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異世界喫茶『カフェ de ローズマリー』  作者: 杉崎 朱


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第24話 12:29*カルボナーラ


 GW7日目。


 連休自体は9日だ。しかし、念の為で俺は明日と明後日は出勤をして会社のPCがネットに繋がるようにしなければならない。っていうかあれだけやってダメだったんだ。時間が経ったら治るとかそういうことじゃないだろう。通信障害のお知らせもなかったんだ。二日間やってダメならもう俺の責任ではない。・・・違う!!だから元々俺だけの責任ではないのだっ!!危ない!




「で、明日から出勤するのかい?」

「グルルル」

「はい、この間デキ(ジョ)さんとお会いして次の日から休みを謳歌して、結構楽しめたので明日から二日間はちょっと仕事しようかなって思いまして」

「お前さんも真面目だなぁ?言っただろう?この世の中は真面目が馬鹿を見るんだぞ?せっかくの休みに出勤するんだ、あくまでも適当にな?まぁもう何かの拍子に直ってるかもしれないしな!もし直ってなくても暗くなるな、状況を楽しめ。最終的に怒られるのは上司の方だろう?」




 この間初めて会った、デキ女さんとチーターが来ていた。



「そうだといいですけど、上司が怒られた後に絶対俺を呼びつけてみんなの前でネチネチ文句を言うんですよ・・・それが凄く嫌なんですよね・・・」

「どこの世界も同じような事で悩んでるんだな!」

「お前のポジティブがレベチなんだよ」

 デキ女さんの世界でも俺のような人間がたくさんいるらしい。しかし、そう言った人間が多いのが一般的だと言うように、マスターがデキ女さんだけが違うと指摘した。でも、できれば俺もデキ女さんみたいな考えになりたい。



「人間は本当に面倒な生き物だよな。生まれた場所も育った場所も環境やしきたりも全部違う人間が一緒にいるんだ。だからこそ全員がそれなりに仕事をしやすい環境になるために規則やルールを設けているんだ。それも絶対的な正しさじゃない。絶対に正しいことなんてないんだよ。ただ、その場所で別々に生きてきた多くの人間が一緒にいても不快にならないように。なるべく平等と公平になるように()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()な。その規則を守れない奴、むしろ破ろうとする奴、抜け穴を探して喜んで突く奴、逆にそのルールが全て正しい事だと思い込んでルールを守りすぎる奴。規則やルール・・・あ!規則もルールも一緒だな!!はは!!その規則だってまぁ決定事項っちゃ決定事項だけど結局はその規則を守ってればいいって話じゃないんだよ。って、そういう中で生きてるんだ」


「マスター!!デキ女さんが何を言ってるのかちょっとしかわかりません!!!」

「おう兄ちゃん!!ちょっとでもわかりゃ大したもんよ!!優秀優秀!!」

「つまり、法律や条例、規則なんて大したことないって意味さ!人間思うことなんて人それぞれなんだからな!」

「今度はデカく雑すぎてわからないっ!!」



「お待たせいたしました〜!本日のランチの”カルボナーラ、カラスミ掛け”です!」



「おお!カルボナーラか!シェフやるじゃないか!」

「カラスミですか!!美味しそう・・・!!」

「さぁさぁ、美味しいご飯を前に小難しい話は無しだ!思いっきりこの美味しそうなカルボナーラを堪能しようじゃないか!目の前の幸せに馬鹿正直に喜んで心の底から堪能する!!悪い感情じゃないんだ、嬉しい感情は爆発させてこそだからな!マスター、シェフ!!ありがたく頂戴する!!」

「頂きますっ!!」



 カルボナーラの湯気に混ざって、カラスミの香りがかすかに・・・!!いい香りだ!!


 確かにこんなに美味しそうなランチを食べながら悶々としているなんてそれこそ馬鹿げてる!!美味しいものを食べる時には余計なことを考えないに越した事はない!!でもよく言うよなぁ・・・失恋した時はショックすぎて食べ物が喉を通らないって人。俺は恋愛でそんなに落ち込んだことはないけど。でも女性で酷くやつれてた人が前———


 バチンッ!!!!!

「あいでっ?!?!」

 突然デキ女さんに背中を叩かれた!!マジで痛い!!?

