表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/115

114.薔薇薔薇殺人事件

「智チャン、1つ聞いていい?怒っている相手はホシ?それとも、秋野くん?」

「両方よ、おじさん。」


 

 ========== フィクションです ===========

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。

 井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。



 赤井悦夫・・・機動捜査隊の警部補。

 新垣舞・・・捜査四課課長。警部補。



 =================================


 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。


 午前9時。牧場家(被害者宅)。

 機捜の赤井警部補と鑑識が到着すると、ガイシャの娘が対応した。

 凄惨な現場に、秋野は、外に出て、吐いた。

 智子が睨んでいる。

「智チャン、1つ聞いていい?怒っている相手はホシ?それとも、秋野くん?」

「両方よ、おじさん。」

 智子は、さっさと作業に入った。

「権さん、本部に当たり触りのない写真、送っておこうか?記者会見用に。」

「ああ、済まないな。秋野もいいとこあるんだけどな、文書分析とか、指紋照合とかゲソコン判定とか。」

 赤井は、口角を上げ、それ以上は言わなかった。

 明らかに、秋野は内勤向きだが、刑事同様、色んな経験が必要なのだ。


 午後1時。捜査一課横の大会議室。『バラバラ死体遺棄事件』本部。

 管理官は、説明を始めた。

「今回のガイシャは、牧場慎二。昔、フォークソングの大家たいかと言われた歌手で、今は80歳。引退して随分になるが、発見者の娘によると、晩年は作詞や作曲をしていたらしい。発見者は娘と、後妻に当たる妻なんだが、妻が卒倒したので、娘は救急搬送を先にやらせた。心臓の持病があるらしい。先に赤井警部補から来た写真だけでも、凄惨な現場だと判る。ホシは、8畳間一杯にビニールシートを敷き、そこで遺体を切断している。従って、殺害現場は別の場所だと考えられる。井関さん。」

「死亡推定時刻は、36時間以上前。殺害現場から、ある程度乾いた遺体をビニールシートで包んで自宅に運んだ。運んだ部屋には、別のビニールシートを敷いた上で切断、遺棄した。股間のモノが切り取られているが、怨恨か、何かの意図かは分からない。それと、遺体の側に薔薇の花が幾つか。発見者の娘は、気丈なのか、母親を救急搬送した上で、110番通報、そして、親族に母親の方を頼む、と電話をしたらしい。」

「痴情の怨恨じゃないな。それなら自宅に運ぶ必要はない。」

「薔薇の花の意味だけは分かる。昔、そういう歌で大ヒットした人だ。」と、辻さんが言った。

「辻さんは、会社関係をお願いします。村松も付いていけ。大曲達は、自宅の仕事場スペースだ。」


 午後2時。クルマの中。

「先輩、何か嬉しそうですね。」

「秋野のやつ、『小間物屋』を開いたらしい。」

「商売始めたんですか?でも、公務員は・・・。」

「そうじゃない、反吐吐いたんだよ。もうとっくに死語の表現だな。」

「秋野君、内勤向きですよね。」

「でも、一通り出来ないとな、仕事は。」


 午後2時半。牧場家。

「済みませんねえ、ずかずか上がり込んじゃって。一通り、形式通りしないと、上司がコレ、なんすよ。」と、大曲先輩は、頭の両側に『ツノ』を立てた。

「刑事さんも大変ですねえ。」

「お父さんのマネージャーされてたんですか?」

「まあ、一時期。父が義母と再婚してから辞めましたけど。会社の方もアシストして下さってたみたいだし。」

「そうですか。じゃ、眩目君、私物の方、お願いね。」

 俺が、2階に行くとき、先輩がウインクしたので、時間掛けて帰って来い、という合図だな、と思った。

 幸い、牧場氏の楽譜や本が多く、娘さんに説明をして貰ってから、楽譜と本を1つずつお借りした。

 階下に降りると、先輩はVサインをした。

 何か見付けたようだ。


 午後5時半。『バラバラ死体遺棄事件』本部。

 取り調べ室から、蘭子、大曲先輩、管理官、新垣課長が出て来た。

 新垣課長は、すぐ出て行った。

 あの様子は、「ガサイレ」だ。

 蘭子は、説明した。

「ホシの実行犯は、干し柿会の下っ端。元植木職人。そして、共同正犯は、妻の牧場新子。妻は、娘と生前贈与で揉めていた。会社のマネージャー田村を通じて知り合った干し柿会にコロシを委託。数日アリバイ作った上で発見者に。ガイシャの日記と田村の存在を突きつけたら、『素直に』吐いた。血を分けた娘を想うのは当然ですよね、井関さん。」

「はい。当然です。」そう言って、井関さんは智子をチラ見した。


 午後7時半。眩目家。

「今の内に、遺書書いておくか。相続は、子供だけに行くように。」

「まだ、子供はいない・・・けど。」

「何だって?よく聞こえなかった。」

「まだ、子供はいない。」

「来い。今から、生産作業だ。」


 しまった。


 ―完―






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