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187/243

187.プールにプール?

夏休みに入って、小中学生が元気に訪れた。

だが、一瞬で、楽しさが消えた。

プールの入口の前にプールがあったからだ。


 

 ========== フィクションです ===========

 =================================

 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。

 この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。


 ※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。

 ※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。

 ===========

 午前9時。中野区。ある市民プール。

 夏休みに入って、小中学生が元気に訪れた。

 だが、一瞬で、楽しさが消えた。

 プールの入口の前にプールがあったからだ。

 プールの前にあったのは、所謂ビニールプール、家庭用の『水浴び』用だ。

 当然、市民プールの所有ではない。

 誰かが職員を呼びに言った。

 職員が慌てて110番通報をした。


 明らかに死体が、水のないビニールプールに転がっている。

 死体は、おしゃぶりを咥えている。


 30分後。機捜と鑑識が到着した。

「洒落、きついなあ。」と、赤井警部補が言うと、「ベビー服、間に合わなかったのね。」と、智子が言った。

「ベビー服は着られないだろう。」と、秋野が言うと、「あら、プレイ用ならネットで売っているらしいわよ。今度、買ってあげようか、ボーナスで。」と、智子が言った。

 赤井が井関を見ると、顔をしかめて井関が首を振った。

 赤井は部下に、「溺死かも知れんが、遺留品、探してくれ。」と部下に言い、佇んでいた職員奥中に、「今日は、一時中止にしてください。念の為、オタクのプールも調べますので。」とお願いした。

 奥中は、集まっている子供達に中止を言い、中から『本日休館』の立て看板を持って来た。

 警察官達は、いつものように赤いコーンを置き、黄色いテープを張り巡らせた。


 =============

 ================

 ====================

 午後1時半。捜査一課横の大会議室。『プール殺人事件』本部。

 神道課長、新垣課長が来ている。

 管理官が説明した。

「発見者は、プールに訪れた子供達だが、職員の奥中弘氏が110番通報をした。ガイシャは、小梅党の新佐進氏。総理の『偽誹謗中傷動画』で騒いでいた人物だ。SNSでは、かなり、人気者らしい。村松、どんな評判だ。」

「次の選挙は絶望的だそうです。何か、お笑い芸人にしか見えない。」

「井関さん、死因はやはり溺死ですか。」

「勿論、殺害現場はプールじゃない。海水を飲み込んでいる。ホシは、現場に運ぶのが精一杯で、水は張っていなかった。衣類は、いつものバタフライネクタイ、靴下までちゃんと履いている。胃の内容物から、アルコールと入眠剤。眠っている間に、あの世行き。」

