報が来て、機捜と鑑識が到着したのは、30分後だった。

「おい。赤井。国際問題だからな、『慎重に』調べようぜ。」と、井関は言った。

「権さんの言う通りだ。『丁寧な』仕事しないと、『赤い』人達が激怒するからな。」と、赤井警部補は言った。


 =================

 ====================

 午後1時。捜査一課横の大会議室。『隣国大使館死体遺棄事件』本部。

 管理官が説明した。

「ガイシャは、薄野すすきの日根男。一心の会の国会議員だ。最近、『目が空発電』は廃止すべきだと発言して、多くの反政権議員に『裏切り者』と罵られているようだが、ここまで・・・井関さん。」

「遺体は、絞殺の上、イクラや数の子が口に詰められていた。死んでるのなら、綿でいいのにな。」

「父さん。笑えない。」

「済まん済まん。有名人だが、自分の名刺が入った財布がポケットにあった。多分、金は抜き取られていない。名刺は念の為、指紋照合に回すとして、管理官。最初は明日國神社で見つかったとか。血痕があったから、神職が幻を見た訳ではない。別班の者を向かわせたが、そっくりさんでも無い限り、何者かが議員の遺体を移動させたことになる。」

「まだ、仮説ですが、恐らくホシと、遺体移動させた者は別じゃないか、と思います。目的は分かりませんが、議員は有名人です。どこに遺棄してもインパクトがあるでしょう。辻さん達は一心の会を当たってください。餅屋係長のチームには、移民党に行って貰います。警備課に野党の動きを監視して貰いましょう。薄野家には、大曲達が行け。村松はご近所さんだ。議員の評判より、不審車両の目撃者だ。」

