186.人形の涙2
新宿歩行者天国に、人形のように立っていた人物が倒れた。
行き交う人々は、路上パフォーマーだと思っていたが、死体だった。
========== フィクションです ===========
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※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。
だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。
懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。
実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。
従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。
大会議室は、特殊捜査チーム専用である。
事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。
俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。
課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。
この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。
※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。
※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。
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※前回のあらすじ。
新宿歩行者天国に、人形のように立っていた人物が倒れた。
行き交う人々は、路上パフォーマーだと思っていたが、死体だった。
クラウンの格好の遺体は、利権党の元議員の弁法氏だった。
弁法氏の自宅で大曲が見たものは、弁法氏を含む3人の利権党議員のパネルで、弁法氏は×印がついていた。
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午後1時。捜査一課。第一応接室。
代表代理の今野は、頭を抱えていた。
そして、皇係長の目の前には、脅迫状があった。
文面には、
『5000億円にしてやる。期日は明後日火曜日。2人は病気持ちだから、体力がもつかな?』
とある。
「それで?」
「昨日は、脅迫状の真偽で・・・。」
「亡くなってますよね、オタクの弁法氏は。暢気に会議していたんですか?脅かす積りはないですが、既に殺されている可能性もあります。生存確率は四八時間がリミットです。お金は用意出来たんですか?」
「いえ。党員や支援団体に・・・。」
「暢気ですね、今野さん。弁法氏が、無残な姿になる前に届いた脅迫状は?」
「どうして、それを?」
「こういう場合、実行手段に出る前に脅しをするものです。」
今野が、おずおずと出した脅迫状には、『お前達の秘密は全て掌握している。3000億円用意しろ』とあった。
「これが届いたのは?」「金曜日です。」
「審議拒否で『夏休み』に入った時ですか。呆れるしかないな。」
サイバー犯罪課の倉田課長が、入口で皇係長に耳打ちした。
「サイバーアタックかと思ったら、オタクの団体、隣国と情報共有していますね。隣国の協力団体だから、と油断仕切っていた。そうですね。」
開光課長が入って来た。
「国会審議同様、ゴテゴテですね、今野さん。今、清原さんがセメント工場で発見されましたよ。グッチのバッグ、持った形でね。」
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午後1時半。捜査一課横の大会議室。『利権党議員連続殺人事件』本部。
管理官が説明した。
「今度はセメント詰めだ。井関さん、生きている内に固めることは?」
「アルコールと入眠剤で眠らせれば、出来るでしょうね。バッグは後で持たせたようだが。セメント工場も戸惑っていたよ。確かにセキュリティーは甘いかも知れないが、まさかねえ。」
「暢気というかまとまりがなさ過ぎるというか、やはり烏合の衆だな。敵は預金口座の動きを見てる。どこかに振り込めと言って来ている訳ではないから、大口の出金がない以上、まだ支払いを渋っていると考えるのが通常の反応だ。また、身代金の額が上がるな。引退しても大幹部は金がある筈だ。身内が隣国で商売している議員も、SNSでばれている。」
そこに、皇係長が入って来た。
「渋々、犯人の要求に応じるようです。値段は釣り上がるでしょうね、お身内を見殺しにした代償として、と言っておいきました。」
「警備課、警邏課、生活安全課、公安課、捜査二課で見張ってはいる。だが、完璧と言えるかどうか・・・。」
「罠を仕掛ける積りかね、開光くん。」
「ご明察。」
午後3時。テレビの臨時ニュース。
「利権党は、杉下姫也は既に離党していて関係ないので、既に殺害された弁法氏、清原氏の葬儀の準備にかかる、と発表しました。また、隣国の諜報活動の一端を担ってきたが、こんな悪質なテロ行為に屈する積りはない。テロに反対なのは、与党移民党と考えがシンクロする、と発表しました。」
午後5時。利権党本部。
数台のジープが急襲した。
待ち構えていた、SAT、SIT、陸上自衛隊が完全な包囲をした。
空には、空自のオスプレイが飛んでいる。
そして、オスプレイから、次のアナウンスが流れた。
“Tomahawk missiles are also on standby.”(トマホークも控えている)
集団は、投降せざるを得なかった。
午後6時半。テレビのニュース。
『捕えられていた杉下姫也氏は、既に殺害されていました。何故かテレビと週刊誌を抱いていました。』
午後7時半。眩目家。
「自衛隊まで動かしたの?」
「お前も動かせるよ。」
「え?」
蘭子は俺に手錠をかけ・・・。
ーー完―
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。
深山俊哉・・・警視庁広報課課長。警部補。
神道助六・・・捜査二課課長。警部補。
新垣舞・・・捜査四課(仮)課長。
倉田喜一・・・サイバー犯罪対策課課長。
皇信也・・・捜査一課第二係係長。警部。




