表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界喫茶『カフェ de ローズマリー』  作者: 杉崎 朱


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/30

第25話 10:10*チャーハン餃子定食


 GW8日目。



 俺のデスクがあるオフィス階には誰もいない。他の階には何人か見かけた。しかし、俺の階には誰もいない。それはそうだ、今はまだGWだからね!!

 他のフロアは出勤をしてきている人もいる。しかし、大方カレンダーのGWをずらして先に休みを取っていた人だろう。個人の希望なのか会社の方針でシフト制みたいなことをしているのかどうかは俺は知らない。しかし、俺のいるフロアでは俺だけだ。まぁ、人がいなくて気を使わなくていいからその分かなり楽である。


 ・・・そんな事はどうでも良くて、いまだにインターネットに繋がらない。他のフロアから特に声も聞こえず何も起こっていないので本当に俺のフロアだけが使えない状態。電源の確認、再起動、設定から全部見直した。なんなら今日来てからもう2回もその確認作業をしている。通信障害の発表も何もない。こんなのはもうお手上げ状態である。


 アンインストールやインストールを繰り返してもなんともならず、時刻は正午になった。





・・・ーーー





「もうそれ、通信機?モデム?の故障じゃね?エラー表示されないとかじゃなくてよ?エラーとか故障だったら”僕は故障してます!!”とか機械も申告できない事だってあるだろ?だって故障なんだからな!!」

 マスターがコーヒーカップにお湯を入れて温めながら話している。


「そうなんですよね。その場合は業者を呼ばなくちゃいけないんですけど、連休中は業者も休みですからね」


「そうか、仕方ないな。そう言うのは世界や国によって違うからな。買った後は修理も保証もない世界だってあるだろうからな。休み明けに来てもらえるだけでもまぁマシじゃねぇか?」


「そう思うことにします。でも、一応明日も来てみます。今日は・・・戻ったってもう手を尽くしたしなぁ」


「時間が経てば解決するってことだってあんだろうさ!!ほらっ!あれのケースだよ!あれ!!あれってなんてんだっけ?あれだよ!!あれのせい!!」


 マスターの淹れてくれたコーヒーを飲みながら会話をしている。時間が解決するケースではないんだな今回は。多分。なんだ?連休中に従業員が仕事しないようにたいよのPCがネットに接続できないように高度なプログラムが組まれているとか?いやいやありえない。

 俺のフロアだけがネットが使えないんだ。他のフロアは問題ない。そんなピンポイントであるか?機械周辺の確認や、配線も全部確認した。線が切られている事もなく、接続部分が入っていないとか差し込みが甘いって事もなかった。何が原因か皆目見当も付かない。


「今回に限ってそれだけはないと思うん———」




 ———カラン・・・

 


 会話の途中で扉が開いた。そう、今はお昼過ぎ。まだお店は混んでいてもおかしくない時間だ。そして・・・



「「ボウくん!!」」


「どうも、王妃の時以来ですね!」


「とにな!!あん時は助かったぜ!!もう王妃の世界は出禁になってるからよ!安心して飯食ってけな!!」


「ありがとうございます!早速、今日のランチを一つおねがいします」


「あ!マスター俺も!!」


「シェフっ!!ランチ二つなっ!!」

 ———カンッカンッ!!!





 ボウくん。

 棒人間のボウくんだ。本当に棒人間である。しかし、彼は俺よりも年上の同じサラリーマンだ。しかもかなり話がわかる人ときた。ボウくんとこの間あった時は、王妃もいたから全然話せなかった!!むしろボウくんが王妃の生贄となってしまって・・・!


「ボウくん!この間は本当にありがとうございました!!いや、もう流石というかなんと言いますか・・・」


「あぁ、僕の会社にも居てねああいう女王様気質の人。好きじゃないけど慣れって奴かな。やっぱり他の人はあの手のタイプは苦手だよね。僕も昔は本当に苦手だった。でもまさかそれがこんなところで役に立つなんてね。ウチの会社の女王様に感謝だね」


「女王様に感謝だなんてっ・・・!」


「おいおいボウくん、人が良すぎるぜ!!ったくよぉっ!!」


「ところでお兄さんは連休じゃなかったのかな?」


「それが、本来なら明後日から仕事なんですけど・・・まぁちょっと押し付けられてまして」


「ははっ!お兄さんも人が良すぎるじゃないか」






・・・ーーー




「お待たせ致しました!本日のランチは”チャーハン餃子定食”です!!」


 和服メイドさんが今日も今日とて可愛く俺たちにランチを持ってきてくれました!


