200.替え玉
タクシーに乗った親子は、事故に遭った。
いや、それは死体遺棄事件だった。
死体は、行方不明になった女性国会議員の稲光明美に似た「男性」だった。
========== フィクションです ===========
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※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。
だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。
懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。
実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。
従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。
大会議室は、特殊捜査チーム専用である。
事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。
俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。
課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。
この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。
※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。
※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。
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前回のあらすじ。
タクシーに乗った親子は、事故に遭った。
いや、それは死体遺棄事件だった。
死体は、行方不明になった女性国会議員の稲光明美に似た「男性」だった。
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午後5時。捜査一課横の大会議室。『国道死体遺棄事件』本部。
取り調べ室から、溝内課長、神道課長、新垣課長、大曲先輩、蘭子、管理官が出て来た。
溝内課長、神道課長、新垣課長は、すぐに出て行った。
管理官は説明した。
「ガイシャは、DNAが稲光議員とは別の人物だった。詰まり、『見せしめ』の為の人形だ。議員が誘拐されたとして、タイムリミットまで僅かだ。劉邦氏または移民党に身代金要求があるかも知れない。和泉係長のチームを双方に待機させた。また、反社半グレの動きを監視するように神道課長、新垣課長に指示した。根比べだ。」
翌日。午前9時。捜査一課。蘭子のデスク。
電話が鳴った。
電話を終えた和泉係長が蘭子に報告に来た。
「辻さん達が失踪前後の話を聞いた時に曖昧な答をしていた事務長から電話がありました。誘拐犯は、劉邦氏に脅迫電話をかけた様です。事務所同様、稲光家にも逆探知を仕掛けていましたが、逆探知出来ませんでした。」
「逆探知のバージョンアップはサイバー犯罪課に打診しています。で、要求は?」
「1億円と・・・。」
「?」
「今、審議中の『食料品税減税』の審議を取り下げるように、総理に伝えろ、と。」
「尻尾が見えましたね、係長。事務所の方の逆探知班は引き揚げてください。それと、2回目がかかってくれば、『取り下げは提言した』と劉邦氏に言わせて、話を引き延ばしてください。」
「了解しました。」
「大曲。招集だ。」
午前10時。捜査一課。第二応接室。
「大曲。SNSに、半グレと思わしき会社が議員を誘拐したと判断した警察が500人体制で動き出したらしい、と『デマ』を流してくれ。」
「で、俺達は、敏感に反応した会社をパクればいいのね、別件で。」と、神道課長がにんまり笑った。
「週刊誌あたりで、探りをいれてくれば、週刊誌記者を『逆探知』する。」
「反社の方は、政界と関わると『痛い腹を探られる』から、関わらない、と皆言っている。」
今度は、新垣課長がニッと笑った。
正午。食堂。
俺と大曲先輩が素麺を食べていると、村松がやってきた。
「先輩。反応がありました。ビンビンです。」
「エロい言い方するなよ。」
タブレットを見ていた大曲先輩は、「実行犯グループは日本人だ。半グレだな。」と言った。
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午後2時。田園調布市。日本平和友好振興会。
所謂、半グレだ。
捜査二課、捜査四課の、刑事達が雪崩込み、稲光明美を保護した。
そこに、劉邦氏と開光蘭子がやってきた。
「無事だったか、明美。」
「と言うか、殺人教唆、だよね。」と、蘭子が言った。
「白滝智也殺害の殺人教唆の容疑で、緊急逮捕します。」
蘭子は、村松が渡した手錠を明美にかけた。
そして、身柄を和泉係長に渡し、劉邦氏に向き直った。
「暗殺された元総理の時代、大陸に渡りましたよね、ご主人。」と、劉邦氏に尋ねた。
「ええ、確かに。」
「その時、替え玉を用意したんです。防衛大臣の時、決して危険な場所には行かなかった。行ったのは『替え玉』です。帰化させ、日本名は白滝智也と名乗らせました。」
「どういうことです?」
「替え玉の存在は、反総理派の連中は知っていた。だから、替え玉を殺すことで結束を揺るがせないものにした。通称デビル10の議員にも脅迫状が行っている筈です。全ては、『食用品税減税』で『うま味』が消えない為です。貴方は知っていましたね。弁護士ですから。手が込みすぎていました。防衛情報は、今の稲光議員からは手に入らないし、例え人質救出の為でも、今の防衛大臣は流出を許す訳もない。時系列から言うと、議員が脅迫メールを受け取った時間は、議員が失踪した後で、矛盾が起きている。」
今度は、餅屋係長が劉邦氏に手錠をかけた。
「緊急逮捕します。殺人教唆他の容疑で。」
「何なのよ、アンタらは!!」稲光は叫んだ。
「捜査一課ですけど、何か?」と、開光蘭子は、にっこり笑った。
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午後4時半。捜査一課横の大会議室。『国道死体遺棄事件』本部。
取り調べ室から、神道課長、新垣課長、溝内課長、和泉係長、餅屋係長、大曲先輩、蘭子、管理官が出て来た。
神道課長、新垣課長、溝内課長、和泉係長、餅屋係長は、すぐに出て行った。
管理官が説明した。
「ホシは、稲光明美、稲光劉邦、日本平和友好振興会の友田敬一、友田圭二。ガイシャは、稲光明美ではなく、そっくりさんの、通称白滝智也。稲光夫妻は、総理の『食料品税減税法案』に反対の10人のメンバー、通称デビル10を操る為、今まで『替え玉』として動いていた白滝を殺害の上に、国道に放置、街灯を壊した。日本平和友好振興会と移民党一部は。元々繋がりがあった。天下り先の斡旋をしていたのが、日本平和友好振興会だ。記者会見で全てを話す。」
午後6時。眩目家。
「管理官。全部、バラシちゃったよ。」と、蘭子に言うと、「私の性癖もか?」と、俺の股間を触った。
「まさか。」
「じゃ、ばらそう。」と、俺のズボンのベルトを引き抜いた。
それ、意味が・・・。
―完―
※今回の登場人物(順不同)
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。
神道助六・・・捜査二課課長。警部補。
新垣舞・・・捜査四課(仮)課長。
赤井悦夫・・・第三機動捜査隊の警部補。
溝内健児・・・生活安全課課長。警部補。
和泉方助・・・捜査一課特殊犯係係長。警部補。
餅屋重樹・・・捜査一課第一係係長。警部。
※題材になる、国会の方の審議はありますが、本エピソードは、無関係に創作しています。
クライングフリーマン




