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213.瓢箪から駒

「『〇〇政権をぶっ潰してやる』。これ言ったのが、ここの社員とすると・・・。」

鑑識課員が苦労してマスクを剥がすと、『その』社員だった。


 

 ========== フィクションです ===========

 =================================

 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。

 この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。


 ※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。

 ※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。


 ===========================

 前回のあらすじ。

 警備員吉村が熱中症だと思った、コスプレの人物は死体だった。いくつもの小型カメラがマントに貼り付いている異様な姿だった。。

 山谷は、一目見て、「藤田、現場保存、吉村、社内に連絡。従業員は裏口からの出入り。避難誘導。」そう言って、すぐに110番通報をした。

「『〇〇政権をぶっ潰してやる』。これ言ったのが、ここの社員とすると・・・。」

 鑑識課員が苦労してマスクを剥がすと、『その』社員だった。


 =================

 ====================

 午後4時半。被害者湯川弘毅の家。

 ガイシャの書斎に戻ると、大曲先輩は言った。

「お兄さん。わかこって女性、ご存じですか?」と、先輩は尋ねた。

 湯川さんは、さっき見ていた方のアルバムから、付箋を貼った。

「3人、います。足立和歌子、沙月若子、下田和佳子。」

「先輩、それは?」

「被疑者。」

「「ええっ!!」」

 俺と湯川主水さんは驚いた。

「『わかこ』に騙されたかも知れない。今夜、会いに行こう。そういう文章が日記らしきファイルに書いてあります。」

「じゃ、先輩。」

「メールのやりとりの中で、頻繁に出てくる相手が、『わかこ』。眩目。葉書ホルダーは?」

 湯川さんは、すばやく葉書ホルダーから、該当者の葉書を出した。

 大曲先輩は、その葉書を写真に撮り、写メを蘭子に送った。

「お兄さん、このPCもお借りしていいですか?3人の居場所を確認したいので。」

「了解しました。3人の内、下田さんは先月亡くなりました。外していいと思います。」


 午後5時半。捜査一課。第二応接室。

 皇係長が言った。「湯川という男は、同業他社でもあまり聞いたことがない、という小物。前回の記者会見も初めてだったらしいです。」

 続いて、辻さんが言った。「昔風に言えば、『内弁慶』タイプ。こちらも小物扱いです。」

「『虎の威を借る狐』か。虎は誰かだが、半グレで、新聞社の乗っ取りを企んでいる会社がある。」と、神道課長が言い。「闇サイトで派手に動いているのが、大下信奉研究会社です。」と、倉田課長が言った。酒井優香が見付けたのかな。

「点、は見つかったな。線は?」と、蘭子が言うと、蒔さんが、「速計新聞社に出入りする広告代理店に、沙月若子がいました。辻さんに言われて、出入り業者の名簿を会社に出して貰ったんです。渋ったので、『故人の魂が救われなくてもいいのか』って言ったら出しました。それで、大曲くんが持ち帰った名前で、業者に確認したんです。」と、応えた。

「蒔は、成長したでしょ、課長。」と、辻さんが押した。

「確かに。よし。警備課に協力して貰って、沙月の張り込みだ。」


 ==========================

 午後7時。大下信奉研究会社。

 捜査二課と薬物銃器対策課の刑事が、麻薬取締法の『麻薬所持』の容疑でガサ入れした。

 部件の筈が、『瓢箪から駒』だった。沙月若子は社長のオンナだった。

 ===============

 =====================

 翌日。午後1時。捜査一課横の大会議室。『新聞社社員死体遺棄事件』本部。

 取り調べ室から、皇係長、餅屋係長、関口係長、神道課長、倉田課長、小宮課長、大曲先輩、蘭子、管理官が出て来た。

 皇係長、餅屋係長、関口係長、神道課長、倉田課長、小宮課長は、すぐに出て行った。

 管理官が説明した。

「ホシは、大下信奉研究会社社員の神田瑛人、友田悦夫。コスプレは友田の趣味らしい。そして、沙月若子。ガイシャは、ハッタリで『秘密を握っている』と沙月を呼び出し、返り討ちにあった。ガイシャのヤサを調べようとしたが、時期が悪かった。盆参りで、近所の親類のクルマが出入りしていて、彼らは断念した。ナフサ騒ぎした奴と同じで、湯川は小物だった。その内、警察が調べに来た。因みに、『〇〇政権をぶっ潰してやる』は、独り言で、具体的な計画なんか無かった。これから、記者会見に臨む。」


 午後6時。眩目家。

 夕方のニュース。管理官がいつになく強い口調で言った。

「黒幕はどこかは分かっている。ジャーナリストの諸君は、『ジャーマリスト』と揶揄される理由を考え、反省した方がいい。政府の中枢にいる議員を選んだのは有権者だ。君たちが選んだんじゃない。君たち好みの政治家達はね、負けたんだよ!!!!!!!」


「言うなあ。あ、これも口パク?」

「うん。上手く出来てるだろ?志摩さんの意志じゃなく、酒井の意志だな。これからは・・・。」

 俺はさつま揚げを蘭子の口に入れた。

「口パク。」


 股間にキックが入った。

 痛い。


 ―完―


 ※今回の登場人物(順不同)

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。

 秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。


 神道助六・・・捜査二課課長。警部補。


 赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。

 倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。

 小宮孝・・・警備課課長。


 皇信也すめらぎしんや・・・捜査一課第二係係長。警部。

 餅屋重樹・・・捜査一課第一係係長。警部。

 関口寛也・・・捜査一課第三係係長。警部補。


 山谷敬三・・・元警視庁警部補。今は警備会社警備隊長。



 ※題材になるような事件は発生しておりません。

 クライングフリーマン








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