「へぇ!餃子か!珍しい!初めてかもしれない!」


「ボウくんも初めて!?俺も初めて!!マスターの手作り餃子かぁ〜!!楽しみだ!!」


「たまげる程うまいぜ、覚悟して食いな」


 覚悟して食べるほどの餃子とは・・・っ!?



 俺は餃子には1:2で醤油、お酢だ。そしてラー油を入れる。そう、割と王道なのだ。隣のボウくんはお酢に胡椒をたくさん入れている・・!!そしてそこにラー油だ!!それも美味しそうだなぁ・・・。よし、まずは何もつけずに一つ頂きますっ!!


「「頂きますっ!!」」


 綺麗に一列に並んだ焦げ目と羽がついた餃子に箸を入れた。

 ———パリッ!!!といい音がした!!そして一つを掴み、そのまま口に入れた。


「・・・っ!!!!!んんんまいっ!!!」


 肉と野菜が半々の餃子の餡。とてもバランスがよく、野菜の・・・キャベツの甘みも感じれば肉肉しさも感じる・・・!!そしてちゃんとニラも生きている!!どうなってんだこの餃子っ?!しかもタレなくても十分に美味しい!だからってしょっぱいわけじゃなくてちゃんとタレをつけてもしょっぱすぎない感じでえーっとつまりっ?!


「とんでもなく美味しいですっ??!?」


「ほら言っただろ?たまげる程うまいんだろ」


「いやいや、僕の世界でも美味しい餃子ありますけど・・・これは参ったなぁ・・・もうマスターの餃子しか食べたくないって感じになっちゃうなぁ・・・」


 棒人間で顔の表情がわからないが、肘をついて顔を俯かせている姿勢から本当にボウくんが参っているというのが感じられる。いや、本当。どうしてくれるの。美味すぎるんだけど。


「よっぽど味付けの基準が違う世界の奴じゃなきゃ、ここで食べた料理が一番になっちまうからな。っとに、シェフってのは罪な奴だよな」


「「激しく同意っ!!」」


 俺とボウくんはそのまま夢中になって餃子とチャーハンを食べた。もちろんチャーハンも信じられないくらいに美味しい。一回会社の接待で連れて行かれた高級中華店のチャーハンを凌ぐ。それだけじゃない、下町で人気のこれぞチャーハンだ!!というチャーハンですら敵わない。何をしたらこんな色んなジャンルの料理をここまで美味しく作れるんだシェフっ?!



 ———カンッカンッ!!


 今日はメニューがチャーハンだから、中華鍋で返事をもらうことに違和感がない。そう、これだよこれ!!!




・・・ーーー



 ランチを食べ終わり、ボウくんとの会話を楽しむ俺。



「お兄さん、今度出張なんだね・・・大変そう」


「うん、まだ先だし、国内だし、そこまで遠くないから移動に関しては問題はないんだけど地方なんて同じ会社でも普段は特にやりとりないからもう別会社に行くようなものでさぁ〜!」


「あ、ちょっとわかるかも。僕の会社は30階から35階が僕のいる会社が借りてるんだけど、僕のデスクは35階なのね。でも30階の社員なんて顔も全然わからないよ。メールでやり取りしてる人くらいはいるかもしれないけど、すれ違ってもわからないかもって感じ。気持ち的には別会社の人って思ってる」


「ホント!他部署っていうかもう別会社みたいな気持ちだよね!!」



 やばい、会社の人ともこんなに話さないのに、同僚みたいにボウくんと話せて嬉しくて泣きそうな俺がいる・・・!!なんだこの幸せな気持ちは!!


「さて、僕はそろそろ行くとするよ。慣れたとはいえ、僕の会社の女王様のご機嫌が損ねないに越したことはないからね」


「お互いがんばろうっ!!」


 そう言って、ボウくんは扉を出て行った。さて、俺も・・・どうしよう。一応会社に戻ってみるか・・・手を尽くしたからもう戻ったってすることないけど・・・


「マスター、お会計お願いします」


「行くのか?どうせ変わんねぇって!もうちょっとゆっくりして行けよ!」


「まぁ、一応・・・もしかしたら直るかもしれないって希望だけ持っておきます・・・」


「ほら!!さっきも言ったけどアレの仕業かもしれねぇぜ?!アレだよ!!あ!!思い出した!!磁場妨害!!太陽フレアの影響とか!!」


「だとすると、俺のいる階だけじゃなくて全国的規模だと思うんすよね・・・」


「そうだったな。・・・兄ちゃん、頑張れとは言わねぇよ。適当にな。今日は350円だ」


「安っ・・・!!!まぁ、ここの食事の美味しさと安さと人たちに助けられてます。ありがとうございます!明日も来ます!!!」


「明日までがGWだろ。直るって希望持ってるんだから明日は来ない方向で考えてくれ」


「確かにっ!!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