第43話 竜騎士高野、初出撃! 空中戦と空飛ぶ記録スキル
契約から三日後──俺は、王都近郊の上空を飛んでいた。
いや、正確には俺の下にいるのは、竜──ガルダイン。
ガルダインは、まだ産まれてから半年ぐらいの幼竜だそうだ。
だから、まだ癖もないから乗りやすいそう。
ってことで。
こいつの背中に乗って、空を、いや、空中戦の訓練をしていたのだ。
「高野さん、高度、上げすぎ注意ですー!」
地上で手を振る篠崎さん。……ちょっと笑ってないか?
「大丈夫だ! ガルダイン、上昇、緩やかに頼むぞ!」
《記録》スキルによって、ガルダインの飛行パターンやバランス制御を記憶・共有できるようになった俺は、もはや“マニュアルなし竜騎士”。
だが、この日は訓練どころじゃなかった。
「報告! 西方空域にて、ゼルガルド帝国の偵察竜確認!」
見張り塔の号鐘が鳴り、セラ王女が兵舎から飛び出してくる。
「高野様、急ぎ、迎撃に参っていただけますか!?」
「ほ、本当に実戦かよ!? 初フライトで!?」
「大丈夫です! 私の直感では、あなたならたぶん死にません!」
「直感かよ!!」
だが、状況は一刻を争う。
俺はガルダインに飛び乗ると、勢いよく空へと駆け上がった。
──そして、見えた。
黒い翼を広げた異国の偵察竜。その背には、鎧を纏った竜騎士が座していた。
「こちらはヴェリディア王国所属、竜騎士高野一朗! 偵察を即時中止し、帰還せよ!」
だが相手は無視。
魔力を集束させ、火球を撃ち放ってきた!
「うおおおおい!? 話し合いの余地、ゼロかよ!!」
俺は咄嗟にガルダインを旋回させ、攻撃を回避。
「ガルダイン、カウンターいくぞ! 翼の軌道は右旋回からの反転で!」
《記録》が、相手の攻撃タイミングを分析する。
火球の準備時間、詠唱の速度、竜の反応時間──すべて記録、すべて予測。
「今だ!!」
ガルダインの尾が、相手の竜の翼に直撃!
騎士は体勢を崩し、あわや落下しかける。
「くっ……貴様、ただの新人ではないな!」
「新人だけど!? 元・派遣社員だけど!?」
続けざまにガルダインが咆哮し、空中での旋回戦が展開される。
お互いの竜が空を駆け、火球と風刃が飛び交い、空がまるで魔法の弾幕で染まる。
「高野さん、ガンバレー!!」
地上から聞こえる篠崎さんの声。
それが、不思議と勇気をくれた。
「よっしゃ、仕上げだガルダイン!!」
俺は竜の魔力流路を記録し、火球の放出タイミングを再現。
模倣した火球魔法を、俺の竜から発射!
直撃。
敵の竜が叫び声を上げて、ついに降下していく。
「任務完了……ってことでいいんだよな、これ!?」
俺たちはそのまま、空を旋回して帰還した。
初陣──空中戦、勝利!
「おかえりなさい、一朗さん! すごかったです!」
篠崎さんが駆け寄ってくる。
「なあ、俺……ちょっとだけ、本当に竜騎士っぽかったか?」
「はい。すっごく、かっこよかったです」
……顔が熱い。
こうして、俺は正式に“ヴェリディア王国第一竜騎士”として登録されたのだった。




