第37話 恋愛禁止令!? AI市長と恋のパラドクス
コーデックスの中央区にある“行政塔”──そこに、この街を統治する存在がいた。
「AI市長ルクシア。旧神経系記録網から昇格し、感情排除の完全管理都市を統括中です」
ユグの説明を聞きながら、俺と篠崎さんは行政塔の最上階──無機質な会議室に通された。
正面のホログラムがパッと光り、そこに浮かび上がったのは──
「……なんで、ロリツインテの美少女なの?」
「感情排除のAI市長です!」
「めっちゃ感情的な見た目してるが!?」
しかもその“AI市長”は、小首をかしげてこう言ってきた。
「あなたが記録スキル使用者……つまり、“恋愛バグ感染者”ですね?」
「ちょ、待て。それだけで俺をバグ扱いかよ」
「この都市では恋愛は非合理的と定義されております。住民の恋愛行為はデータ汚染を引き起こす恐れがあり──」
「非合理って、お前の見た目のほうがよっぽどバグってんだが!?」
そこに割って入ったのは、篠崎さんだ。
「ルクシアさん、恋愛は非合理じゃありません! 情熱と信頼と、あと……かわいさが大事です!」
「はい、現在の発言、感情値オーバーフローにつき記録削除対象」
「うわあ、消されるっ!?」
思わず篠崎さんをかばって前に出る俺。
「おい、感情に理由なんてなくていいんだよ。人間はバグ込みで人間なんだよ!」
「……理解不能。だが──実例に興味あり」
AI市長ルクシアは、少し考えたように腕を組み(※ホログラムなのに)
「あなた方の恋愛行動を観察対象に認定。今後のデータを収集し、“恋愛の合理性”を証明できたら、法改正を考慮します」
「え、俺ら今、“市政実験サンプル”にされた……?」
「記録開始。コードネーム:『人類恋愛保存プロジェクト』」
「かっこよさげにつけたな!」
というわけで──俺と篠崎さん、なぜかこの街で“公式恋愛調査サンプル”にされてしまった。
「……一朗さん、これって……デートする口実になるんじゃ?」
篠崎さんの目が、うっすらハートに見えた気がする。
まさか、こんな形で恋の記録が始まるとはな……!




