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※本作には虐待や暴力など、心身に負担を感じる可能性のある描写が含まれます。物語上必要な表現として描写していますので、苦手な方はご注意ください。
葵は本当に三時間後にやってきた。意気揚々と若菜の家の玄関で出迎えた武尊は、その後ろに立っていた五十代ぐらいの男性を見ると、慌てて部屋の奥へ引っ込む。
そのようすを見た男は、ちっ、と舌打ちをした。
品行方正な雰囲気の葵と違い、髪は明るく染め、どこか荒っぽい雰囲気の男は、忠に勧められると頭を下げながら部屋に上がってきた。
若菜の家はLDKの間取りとなっている。
そのリビングに置かれているソファーに二人を案内すると、忠がお茶を出した。
「ありがとうございます。
それでは、改めて自己紹介をさせていただきます。
殺魔師をしております、物部葵です。
そして、隣は叔父の物部勝です。
ご存知かもしれませんが、殺魔師は通常二人で行動します。ですから、今回は私と叔父とで調査をさせていただきます」
葵と勝は頭を下げる。
「まずは、質問ですが。
最近、この辺りで怪魔を目撃したということや、怪魔に襲われたということはありませんか」
忠は首を横にふる。
葵はちらりと勝を見ると、話を続けた。
「それで、さっそく明日から調査を始めたいのですが、佐藤さんにも協力をしていただきたいことがあります。
一つは、事件現場になっている家を見たいので、警察にその旨を伝えていただきたいこと。
もちろん、私たちが殺魔師であることを話していただいてかまいません。
もう一つは、事件現場にいたと思われるお嬢さんのお話を聞かせていただきたいこと」
忠は頷いた。
「警察には、連絡をします。
それと、幸ちゃんにも、あなた方が話を聞きたいと言っていたと、伝えておきます」
「ちなみに、お嬢さんは? ここにはいないようですが」
葵は、子どもたちの顔をそれぞれ見て尋ねた。
「まだ気分が優れなくて、休んでいるんです」
「そうですか。
無理にとは言いませんが、できるだけ直接お話を聞けた方が、調査が進む場合が多いので」
「わかりました」
大人たちの会話を、子どもたちは好奇心に満ちた目で見つめている。
恭介はドラマであるようなシーンが目の前で行われていることに、密かに興奮していた。
「それと、武尊様」
突然名前を呼ばれた武尊は、驚いて葵を見る。
「明日から一緒に行動してください。
少しは殺魔師の仕事を知ることもできるでしょう」
不満そうな声を上げると、隣の勝が武尊を睨む。
その顔を見て、武尊はしぶしぶ頷いた。
忠は三人の雰囲気にただならぬものを感じて、控えめに尋ねた。
「あの、武尊くんとあなたがたの関係は……。
単に物部さんのお父さんの友人の子ではなさそうですが」
「私ども物部家は、県北で古くから殺魔師をしています。
武尊様はその物部家の当主です」
その言葉に、恭介と若菜が武尊を見る。
武尊は居心地が悪そうに頷いた。
「一応、そういうことらしい」
忠は戸惑いながら、さらに尋ねる。
「しかし、彼はまだ子どもですが」
「武尊様は当家のならわしによって決まった、正式な当主です。
もちろん経験不足は否めませんので、私がサポートをしていますが」
淡々と話す葵の言葉に、冗談は感じられなかった。
「それでは、明日また伺います。
それまでに、何かありましたら、先日お渡しした名刺の番号にご連絡ください。
夜分に失礼しました」
葵は事務的に伝えると、勝と一緒に帰っていった。
二人を見送った若菜は目を輝かせた。
「武尊って、本当に殺魔師と知り合いだったんだ。しかも当主って偉い人なんでしょう。
すごいね」
「別にすごくねーし」
普段の武尊だったら若菜の言葉に喜びそうなのだが、なぜかあまり嬉しそうではない。
「ねえ、パパ。
『ならわし』って何?」
「古くからの決まりってことだよ」
納得した若菜は再び武尊に尋ねる。
「ねえ、どんな決まりで当主になったの?」
恭介はあの不思議な剣を思い出した。
武尊は若菜から視線をそらすと、面白くなさそうに答えた。
「あいつらの話って、難しいからよくわかんねー」
「ふーん。そうなんだ。
でも、武尊がいてくれて助かった。
ありがとう。
これで、幸も気持ちよく過ごせるはずだよ」
武尊は少し嬉しそうに笑った。
それからすぐに、武尊と恭介は若菜の家を出た。
帰るときも、いつもより大人しい武尊が、恭介は少し心配だった。
本作品は個人創作です。
一部の表現や設定の整理にAI(ChatGPT)を補助的に使用しています。
「さち」名義で「pixiv」「小説家になろう」「カクヨム」にて同時掲載しています。
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