「「「了解。」」」


 午後2時半。クルマの中。

「目が空発電』は廃止って、思い切ったこと言ったんですね、先輩。」

「正義の言葉だと思うか?カモフラージュだよ。薄野は、琉宇列島国側のスパイだ。野党の連中と反政権移民党議員は隣国側のスパイだがな。」

「詳しいですね、大曲先輩。」と、村松が言った。

「実はな、村松。俺もスパイだ。開光蘭子に時給100円で雇われている。」

「「安っ!!」」


 午後3時。薄野家。

 夫人の咲子が首を吊ろうとしていた。

「待った待った。」

 俺と先輩は、慌てて止めた。

「お気持ちは、お察しします。ご主人を殺めた犯人を捜すのが、先決です。何もしないで、追い掛けたら、叱られますよ。確か、大、恋愛結婚ですよね。」

「顔を洗ってきます。」

 アルバムを見せて貰ったら、仲のいい3人組が出て来た。

「中学の同級生なんです。私も、彼らも。こっちが仙道くん、こっちが米田くん。米田くんは。10年前、がんで亡くなりました。主人も大分励ましたんですけどねえ。」

「お気の毒に。」

「仙道くんは、地元青森で市会議員をやっています。」


 アルバムと葉書ホルダーをお預かりして、薄野さんの書斎に戻った。

「奥さん、この方、ご存じですか?」

「グラビアアイドルの伊倉冴子さんです。年甲斐もなくとお思いでしょうが、地元青森の出身で、主人の後援会にも入っています。陰ながら応援していたようです。」

「なるほど。眩目。メールの受信歴から、薄野さんに生前最後に会った人物が分かった。伊倉さん、だ。」


 午後4時半。第二応接室。

「不審車両、見かけた人がいました。2ドアなので、クーペだろうと。」と、村松が報告した。

「伊倉さんは、事務所によると、一昨日から行方が掴めないそうだ。至急、届を出すよう、溝内さんに言っておいた。」と、蘭子が言った。

「管理官は?」と、大曲先輩が尋ねると、「井関警視監と、記者会見だ、ゴマの蠅相手に。」と、蘭子はにべもなく応えた。

 その時、館内電話が鳴り、蘭子が出た。

「移送に使ったらしい軽トラが発見された。ガラス店の盗難車両だ。」


 午後7時。眩目家。

 新垣課長から、電話が入った。

 俺はスピーカーをオンにした。

「横浜の三国魂組が隣国マフイアと『仲直りの話し合い』をするとういうタレコミがあった。神奈川県警と別件で殴り込みだ。来るか?」

「今、亭主とお楽しみ中だ。」

「邪魔したな。」

 電話は切れた。

 蘭子は「食後のデザートは美味しいよね。」と言いながら、衣類を脱ぎ始めた。

『公約』は守る、ということだ。


 ================

 翌日。午前10時。捜査一課。

 生活安全課の溝内課長から、開光蘭子に館内電話があった。

「グラビアアイドルの伊倉冴子が保護を求めて来ました。」


 ===========================

 午後4時。捜査一課横の大会議室。『隣国大使館死体遺棄事件』本部。

 取り調べ室から、溝内課長、皇係長、餅屋係長、関口係長、倉田課長、小宮課長、新垣課長、大曲先輩、蘭子、管理官が出て来た。

 表からは分かり辛いが、第二応接室と呼んでいる取り調べ室は意外と広い。

 取り調べの時は、大抵、俺は参加させて貰えない。

 以前、蘭子に不平を言うと、『寝物語の楽しみ』にとっとけ。」と言われた。

 溝内課長、皇係長、餅屋係長、関口係長、倉田課長、小宮課長、新垣課長は、すぐに出て行った。

 管理官が説明した。

「ホシは、横浜の三国魂組の村治圭介、大簗永幸、九重修汰。グラビアアイドルの伊倉冴子さんを囮にして、ガイシャを呼び出した。そして、絞殺。口の中のモノは、洒落、らしい。奴らは、計画通り、明日國神社に遺棄した。現政権への批判と見えるように。ところが、計算違いというか、想定外の事が起こった。こともあろうに隣国大使館前に遺体は移送されていた。隣国マフイアは、実行犯である三国魂組に抗議をした。三国魂組は、取引を持ちかけた。伊倉冴子さんだ。その伊倉冴子さんは、何者かに救出され、警察に保護を求めてきた。反社は一網打尽。全ては、現政権を倒す為の布石だった。タクアン国や仙石諸島のレアアースを入手する為には、現政権を言いなりにするしかない。焦っているんだ。今、総理が『遙拝』をされた、と報せが入った。色んな所で、『天網恢恢疎にして漏らさず』、いや、『取らぬ狸の皮算用』、かな?記者会見に行ってくる。」


 午後6時。眩目家。

 蘭子は、帰宅後すぐにベランダに出た。

 そして、すぐに戸締まりした。

「たまに見るけど、何かの儀式?」

「遙拝、したのさ。」


 遙拝?、明日國神社の方角だっけ?


 ===================

 午後6時。眩目家のマンション外。

「あいつ、なんで二拝二拍手一拝してやがる。俺は神様じゃないぞ。」

 黒ずくめの男は苦笑した。


 ―完―


 ※今回の登場人物(順不同)

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。

 秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。


 神道助六・・・捜査二課課長。警部補。

 新垣舞・・・捜査四課(仮)課長。


 赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。

 倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。

 小宮孝・・・警備課課長。

 溝内健児・・・生活安全課課長。


 皇信也すめらぎしんや・・・捜査一課第二係係長。警部。

 餅屋重樹・・・捜査一課第一係係長。警部。

 関口寛也・・・捜査一課第三係係長。警部補。



 名も無き殺し屋・・・???

 ※神社での一般的な参拝作法である「二礼二拍手一礼(正しくは二拝二拍手一拝とも呼ばれます)」は、神前で姿勢を正し、深くお辞儀を2回、手を胸の高さで合わせて右手を少しずらして拍手を2回打ち、祈願した後に深くお辞儀を1回する手順で行います。

 遥拝ようはいとは、遠く離れた場所から、神仏や神社、皇居などの尊い対象がいる方向を慕い、はるかに拝むことです。現地に行けないときに行います。




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