表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
210/222

210.私が犯人です

「重さ、と臭いだ。自分で棺桶を閉じることは出来ない。従って、他殺死体が入っている。」

「大正解でした。」


 

 ========== フィクションです ===========

 =================================

 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。

 この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。


 ※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。

 ※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。


 ===========================

 午前9時。旭日新聞社。玄関前。

 異変に気づいたのは、警備員村雨だった。

 棺桶が横たわっていたからだ。

 てっきり空箱だと思い、仲間を呼んだ。

 持ち上がらない。

 仲間の野崎は、葬儀社でバイトをしたことがある。

 人形ではない。出棺する仏様でもない。残る可能性は・・・。

 2人は、警備隊長の山谷を呼んだ。

 山谷は迷わず、110番通報し、2人に現場保存・場内整備を指示した。


 30分で機捜と鑑識が到着した。

「山谷警部補。」

「今は違うから。」山谷は、制服を見せた。

 山谷は、赤井がまだ新米だった頃にお世話になった先輩だった。

 山谷は、強盗事件の際に、左腕を負傷した。

 上司は慰留したが、『足手まとい』になるので、と警察の事務職への異動を嫌い、退職した。上司は、警備会社の管理職を斡旋した。

 気は進まなかったが、亡くなった妻の遺言で、斡旋を承諾した。

 山谷は、躊躇なく棺をバールでこじ開けた。

「赤井くん。嫌な予感が当たってしまった。」

「先輩、開ける前に通報されたのは?」

「重さ、と臭いだ。自分で棺桶を閉じることは出来ない。従って、他殺死体が入っている。」

「大正解でした。」


 =================

 ====================

 午後1時。捜査一課横の大会議室。『新聞社社員死体遺棄事件』本部。

 管理官が説明した。

「ガイシャは、高瀬絹子。流行り病の時、『やたあ』と快哉を叫んだ女性記者だ。『随行賄婦』問題や『外国人炭鉱労働者』問題が無かったにも関わらず、捏造ニュースを半島国に焚きつけた張本人だという『うわさ』のあった記者だ。問題は棺が遺棄されていただけではない。秋野、全部再生しろ。」

 秋野が、スライドをスクリーンに映した。

 井関さんが、説明を替わった。

「棺の中には、所謂『卒塔婆』が入っていた。『追善供養』、つまり、冥福を祈る行為として、墓の近くに建てられる木で。宗派によって違う。悪質な悪戯であることには間違いない。書かれている文字は、故人の戒名(法名)、没年月日、経文、梵字、施主名などが一般的だが、実は意味の無い羅列文字だった。そりゃあそうだろう。供養する積りが無いんだから。」

「ガイシャに余程怨みがあるんでしょうね。手の込んだことして。」と言いながら、井関警視監が入ってきた。

「ガイシャが名うてのジャーナリスト様だったからか、凄い賑わいだよ。外野は引き受けた。『快刀乱麻』の開光蘭子くん。」

 苦笑いして、警視監は出て行った。

 井関さんが、何故か皆に黙礼した。


「辻さん。皇係長のチームを応援に出しますから、聞き込み、お願いします。大曲達は、高瀬家。必要があれば手を貸す、と酒井優香ちゃんが言ってきているが・・・。」

「現場で判断します。」

「賢明だ。」


 午後2時半。クルマの中。

「大曲先輩、開光課長に褒められましたね。」

「ぎょ、業務連絡だ。村松、ご近所回りする時にな、ホシの仲間がいるかも知れないから注意しろよ。」

「大曲先輩は、優しいから大好きです。」

「あ・・・ありがとな。」


 午後3時。高瀬家。

 少し認知症がある、ということで、ケアマネージャーが付き添っていた。

 俺と先輩が来意の意図を話すと、首を傾げていたが、「娘さんを殺した犯人の手掛かりを探しに来られたのよ。」と、ケアマネージャー水野が言うと、うんうんと頷いた。


 アルバムを見せて貰ったが、社員旅行の集合写真以外、貼っていなかった。

 水野さんが確認したが、要領を得なかった。

 俺は、そのアルバムと葉書ホルダーを持って、大曲先輩のところに行くと、先輩はノートPCを抱えていた。

「水野さん、パソコン、一日貸して下さい、って言って貰えます?」

 水野さんは、言葉を選んで、母親の多喜子さんに説明した。

「はい。」と言って、多喜子さんは頷いた。


 午後4時。クルマの中。

「先輩。ケアマネさん、随分前から行き来しているそうです。」と、村松は言った。

「流行り病の前からか。」「はい。」

「こんなケースは、初めてだ。」

 そう言った後、先輩は、蘭子に連絡をした。

 オンになったスピーカーから届いた蘭子の声が弾んでいた。

『自転車便』の、メッセンジャーから、こんなメッセージが届いたよ。『本物を凌ぐ偽物はない』黒い封筒でな。大曲が見付けたメッセンジャーアプリも面白い。今、白バイを護衛に付けた。」


 音声が切れるや否や、煽り運転の自動車が迫ってきた。

「村松、振り切れ。」

「了解。」


 村松はカーブが切れたところで、路肩に寄せた。

 白バイは、煽り運転の自動車を駐め、白バイ警官が、こう言った。

 "Who wrote the script?"


