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212/221

212.不用意発言殺人事件

吉村は、似た様な事件を思い出し、ぞっとした。

うつ伏せだった人物はアメリカのヒーローキャラ『BAKMAN』のコスプレをしていた。


 

 ========== フィクションです ===========

 =================================

 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。

 この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。


 ※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。

 ※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。


 ===========================

 午前9時。速計新聞社。玄関前。

 異変に気づいたのは、警備員吉村圭八だった。

 最初は、熱中症で倒れた人がいる、と思った。

 吉村は、似た様な事件を思い出し、ぞっとした。

 うつ伏せだった人物はアメリカのヒーローキャラ『BAKMAN』のコスプレをしていた。

 何故かマイクを口に咥えている。

 そして、いくつもの小型カメラがマントに貼り付いている。

 吉村は、相棒の藤田と山谷警備隊長を呼んだ。

 山谷は、一目見て、「藤田、現場保存、吉村、社内に連絡。従業員は裏口からの出入り。避難誘導。」そう言って、すぐに110番通報をした。


 20分後。機捜と鑑識が到着した。

「山谷さん。」

「ああ、ここも、ウチの管轄だ。旭日新聞と似ていると言えば似ているが・・・解決済だったよね。」

「はい。黒幕が共通しているのか、模倣犯なのか。」

「調べないと分からないですけど、これ、関係してますかね?」と、秋野はスマホのSNS画像を2人に見せた。」

「『〇〇政権をぶっ潰してやる』。これ言ったのが、ここの社員とすると・・・。」

 鑑識課員が苦労してマスクを剥がすと、『その』社員だった。


 =================

 ====================

 午後1時。捜査一課横の大会議室。『新聞社社員死体遺棄事件』本部。

 管理官が説明した。

「ガイシャは、湯川弘毅。速計新聞社社員。先日、総理の記者会見後、駐車場に向かう途中で、偶然撮影した者がSNSにアップして、大炎上している。以前にも某カメラマンが似たようなこと言って大問題になった。これは個人的意見だが、彼らは文字通り『回りが見えていない』から、『公に』発言してしまう。新聞社では、盆休みで連絡が取れない、と発表しているが、どんな盆休みだったのかな?井関さん。」

「まあ。問題発言者だからか、防犯用隠しカメラなどに使うカメラが沢山貼り付いていた。SDが入っていないから、データはない。きつい洒落だな。BAKMANは、系列テレビ局で、今夜放送。お悔やみの放送になるな。凶器だが、鼻孔から青酸が放り込まれている。こっちが調べる前に、山谷元警部補殿に指摘されたよ。この新聞社も管轄、だと。ニン!」

「辻さん達は、新聞社へ。村松も行って来い。性格の悪い奴は、女子社員の評判がいい。大曲達は、湯川家へ。御兄様が、千葉から向かっている。」

「「「了解。」」」


 午後2時半。クルマの中。

「やっぱり、悪い奴は、ごきぶり並にいるんですね。」

「よせ。ゴキブリが気を悪くする。村松、いないと寂しいか?」

「問題が違うと思います。旭日新聞の模倣犯ですかね。」

「手口はな。動機は違うだろうな。勘、だけど。」


 午後3時半。湯川家に到着すると、丁度湯川主水氏が合鍵で玄関を開けているところだった。

 張り番の所轄署警察官に黙礼して、「湯川さん、ですよね。」と大曲先輩は警察手帳を出した。俺も習って、湯川さんに見せた。

「暑いなあ。冷房入れますね。」

 湯川さんは、方々のエアコンのスイッチを入れた。

「2つ違いの2人兄弟。両親を早く亡くして、親戚たらい回し。それで、仲が良かったんです。これね、ストラップ、新しいのをやったら。予備の家の鍵に付けて寄越したんです。私の家、ここから少し離れているから、年に数回。先月、所謂『新盆』に会って依頼でしあた。で、何を協力するんでしたっけ?」

「弟さんのPCのチェックと、アルバムと葉書ホルダーがあれば。形式的なことですが、意外と犯人に辿り着くヒントになることもあるんです。」

「なるほどね。私、こういうのやってまして。」

 湯川さんは、気さくな性格らしい。名刺をくれたので見ると、タウン誌の編集長をやっているらしい。

「じゃ、PCは勝手に触って下さい。アルバムねえ。どこだったかな?」

 俺は、湯川さんについて行った。

 アルバムは、結構ボリュームがあった。

「学校関係は、こっち。箱に入れましょうか?」

「助かります。」

 ボリュームある方を開き、付箋を付けてくれた。

「これね、必需品なんですよ。付箋、発明したの、日本人って知ってます?」

「そうなんですか。」

「実は失敗作で、栞代わりに使っていたら、便利だな、って商品化されたらしいです。」

「へえ。」

「これがね、社員旅行の写真。若はげの人、いるでしょ。この人、鞍馬さん。貴方は眩目さん、でしたね。珍名さん?」

「ええ。かなり少数派らしいです。先祖の出自は聞いていないでけど。」

「でね、弘毅と同期で、出世して上司になっちゃった。」

「そういうのって、やりづらくないですか?」

「本人同士はどうでもないけど、その上の上司がね。弟も『不用意』なこと言ったのは事実だけど、ねえ。犯人はストレス貯まってたのかなあ。」

「そうかも知れませんね。殺人予告した訳じゃないのにねえ。」


 ガイシャの書斎に戻ると、「お兄さん。わかこって女性、ご存じですか?」と、先輩は尋ねた。

 湯川さんは、さっき見ていた方のアルバムから、付箋を貼った。

「3人、います。足立和歌子、沙月若子、下田和佳子。」

「先輩、それは?」

「被疑者。」

「「ええっ!!」」


 ―「捜査一課ですけど、213」につづくー


 ※今回の登場人物(順不同)

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。

 秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。


 赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。


 山谷敬三・・・元警視庁警部補。今は警備会社警備隊長。


 ※題材になる事件は起こっていません。

 クライングフリーマン







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