「この人も、被疑者候補多そうだなあ。俺ならホシに・・・。」

「ホシに、ありがとう、か?殺しちゃダメでしょ、か?」蘭子が言った。

「殺しちゃダメでしょ。」

「ファイナルアンサー?」

「ファイナルアンサー。」

 皆、相好を崩した。

 村松が電話を置いて、言った。

「小梅党の代表が、広報課に来ているそうです。」

「生活安全課に行って貰え、私が相手する。」と、管理官が言って出て行った。

「じゃ、辻さん達は、代表と一緒に党に行って下さい。大曲達は、住所がわかり次第・・・。」

「あ。課長。新佐進氏は名刺、持ってたそうです。」

「じゃ、行ってくれ。村松は、今回は待機。」

「「「了解しました。」」

「きな臭いな。」と、新垣課長が言い、「同感だ。」と神道課長が言った。


 午後2時半。クルマの中。

「村松、相当嫌がってましたね。」

「智子もな。ベビー婦着てないのね、って現場で言ったらしい。そして、秋野が・・・。」

「やらかしましたか。」

「大人用のベビー服ってないだろう。いいえ、ネットで売ってるから、貴方に買ってあげる、ボーナスで、だって。」

「智子が?」

「智子が。」

「転属までシンドイですね。」

「だな。」


 午後3時。新佐家。

 母親が待ち構えていて、いきなり、長刀を突き出された。

「お母様。我々は、犯人ではないので。犯人を捕まえる方ですよね。」

「済みません、気が動転して。」

「ご尤もです。ご遺体ですが・・・。」

「存知上げています。アルバムと住所録なら、用意しました。」

「ありがとうございます。眩目君、お願いね。では、PCを・・・タブレットを拝見。」


 俺は、アルバムを見ながら、定式に従って、母親の登喜子さんに、特に仲の良かった友人を教えて貰った。

「この子と、この子。左側の人が徳永網子さん。今でも小梅党党員総化学の会の人。右側の人が、小学校からの同級生。見城幹子さん。流行り病が流行った時、亡くなったの。」

「感染したんですか?」「いいええ。枠朕打ち過ぎ。他の人はだーれも打たなくてピンピン。あなたは?」

「私は、最初の2回だけ。行く時間とれなくて。」「正解よ。3回目からね、違う枠朕。2回目までは抵抗力って言うか、あ、免疫力アップ。3回目からはダウン。依存症にしてしまう。貴方たち警察用語で【ヤク】ってあるでしょ?」

「麻薬ですね。私は部署が違うけど。専門の部署があります。あの、何回枠朕を?」

「7回。どんな物事にでもね、限度ってものがあるでしょ。例えば、納豆が、今日が賞味期限だとするでしょ。」

「はあ。12時過ぎたら捨てる、って異常ですよね。」

「おっしゃる通りです。明後日くらいまでなら、冷蔵庫でちゃんと冷やしていれば食べられると思います。」

「見城さんはね、普通の人。昔から知ってるから。でもね、徳永さんは過剰な信者活動家。進が入ったからって、強引に手伝わせていた。ボランティアで。見城さんに枠朕打たせたのも徳永さん。」

「徳永さんも打ったんでしょ?」「いいええ。私は、最初の2回だけ打ったって言ったでしょ。」

「はい。」「あの人達は0回が当たり前。国会議員の殆どがそう。進も2回だけ。3回目からは、毒なのよ。ウイルスの変異体、人工的に作れるって証明した学者がいたけど、知らない?まあ、いいや。私はクリスチャンだから入信しなかった。進も洗礼受けさせておけば良かった。私がニューヨーク行ってる間に会社、倒産して、別にいいって言うのに徳永が勝手に借金させて組織に縛ったの。国会で変なパフォーマンスしていたでしょ。」

「はい。」「あれ、全部、シナリオがあるの。座付作者がいるの。全てを知りながら、あの子や見城さんを救えなかった。眩目さん。」

 登喜子さんは、俺の手を握り、涙を流した。

「あの子はね、あの子は、組織に潰されたのよ。カタキを・・・犯人を捕まえて。」

「犯人を捕まえるのが、我々の仕事です。」


 俺は書斎に戻って、大曲先輩に、思い切って今登喜子さんから聞いたことを話した。

「眩目くんが聞いたこと、PCの日記やメールで確認しました。それと、暗号化されたファイル・・・待てよ。お母様。徳永さんもよく来ていた。見城さんもよく来ていた。そうですよね?」

「ええ。」

「7回目の枠朕打ったのはいつです?見城さんが亡くなったのはいつです?」

「去年の4月。」

 大曲先輩は、俺からアルバムを引ったくった。

「お母様。小学校の時のは、別のアルバムですか?」

 登喜子さんは、何かを察して古いアルバムを3冊抱えてきた。


 ============

 午後4時半。捜査一課。第二応接室。

 公安の十文字課長が入って来た。

「開光課長。君は人妻になったんじゃなかったの?昼日中から誘惑してくるとはねえ。」

「十文字さん。新佐進氏の幼馴染見城さんに化けていた公安の囮捜査官は誰です?これ、忘れ物。」と、蘭子は十文字にSDを差し出した。

「三田村今日子。去年、組織再編成の時期に消されたよ。あの、組織に。」

 大曲が、資料を持って来た。

 ざっと、目を通して、「やはり別人だったか。新佐氏のPCに触れる人物は、本人、徳永、そして、見城。母親は、普通のオペレーションは出来ても、暗号化ファイルを作ることは出来ない。これは、単なるおしゃべり議員が殺されたヤマじゃない。公安部は、第一課第二課を吸収合併した。2025年4月。そして、囮捜査官が同じ時期に殺された。偶然じゃない。」


 ―「捜査一課ですけど、188」につづくー



 ※今回の登場人物(順不同)

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。

 秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。


 神道助六・・・捜査二課課長。警部補。

 新垣舞・・・捜査四課(仮)課長。


 十文字ともんじ彰・・・警視庁公安部公安第一課課長。警視正。




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