「おい!!デキ女!!お前の一撃は殺人級だ!!気を付けろよ!!兄ちゃん大丈夫かっ!?」

 マスターが慌ててカウンターに飛び乗り俺の元まで来て背中を撫でた。


「おいコラ!!お前さん雑念が多い!!ランチに集中しろって今言ったばかりじゃないか!!」

「だから他の人類とお前を一緒にするな!!大丈夫か兄ちゃん!?息できるか?!」

「だっ!大丈夫です・・・!!」

 小さい時に、鉄棒をやってて背中から落ちた時みたいな衝撃で一瞬呼吸が止まったけど!!


「ほら!スパゲッティーは出来た時が一番美味いんだ!!今すぐ食べろ!!うん!!んまい!!」

 そう言ってデキ女さんは口いっぱいにフォークに巻いたカルボナーラを入れた。っく・・・!!美味しそうに食べる!俺も早く復活して食べねば!!


 フォークに平打ちの麺を巻き付ける。巻いているとまた中から湯気が出てきた。黄色いソースが食欲をそそる。そして巻き終わって最後に削られたカラスミを少しだけ付けて食べる!!!


「・・・くぅあああっ!!美味い!!」

 ———カンッカンッ!!!


 シェフがいつもと同じ返事をくれた。・・・あれ?このカンカンって音、中華鍋とオタマの音だよな?パスタなのに中華鍋?ってか和食の時もこの音だから、これは返事用の中華鍋なのだろうか?いけない!!また雑念を感じ取られてデキ女さんの喝が飛んでくるかも!!カルボナーラに集中集中!!!



「かぁあああ!!美味いな!!チーターも食べれれば良いのにな!まぁその分私が堪能するとしよう!!」

「御主は少し黙って食べると良い」

 チーターはこの間も食事を摂らなかったな・・・なんか理由があるんだろう。まぁチーターだしカルボナーラ食べなくても問題ないだろうし。それにしても美味しい!!カルボナーラってこんなに美味しかったっけ?!いや美味しいのは知ってるんだけどっ?!


「シェフのカルボナーラ美味しいですよね。私も先に賄いとして頂きました。普段いろんなところで食べるカルボナーラだって美味しいのに、シェフのカルボナーラはなんでかもっと美味しいですよね」

 和服メイドさんが俺に寄ってきて話かけてくれた!!しかも俺が今思ってた事だよ!!なんだよこの人本当に可愛いなぁ!!


「はい!俺も今全く同じことを思っ———」

「メイド!!今は食事に集中だ!!後で存分に話しかけてやれ!!」

「あっ!大変失礼いたしました!!」


 全然失礼じゃないけどでもカルボナーラを夢中で食べたい気持ちも確かにある!!ただ”話しかけるな!”って言うんじゃなくて、”後で存分に話しかけてやれ!”ってところにメイドさんの尊重されている!!コレがデキ女たる所以か!!シェフとスパゲッティーを尊重してえう。しかしメイドさんと俺の話したい欲をちょっと無碍にされた感はあるが、救済も視野に入れているところ!!なんたってそれをはっきり言える事だ!!!あぁ!!ベーコンも美味い!!黒胡椒も最高!!!



・・・ーーー



「ああーーー!!今日も美味かった!マスター、シェフ、ご馳走様。もっと話をしたいが、今日はこの後ちょっと外せない仕事でね。失礼するよ」

「珍しいな?大体大事な会議も商談もいい加減でさぼっちまうお前さんがか?」

 商談サボるって何事?


「今日は致し方ない。この女、この後に樹海の探索の仕事がある。前任者が昨日から帰っておらず、白羽の矢がこの女に立ったのだ」

 チーターがデキ女さんのこの後の仕事を発表した。


「はぁっ?!樹海?!」

「お前そんな仕事の前によく集中してあれだけ楽しそうにカルボナーラ食えるよな・・・」

 俺は驚きマスターは呆れたように言った。

「人生楽しんだ者勝ちだぞ?マスターも気を使いすぎると禿げるぞ?」

 そう言いながら身支度を始めた。

「デキ女さん!!今日もありがとうございました!!あのっ!!どうかご無事で!!!」

「大丈夫大丈夫!!いいってことよ!!それより仕事適当になっ!!」


 太陽よりも眩しい笑顔を向けられた。


「シェフ!!カラスミの塩分量を考慮して、カルボナーラの塩分量を美味しくなくなる直前の限界まで少なくしてる所、流石の技術だな!!」

 ———カンッ!!カカカンッ!!!



「バカ舌みたいな雰囲気のクセにちゃんとそう言うところわかってんのがムカつくよな。マジでデキ女の名に恥じぬわ。更にムカつく」

「男勝りですね・・・」

「だから結婚できねぇんだよアイツ」


「なんか言ったか?!」


「「イイエ、ナニモ!」」


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