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104.刑事告訴

「今回のガイシャは、就鳥奈津子ひよどり なつこ。元自衛隊員だ。発見者は、何と『空き巣』。死体に驚き、跳びだしたが、運がいいのか悪いのか、隣人に見つかってしまい、通りがかったら大きな音がして、覗いたら、死体が見えた、と嘘をつき、隣人に110番させた。

 

 ========== フィクションです ===========

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。

 井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。


 赤井悦夫・・・機動捜査隊の警部補。

 越前屋幸太・・・捜査三課課長。

 神道助六・・・捜査二課課長。

 新垣舞・・・捜査四課課長。警部補。



 =================================


 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。


 午後1時。捜査一課横の大会議室。『元自衛隊員変死体遺棄事件』本部。

 管理官は、説明を始めた。

「今回のガイシャは、就鳥奈津子ひよどり なつこ。元自衛隊員だ。発見者は、何と『空き巣』。死体に驚き、跳びだしたが、運がいいのか悪いのか、隣人に見つかってしまい、通りがかったら大きな音がして、覗いたら、死体が見えた、と嘘をつき、隣人に110番させた。機捜の赤井警部補が様子がおかしいので、問い詰めたら、空き巣に入ったら、死体があった、と白状した。越前屋課長が尋問したところ、玄関は施錠されていなかった。自分には殺す動機も度胸もない、そう言っていたが事実だろう。家宅侵入には違い無いが窃盗はしていない。ガイシャは先日、自衛隊員として国歌斉唱をしたのはけしからん、と野党の後押しである『思想活動団体』から刑事告訴をされていた。ガイシャはノイローゼになり、退官したばかりだ。予断は禁物だが、その団体関係者は被疑者から外せない。」

「管理官。首つり自殺ですが、明らかに吉川線があり、偽装です。知人の音楽関係者から聞きましたが、歌手というのはジャンルを問わず、首つり自殺はしないそうです。仕事で喉を使っていた訳ですから。」と、井関は言った。

「現場は、ヒヨドリさんの自宅ではない。単なる空き家だ。引っ越した後で、何も無い。施錠されていなかったのは、管理者である不動産屋がかけ忘れただけらしい。大曲達は、自宅に向かえ。辻さん達は、自衛官の友人を探して聞き出してください。」

「呼んだ?」神藤課長が、村松と顔を出した。

「遅い!」と、蘭子は睨んだ。

「メシ、食ってたんだもーん。その団体ねえ、公安でもマークしてる札付き。騒ぎ起こして金にする半グレの一種。まなとみなと会とも関係している。」

「じゃ、実行犯がいあるとすれば、その線か。行っていいぞ。」

「何、それ。」と言いながら神藤課長は出て行った。


 午後3時。就鳥の借りているアパート。

「ソプラノ歌手にしちゃ質素ですね。」

「音楽やってる人が皆リッチてのは、偏見だぞ、眩目。」

 俺は、すぐに調べ終えたが、気になって、下駄箱を調べた。男物の靴?

 カモフラージュ用かな?独身女性は、よく「自衛用」に置いてあるが。

 大曲先輩に報告すると、「持って帰って、鑑識に回せ。」

 そう言って、先輩はまた作業に戻った。

「あったぞ、手掛かりが。これ、何かの暗号だな。それと、脅迫メールがSNSに届いていたようだ。相手は送ってすぐ削除したんだろうが、こういうのは、ダウンロード保存出来るんだ。」


 午後4時。警視庁捜査一課横の応接室。

 ガイシャの同期の女性自衛官の橘花子さんに来て貰っていた。

「村松。後でお送りして。」と、蘭子は指示をし、村松は席を外した。

 大曲先輩は、プリントした楽譜を渡した。

「よく、暗号とお分かりになりましたね。」

「音楽の素養はあまりないが、歌の旋律じゃないな、と思ったので。」

「『まなみな』と読めますが・・・はて?」

 先輩と蘭子は顔を見合わせた。


 午後5時。捜査一課横の大会議室。『元自衛隊員変死体遺棄事件』本部。

 取り調べ室から、蘭子、大曲先輩、管理官、神道課長、新垣課長が出て来た。

 神道課長、新垣課長はすぐに出て行った。

「やっと吐いたよ。『思想活動団体』みるみるみらいの代表、ジャスミン鈴木は、自衛隊そのものを疎んじていた。『自衛隊音楽隊歌唱部』なんて、とても許せなかった。それで、写真週刊誌やマスコミを使って彼女を追い込んだ。彼女が退官した後も許せなかった。世間の同情が集まったからだ。それで、交流のある反社に殺させた。交際させていた男性自衛官もだ。この殺人事件はまだ明らかになっていない。彼女はPCのプロテクトには自信がなかった。危険を感じていたガイシャは、唯一の暗号解読者の橘さんに全てを託した。」

「お通夜には我々は行けないが、自衛隊では、お別れの会をそっと開くそうだ。黙祷!!」

 泣きながら、蘭子は皆に指示を出した。


 午後8時。眩目家。

「あれでも、学生時代、コーラス部だったからな、大曲は。譜面を読めるんだ。」

「引き留めて良かったね。」

「ああ、お前もな。ストレス解消には、運動が一番だ。」

「えっと・・・・・。」


 ―完―





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