 煽り運転の自動車のドライバーは黙っている。

 パトカーのサイレンが近づいてくる。

 白バイ警官は、懐から警察手帳と自動翻訳機を出した。

「もう、国には帰れないよ、多分。」

 翻訳された言葉を聞いたドライバーと助手席の男は青くなった。

 言語は隣国語だった。この翻訳機は、他の言語も選択出来る。

 大曲先輩と俺は思い出した。

 酒井優香が強く言って申請していた提案がこれだった。

 もう言葉が分からないから、は通用しない。


 午後5時。捜査一課。第二応接室。

 小宮課長は言った。

「たまには現場、出ないとね。自動翻訳機の威力抜群だね。匕首突きつけられたみたいな顔だった。元から日本語・隣国語・英語のトリンガルの筈だけどね。」

「今、高瀬多喜子と名乗った女と水野と名乗った女の『本物』を探し出す作業に入らせました。PCもサイバー犯罪課で解析しています。これが、本物の水野真知子。ケアマネージャー事務所から転送された写真です。」

「別人だ。大曲先輩は、何故偽物だと?」

「認知症の人間のしゃべり方には特徴があるんだ。水野を名乗った女は、普通の『耳の遠い』婆さんへの話し方をした。」と、大曲先輩は、にやりと笑った。

「今回、絡んでいると思われる半グレは、東日本観光社という名前の半グレだ。社員の渡航歴が半端ないから、な。」と、神道課長が言った。

「一見すると、お騒がせ新聞記者が政府関係者に消されたように見えるが、隣国に都合の悪いネタを掴んでしまい、消されたんだろう。言わば仲間割れと言うか、『トカゲの尻尾切り』だ。恐らく、高瀬の母親は、とっくに葬られている。ケアマネが登場する以前にな。」と、蘭子が言った。

「ひょっとしたら、母親が失踪した時点で高瀬は探りを入れていたんじゃないだろうか。で、真実を知った。」と、管理官が話した。


 翌日。午前10時。捜査一課。蘭子のデスク。

 旭日新聞社を調べていた皇係長が、報告に来た。

「昨日、おかしな素振りをしていた社員がいて、尾行させ、張り込ませていたら、ホテルから出て来て、隣国人と接触したので、二課と協力して逮捕しました。」

「分かった。ちょっと可愛がってやろう。」

 そう言って、蘭子は皇係長と第二応接室に向かった。


 午後1時。捜査一課横の大会議室。『新聞社社員死体遺棄事件』本部。

 取り調べ室から、小宮課長、神道課長、皇係長、酒井優香、蘭子、大曲先輩、管理官が出て来た。

 小宮課長、神道課長、皇係長、酒井優香は、すぐに出て行った。

 管理官が説明した。

「ホシは、旭日新聞社社員の通称オー・リーこと大村隆、東日本観光社社員の奥中仁志、当麻兵庫、偽ケアマネージャー水野のケイト・ウォン、高瀬多喜子役の野間芽衣子。仲間だった高瀬が母親の失踪のことで裏切ろうとしたので謀殺した。母親の方は、長野県山中に遺棄した、と自供したので、長野県警に協力を依頼した。尚、大曲くん達を襲ったのは、東日本観光社社員2人だ。2人は帰化人だ。私は、井関警視監と共に記者会見に臨む。解散。」


 こうして、短いようで長い一日が終わった。

 蘭子は、「貯まっている書類仕事を今の内に片づけろ。警察に盆休みはない。」と、締め括った。


 大会議室を出ると、山谷元警備補が待っていた。

「迷子になってしまってね。開光くん、お久しぶり。今回はお世話になりました。今、記者会見場では、お祭り騒ぎですよ。あ、ついで、に寄らせて貰いました。」


 去って行く山谷さんを見送って、「ついで、じゃないだろうに。私も記者会見、冷やかそう。お前は書類仕事な。」と、蘭子は俺に言った。


 午後7時。眩目家。

「あの発砲事件の時、私も現場にいたんだ。救急呼んだのは私だ。今日の記者会見の時、もめ事になりそうになってな。見事に裁いていたよ。さ、これから三枚に裁くか。」


 今日は魚は・・・俺?


 ―完―


 ※今回の登場人物(順不同)

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。

 秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。


 赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。

 酒井優香・・・サイバー犯罪対策課職員。

 小宮孝・・・警備課課長。


 皇信也すめらぎしんや・・・捜査一課第二係係長。警部。


 山谷敬三・・・元警視庁警部補。今は警備会社警備隊長。

 井関一郎・・・警視庁警視監。


 ※いつものことではありますが、隣国人の名前は適当です。ごめんなさい。

 クライングフリーマン




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