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110.『殺人』ドミノ

「今回のガイシャは、芝山たける、松矢いさみ、古田しんご。3人は中学からの同級生で、社会人になってからリストラに遭い、東栄のエキストラに応募して再会。以来、エキストラ派遣会社地球エージェンシーに所属。特撮やドラマの所謂『通行人』、エキストラの仕事をしてきた。

 

 ========== フィクションです ===========

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。

 井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。


 神道助六・・・捜査二課課長。

 新垣舞・・・捜査四課課長。警部補。


 =================================


 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。


 午後1時。捜査一課横の大会議室。『エキストラ殺人事件』本部。

 管理官は、説明を始めた。

「今回のガイシャは、芝山たける、松矢いさみ、古田しんご。3人は中学からの同級生で、社会人になってからリストラに遭い、東栄のエキストラに応募して再会。以来、エキストラ派遣会社地球エージェンシーに所属。特撮やドラマの所謂『通行人』、エキストラの仕事をしてきた。仕事が終ると、芝山の家で、所謂『打ち上げ』をしていた。ところが食通毒になってしまった。119番したのは、少しだけ食べた芝山だったが、皆救急搬送の途中で亡くなった。金品を取られた形跡はなく、毒は新種の薬物だと判明している。新垣課長。」

「毒は、神経毒で、金城推進会のガサイレで見つかった。そして、紛失しているブツがあった。どうやってガイシャ達に流れたのか不明だ。反社と彼らの接点がない。」

「接点なら、ここからだろうな。金城推進会と組んでると噂のある『首里復興会』とかがやらかした可能性がある。こいつらも隣国マフィアの下部組織と繋がっている、という噂sだ。」と、神道課長が言った。

「噂、噂、って尻尾はないのか、神道。」と、蘭子が苛立って言った。

「鋭意、捜査中であります。」「ふん、役・・・。」

「ヤクの繋がりはともかく、井関さん、混入方法は?」

「消化時間から考えて、食べ物に注射器で混入した、と思われる。」

「饅頭とか。」と、つい俺は言ってしまい、蘭子に睨まれた。

「饅頭じゃなく、もっと味が濃いもの、だな。」

「さっき、管理官から説明のあった『打ち上げ』については、発見者である地球エージェンシーの証言があり、隣家の人間に機捜の赤井警部補が尋ねようとしたら、隣家は連休で出掛けていて、午後にならないと帰らない。村松に張り番させている。」

 蘭子が言うや否や、村松から蘭子のスマホに連絡があった。

 蘭子はスピーカーをオンにした。

「隣家の音無さん一家が帰ってきました。見慣れない宅配ピザの食べ残しのケースが勝手口にあって、怒っていました。」

「どこのピザだ。」

「どこでもピザ、です。」

「村松。音無さんに事情を話して、持って帰って来い。」

 電話を切った蘭子は、「井関さん、お願いします。」と言った。

「辻さん、どこでもピザと、エージェンシーに聞き込みを。大曲、入れ違いになるが、芝山家に急げ。」

「「了解。」」


 午後2時。クルマの中。

「ひょっとしたら、外国人かな?」と、大曲先輩は呟いた。

 俺は、運転しながら尋ねた。

「外国人って?」

「最近、言葉が話せなくても出来る仕事で、外国人を雇っているだろう?水道メーターとか電気メーターとか。宅配便も、『置き配』なら会話は要らない。判子ください、は要らない。」


 午後3時。芝山家。

 到着すると、すぐににこにこしながら、大曲先輩は、音無さん一家に挨拶に行った。

「いやあ、お騒がせして済みません。隣で、変死体があったもので。無論、音無さん達は、おでかけだったので、『無実』、です。お隣のことですが、時々宴会していたみたいですか?お寿司、とったりとか。」

 中から子供が顔を出した。

「へえ、刑事さんって、普通。あ、出前のことだったら、お寿司より、丼物とかが多かったなあ。でも、ピザもあった気がする。お父さん、さっきのどこのピザ?」

「どこでもピザ。」

「あ、どこでもピザ、見たことありますよ。」

「お父さん、息子さんの記憶力、抜群ですね。ご自慢のお子さんですね。」

「あ・・・どうも。」


 音無さんを引き揚げると、はす向かいの大鳥さん宅に大曲先輩は、顔を出した。

 宅配ピザの注文主が判った。


 午後4時。芝山家。

 PCを一通り探った大曲先輩は、クビを振った。


 午後5時半。捜査一課横の大会議室。『エキストラ殺人事件』本部。

 取り調べ室から、蘭子、大曲先輩、管理官、新垣課長、神藤課長、そして通訳が出て来た。

 新垣課長、神藤課長、通訳は、すぐに出て行った。

「全容がやっと掴めた。芝山家に配達した配達員は、ベトナム人の新米だった。大島家に届ける筈のピザを芝山家に届けてしまった。配達間違いに気が付いたベトナム人は、窓の外のピザケースを音無家に届けた。また間違えたんだ。相続で揉めていた大島家では、仲直りの為にピザを取った。どこでもピザの店員が所謂『不衛生テロ』をやらかした。こいつは、日本人の若造だ。店員は、店に来た客が忘れた注射器で、ピザに注射した。毒とは夢にも思ってもいなかった。腹痛目的だ。注射器を忘れたのは、金城推進会からくすねた、『首里復興会』の社員だ。恐ろしい『殺人兵器』ドミノが出来上がった。地球エージェンシーでは、3人の『お別れの会』をするそうだ。」


 午後7時。眩目家。

「今回は、巻き添えが多かったね。」

「ああ。巻いて欲しいのか?太巻きか?節分は終ったぞ。」

 そう言いながら、蘭子は強引に俺を風呂場に連れて行った。

「メシは?」

「5回戦の後だ。カーン!!」


 た、助けて。


 ―完―



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