185.人形の涙
いつの間にか、ピエロ、いや、クラウンが立っていた。
人々は、路上パフォーマー、大道芸だと思っていた。
========== フィクションです ===========
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※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。
だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。
懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。本来の階級は警部だったが、降格になった。
実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。
従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。
大会議室は、特殊捜査チーム専用である。
事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。
俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。
課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。
この物語は、蘭子の特殊捜査チームの活躍のお話である。
※「暴力団対策課」は、敢えて「旧捜査四課」として扱っています。
※警視庁で痴漢被害の相談・対応を主に行っているのは、各警察署の生活安全課です。
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午前9時。新宿区旧無事テレビ分室ビル前。
いつの間にか、ピエロ、いや、クラウンが立っていた。
人々は、路上パフォーマー、大道芸だと思っていた。
今日は、日曜日。恒例の『歩行者天国』があるからだ。
だが、開放されるのは12時からだ。
女子高生宮根はるかが、つついてみた。
まっすぐ倒れた。
大騒ぎになった。
交通整理に当たっていた、大杉巡査は、警察無線で連絡した。
30分後。機捜と鑑識が到着した。
赤井警部補は呟いた。
「似ている。」
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午後1時。捜査一課横の大会議室。『新宿歩行者天国死体遺棄事件』本部。
管理官が説明した。
「発見者は、女子高生宮根はるかと新宿署の大杉巡査。大杉は110番通報でなく、警察無線でセンターに連絡。機捜と鑑識が急行した。遺体は、ピエロ、いや、クラウンの格好をしており、いつ運び込まれたかは不明。現場は、よくパフォーマーが出入りするので、パントマイムでフリーズの格好をしているものと皆勘違いした。宮根はるかも、そう証言していた。ガイシャだが、行方不明になっていた、利権党元議員の弁法氏。井関さん。」
「遺体は、死後72時間。棺桶に入れ保冷剤で固めていたものと思われる。そして、また、村松の好きな『ホシからのメッセージ』。コレが、小さな紙片が喉の奥にあった。秋野。」
秋野が、写真をスクリーンに映した。
『口外禁止』
「普通は、『守秘義務』ですけどねえ。」と蒔が余計なことを言った。
「どんな守秘義務だよ。」と、辻さんに叱られた。
「この人のおしゃべりは天下一品だったからな。昔の総理が『所信表明演説』する内容を野党にも共有する『習慣』を悪用して、SNSで先にばらして嗤った人だからねえ。SNSでは面白がって、『ゴリラ』みたいな、一瞬の顔の使い回ししてたけど。」と、大曲先輩が助け船を出した。
「ホシを捕まえたら聞くさ。それ、大曲の担当な。」
途端に大曲先輩はゴリラみたいな顔をして、顎を掻いた。
「今、広報課に、利権党の代表代理が来ている。大曲達は、住所がわかり次第、ガイシャの家に。、辻さん達は、代表代理に従って、利権党事務所へ。村松は待機だ。」
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午後1時。広報課。
深山課長は利権党の幹部を迎え入れた。
「警察に届けを出した直後に、こんな姿になるとは。」と、代表代理の今野は嘆いた。
広報課課長の深山は、頷いた。
「念には念を、の積りなのか。発見時、『死に化粧』のメイク道具で塗っていました。これが、発見時の写真。」
「え?」
「新宿は、大道芸の人がよくパフォーマンスするでしょ。そういうのをSNSで流したり、それで近くにいながら皆、その類いだと思い込んでいたそうです。
「死に化粧?葬儀社がやる、アレですか。アレでこんなメイク出来るんですか。」
「アレです。弁法先生に限らず、死体遺棄した犯人は必ず捕まえるのが捜査一課です。」
「どういったメンバーが?」
「ドラマではないので、勘弁してください。捜査一課の聞き込みの担当者達が来ますので、弁法先生のスケジュールや人間関係をお聞かせください。」
「了解しました。」スケジュールは1ヶ月以内でいいですか?」
「結構です。それと、ご自宅の住所を。事件に繋がる何かが見つかるかも知れません。」
「委細承知しました。」
午後2時半。クルマの中。
「先輩、弁法さんって、敵多すぎるでしょ。事務所の人間にも恨まれていそう。」
「鋭い推理だね、眩目探偵。」
「まあ、今に限ってないけど。」
「議事堂でグラビア撮影するしなあ。」
午後3時半。弁法氏のマンション。
事務所から連絡が行っていたので、不動産会社の社員が解錠、立合いが条件だった。
不動産会社の社員は、腰を抜かした。
パネルが何枚か壁に貼っていて、その内の弁法氏のパネルだけバッテンがついていた。
そして、残る2枚は・・・。
大曲先輩は、村松に連絡した。
「・・・うん。課長に報告して、鑑識に来て貰ってくれ。」
それは、どう見ても『殺害予告』だった。
午後5時。捜査一課横の大会議室。『新宿歩行者天国死体遺棄事件』本部。
スクリーンに、鑑識が撮影した3枚のパネルがスクリーンに並んでいる。
「清原晴美に杉下姫也か。まあ、狙われても仕方無いな。」と神道課長が言った。
「利権党を狙う、熱心な移民党信者?あり得ないでしょ。平成野郎達じゃあるまいし。」
電話を受けていた村松が、管理官と蘭子に頷いた。
「言を左右に逃げていたが、どうやら2人は拉致されているようだな。」と、管理官が言った。
「弁法は見せしめ、というか生け贄か。自分達でなんとかなると思っているんだろう。相変わらず暢気で傲慢だな。」と、蘭子は吐き捨てるように言った。
「取り敢えず、様子見だな。事務所が保護を願い出てくれば対処する。でなきゃ、放置プレイ。解散!」と管理官は言い、出て行った。
管理官が『放置プレイ』なんて言うなんて、余程腹にすえかねているのだろう。
午後7時。眩目家。
村松がクレープを焼いて、帰って行った。
「相変わらず旨いな。村松がさ。」
「ん?」
クレープを頬張りながら、俺は尋ねた。
「あんな党、要らない。はっきり言ったよ。」
「どんな法案審議でも邪魔ばっかり。隣国から、かなり貰っているんだろうな。」
「その隣国も、『トカゲの尻尾切り』したいのかもな。SNSで見ただろ、台風の爪痕。洪水になって大変だぜ。前までの政権なら、『支援をー』って総理や外務大臣が躍起になるとこだが、現政権は知らん振り。意地張って隠してるんだから、当然だよな。」
「どうして、あそこまで?」
「どうしても作りたいのさ、アレキサンダーを超える超大国を作るのが悲願だから。あの地図、見たか?どこのゲームだよって感じ。永遠にクリアどころか次のダンジョンにも行けないな。」
そして、翌日。
―「捜査一課ですけど、186」につづくー
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。警視正。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。警部補。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。巡査。
秋野[井関]智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。巡査。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。巡査部長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。巡査。
深山俊哉・・・警視庁広報課課長。警部補。




