表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雑草の花束  作者: 片喰
196/209

【第2パート】シェルファ

「は。」

 言葉の出ない私の声を、訊き返したと思っただろう、光羅謝は繰り返した。

『SLAY生産場所を、爆破させました。』

 その形式張った話し方は、やや上擦った声色を隠すためのように聞こえた。

「…本当か?」

『本当だよ。僕がやった。』

 ラオメの声はやはり、平生から感情の起伏が薄めの光羅謝以上に、力が籠っていた。覇気に満ちた鮮やかな声。

「じゃあ、この戦いは…終わったのか…?」

 語尾が掠れた。

 だって、父の仇は_複製の<申し子>は、まだ見えてすらいない。殴ってない。罵倒してない。

 殺し返してない…。 

『終わりな訳ないよ。』

 私の思考を止めたのは、八重の発言だった。

『<悪魔殺し>を潰したところで狩り隊はなくならない。ただ狩り隊を"攻略"しやすくなったってだけ。現に今うち町ん中に居るけど、狩り隊に会う回数は減ったけど、ヤベー隊員の割合が増えた印象。』

『彼女の言う通りです。確かに武器の消滅で戦いを諦める人々も居るでしょう。でもそれは全員ではないのです。単に諦めない人だけでない。自暴自棄になる人も捨て身の人も出てくる。』

 飛鳥が、ならば自分も早く合流しようと言った。確かに、二大強力魔術の持ち主は重要だ。光羅謝達は一旦帰ってからまた体勢を整えるらしい。リモンドは、元狩り隊チームの使い方を思いついたら伝えるように頼んでいた。こちらは手当てが必要ならすぐ連絡をよこすように話す。そのまま通話が終わろうというとき、蓮の低い声が響いた。

『卑俗で弱い人間って、ピンチのときほど強くなるものだよ。お伽話じゃあなくてね、ただ単にオレみたいなのは崖っぷちに立って漸く、戦うしかないって気付くからだよ。』

 そう呟く彼の声には諦念と嫌悪が透けていた。が、すぐにいつも通りの声で、

『オレもやれることをやるよ。みんな、気を付けて。』

 ほぼ同時に、銃声が響いた。レーリッシュが直ぐ様銃を構える。幼い頃からの訓練が、まだ体から抜けていないらしかった。

「音から1人。この通りをぶっ壊されちゃあ敵わん。」

『レリ1人で大丈夫〜?うちも行ったげよっか。』

「ほざけ。…いや、君達の女神様が1人でお留守番するのは大変かな。一緒にお留守番してくれるかい?」

「おい八重、ねずみ返し付きの落とし穴の作り方を教えてくれないか。」

 レーリッシュは口の端を緩め、通話を切った。スマホを投げてよこされる。

「行ってくる。」

「死ぬなよ。」

 たっと駆け出した風だけが返事だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