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第24話 第零層の開示──“神様会議”と転生プロジェクトの黒幕

挿絵(By みてみん) 

 俺たちが次の階層に進もうとしたその瞬間──


 突然、足元の魔法陣が紫色に発光し、空間ごとねじ曲がる感覚に襲われた。


「え、え!? またバグ!?」


「違うよ一朗さん! これは転送魔法です! それも、超高位……っ!」


 篠崎さんの説明が終わるより早く、俺たちは空中を飛ばされ、空間の裂け目に吸い込まれていった。


 ──そして、着いた先。


「……会議室?」


 目の前には、長机とふかふかの椅子。そして、やたらと高級そうなコーヒーカップがずらっと並んでいる。


 奥のホワイトボードには手書きでこう書かれていた。


《第1349回:転生プロジェクト運営・定例ミーティング》


「ここ、どこ……?」


「おお! 新人さん、いらっしゃい!」


 元気よく手を振ってきたのは──見た目だけなら小学生のような金髪ツインテ少女。いや、後ろで羽根がふよふよ浮いてるし、明らかにただ者じゃない。


「自己紹介しまーす☆ 運命管理課・課長代理のセレスですっ☆」


「軽いッ!!」


 その後ろから、もっとやばいのが現れた。


「どうも、前世管理部の中間管理職、ミカヅチと申します。いやー、今月もノルマが厳しくて……」


 スーツ姿、ネクタイ曲がってる、明らかに社畜くさい男。え、神ってそんな雑に存在してた?


 続いて現れたのは、モサモサした白髪の爺さん。ひざ掛けを巻き、湯飲みを手にして言う。


「ワシじゃよ。“忘却の神”じゃ。名前は忘れたがな。まあ座れ」


「いやもうお前ら誰だよ!? 神様ってもっとこう、神々しいものじゃないのかよ!?」


「今どきの神はね、低予算運営なんで。転生プロジェクトも外注ですわ」


 ミカヅチが乾いた笑いを浮かべる。ちょっと、そこの聖女、笑うの我慢して。


「それでだな、高野くん。君の《記録》スキルね、運営側でも想定外なんだよ」


「……またバグ扱いかよ!」


「いや、マジで。ログ解析したら君、“パワポで栽培マニュアル作ってた”だろ? あれ、他の転生者が嫉妬して問題になってんのよ」


「そんなことで……?」


 すると、会議室の中央の水晶玉が淡く輝いた。


「ほれ、見てみい。君の“記録”スキルが書き換えようとしているのは、“神の帳簿”そのものじゃ」


 水晶玉には、俺と篠崎さんの今までの冒険が映し出されていた。


「本来、転生者は“定められた筋書き”をなぞるはずだった。だが君は、自分で“物語を上書きしてる”」


 セレスが指をくるくる回しながら言った。


「つまりね、君は《自由意志型スキル保持者》。それって、私たちの領域に干渉できちゃうわけ」


「……おいおい、だんだん話が物騒になってきたぞ」


 そこへ、ガシャンと会議室のドアが破られる。


「待てぇい!! 自由意志なんぞ許されるかッ!」


 突入してきたのは──カチカチの鎧を着た、いかにも“古典的秩序の神”っぽいド直球キャラ。


「ワシが正義! ワシがルール! 記録を歪める者は粛清じゃあああ!」


「出た! 典型的“お役所的ガチ勢神”だ!」


 その瞬間、篠崎さんがステッキを構えて叫んだ。


「……すみません、もう我慢できないです! 一朗さん、いっちょ暴れましょう!」


「待ってましたあああ!」


 俺は木剣を振り上げ、《記録》スキルを全開にする。


「記録開始──神様の“弱点データ”、いただきました!」


 30秒後──カチコチ鎧の神様は、ひっくり返ったままぷるぷる震えていた。弱点は「怒鳴ると喉が枯れて動けなくなる」だった。チョロいな。


「ふぅ……なんだこの神々、職場見学かと思ったらバラエティ番組だったわ」


「うちの神様たちはだいたいこんなノリなんで☆」


 セレスがピースを決めた。


「ま、ともあれ。君たちの冒険、運営側でも正式に“非管理対象”として扱うことになった。つまり、自由にやっていいってこと!」


 ミカヅチがコーヒーを飲みながら言った。


「ただし……その代わり、最深部に潜む“記録されざる存在”の正体も、自力で暴いてもらう」


「なるほど。つまり──“俺たちの物語”は、これから本当に俺たちのものになるってことか」


 俺は、篠崎さんと視線を交わす。


「行こう、自由意志で選んだ道を、ちゃんと記録するために」


「はい、一朗さん」


 こうして、俺たちは塔の最深部へと向かう。神様たちのドタバタを背に受けながら──



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