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112.ゲリラ豪雨

「今回のガイシャは、安斉はじめ。元気象予報士。発見者は母親の信子。雨の止み間に帰って来て、発見したのが、昨日午後4時。110番通報し、機捜と鑑識が到着。首つり自殺していた。

 

 ========== フィクションです ===========

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。

 井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。


 神道助六・・・捜査二課課長。



 =================================


 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。


 午後1時。捜査一課横の大会議室。『元気象予報士殺人事件』本部。

 管理官は、説明を始めた。

「今回のガイシャは、安斉はじめ。元気象予報士。発見者は母親の信子。雨の止み間に帰って来て、発見したのが、昨日午後4時。110番通報し、機捜と鑑識が到着。首つり自殺していた。そして、足元には下駄。ガイシャは下駄を履く習慣はないし、持っていない、と母親は証言した。井関さん、履いた後は?」

「ガイシャは元より誰も履いた形跡がない。ホシからのメッセージかな?」

「母親からの情報では、ガイシャは3月末で、担当していたテレビの天気予報を年度末による番組改編という理由で下ろされていた。ガイシャを派遣していた会社も彼を庇うことなく、他の仕事も斡旋していなかった。彼は、大きな『ゲリラ豪雨』を2回、外している。知っての通り、『想定外』の雨だからゲリラ豪雨と言う。ところが、視聴者から粘着質なクレームが何度も入った。降板は、カスハラでは?とSNSで噂されていた矢先だった。」

「井関さん、吉川線は?」と。蘭子が尋ねた。

「あった。自殺じゃない。吊されたんだ。第一、自殺する人間が下駄を置くか?自分のじゃないのに。」

 吉川線とは、紐やロープを外そうとした形跡だ。どんなに注意深く偽装しても、首を締めた痕跡と吉川線は一致しない。プロには通じない。

「辻さんは、派遣会社とテレビ局でカスハラについて詳しく調べてください。」


 午後2時。クルマの中。

「なんでしょう、下駄って?」「知らないか?天気予報が・・・予報じゃなく予想だが、皆聞いたり観たりするようになる前は、皆『下駄占い』やってたのさ。下駄を蹴り飛ばして占う遊びだ。根拠なんかない。ホシは、下駄占いの方がマシだと言いたかったんだろう。」

「酷いな。」「全くだ。」


 午後2時半。安斉家。

 例によって、大曲先輩は慇懃に、母親を慰めた。

「逆恨みです。間違いない。でも、証拠集めないといけないんですよ。」

「何でも言って下さい。」

「眩目くん。安斉さんの私物、確認させて貰って。」

「了解しました。」


 こんなに整理されている机は見たことがない。

 安斉さんは、とことん、勉強して、資格試験に合格したんだ。

 母親に、そのことを話すと、「ええ。2回落ちたんです。でも、3度目の正直って言って合格して。『かあさん、やったよ!』今でも、あの言葉を忘れません。」と応え、泣いた。

 俺は、つい貰い泣きしてしまった。

 ぎっしり書かれたノートを3冊お借りして、俺は大曲先輩に報告した。

「確かに、几帳面な方でしたね。お母さん、几帳面な人は、PCの使い方にもそれが出るんですよ。改めて、お悔やみ申し上げます。」と先輩は、頭を下げた。


 午後5時。捜査一課横の大会議室。『元気象予報士殺人事件』本部。

 取り調べ室から、大曲先輩、蘭子、管理官、神藤課長が出て来た。

「ホシは、案外近くにいた。ホシの一人と言うべきか。出頭してきたのは、気象予報士の派遣会社の社員月山慎二だった。月山は、カスハラしていた真山敏夫に脅され、安斉の家に案内、首つり偽装の手伝いをさせられた。月山の自白によると、軽い気持ちで安斉のデータを弄ったそうだ。『ゲリラ豪雨注意報』を抜いたんだ。そして、真山のゆすりが、各方面に行われた。真山には、マエがあるらしい。後は、神道くんに任せよう。お通夜は明日だ。」


 午後7時半。眩目家。

「今日は、『お勤め』はいい。お通夜から帰ったら、鎮めてくれ。」

「了解。鮭茶漬けでいい?」

「ああ。真吉。」

「え?」

「良い子だ。」


 ―完―




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