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第43話「突然ですが、依頼達成でよろしいでしょうか?」

「というわけで、これが証拠です」


 夜も更けた頃にウェルイン村に帰ってきた俺たちは、村長の家で依頼の報告を行っていた。

 白狼の群れがハイゴブリンに襲撃され、乗っ取られていたこと。野菜を奪っていたのはハイゴブリンの命令であるということ。俺たちと白狼でハイゴブリンを含むゴブリンは全滅させたこと。

 そして今、カトレアに頼んで目の前に証拠を提出した。

 ゴブリンの魔石を計三十七個。ハイゴブリンの魔石一個。物証としてハイゴブリンの頭を一つ。

 討伐証明のゴブリンの耳? ほとんど残らず狼たちが食べてしまったよ。

 どうやら奪った野菜もゴブリンたちが食べてしまったらしく、ほとんどの狼たちが白狼と同様に飢餓状態だった。

 ゴブリンの肉なんてとてもではないが食えたものではないはずなんだが、肉食のうえに腹を空かせている狼たちにとってはありがたい食事だったらしい。

 せめてハイゴブリンの討伐部位はとっておきたいと白狼に交渉し、これだけと魔石だけはなんとか持ち帰った。

 狼たちも魔石や骨までは食わなかったから、回収にはさほど手間はかからなかった。食事を終えるまで待つ方が時間がかかったが。


「それじゃあアンタらは、狼どもを退治してこなかったってわけか?」

「当たり前じゃろう。白狼様たちは何も悪くない、むしろ被害者ではないか」

「被害者ヅラしてるだけだろ……」


 話を聞いていた村長の息子は、不機嫌そうに言った。

 彼にとっては畑を荒らしたのが狼たちの本意であろうがなかろうが、関係ないらしい。

 直接手を出した犯人になんの処罰をしなかったことが不満なんだろう。


「それにしても、こんなにでかいゴブリンがあの山にいたとは……」

「いいえ、おそらく別のところから移ってきたはずです。これだけの代物がこの近辺で手に入るはずがありません」


 カトレアは魔法鞄から、ゴブリンたちが手にしていた武器の一部を取り出した。その中には、ハイゴブリンが使っていた戦斧もある。

解析(アナライズ)》で見たところ、どうやらCランク冒険者が使っていた戦斧だった。もちろんCランクに相応しい価格で取引されている、正規の品だ。

 この辺りには冒険者ギルドもないし、冒険者に依頼を出した過去もない。たまたまあの山にCランク冒険者が迷い込み、ゴブリンに奪われた、という線はまずありえない。

 まだ別の土地にいる冒険者を倒すか奪うかして手に入れ、ここまでやってきたと考えるほうが自然である。


「ゴブリンたちが持っていた装備は持ってきたので、村の方で綺麗にして売りに出せば少しは補填できると思いますよ」

「今年はな。だが、来年からも無事とは限らねえ。味を覚えた狼どもが襲ってきたら、今度はどうするつもりだ! また俺らで金を掻き集めて依頼しろってのか?」

「おい! なんちゅう口の利き方をしとるんだ!」

「事実だろ! 狼どもの問題はなんの解決もしてねえ!」

「なら直接交渉してみてはどうです?」

「「は?」」


 俺たちは村長とその息子を始め、今回の依頼に関わった一団を村外れに連れてきた。

 松明に照らされた村を覆う柵の向こう側に、白狼をはじめとした狼の群れ総勢四十体がお座り状態で待っていた。やせ細ってはいるが、どの狼も精悍な顔立ちでこちらを伺っている。

 狼たちを代表し、白狼が一歩こちらへと歩み寄ってくる。

 村の若者たちはその迫力に怯え後ずさったが、村長をはじめとする年配の者たちは膝をつき有り難がった。


「は、白狼様……?」


 松明が照らす明かりの下で、白狼は誰にでもわかるように頭を下げた。それに従い、後ろに控えていた残りの狼たちも深々と頭を下げる。

 これは謝罪の意だ。白狼や狼たちも、ゴブリンのせいにして自分たちの無実を主張するほど、愚かではなかった。前の長たちが守ってきた村人と白狼様の関係を、自分たちの代でめちゃくちゃにしまったのだから。


「あ……謝ってもらったところで、なくなった蓄えは戻ってこないんだぞ」

「お前、白狼様になんて口を……」

「ワウッ」


 村長が息子を咎めようとするが、白狼は遮った。

 代わりに仲間の狼に目配せをすると、そのうちの何頭かが立ち上がり、村の入口の方まで歩いていく。

 ついて行ってみれば、門番の隣りで鎮座する狼の姿があった。まるで狛犬のように、この場所を守ろうとする強い意志が感じられる。


「お山から守ってくれるだけでなく、村を直接守っていただけるというのですか?」

「ワウ!」

「入口だけでなく、畑や他にも必要な場所があれば、仲間を派遣すると言ってるようですよ」

「おお、本当でございますか……!」

「(コクン)」

「どうやら、これが白狼たちなりの謝罪らしいですよ。次期村長」


 彼らが犯した犯罪は、たとえ強制されたものだとしても罪は罪だ。裁きたいという彼の気持ちはわかる。

 しかし白狼も他の狼たちも、既に反省し償おうという意思がある。それを無視して根絶やしにするなど、俺には出来そうにない。

 だから、彼らの償いの形を直接見せることにした。これでもなお命を奪いたいというのであれば、さすがに手を引かせてもらう。


「お前は白狼様たちの謝意を受けて、なお鞭打つような裁きがしたいというのか? 人間でないなら何をしても許されると思っているのか?」

「………………」

「そんな者がわしの跡を継ぎ、村を守っていけるのか? 他人の気持ちを正しく受け止め、不当なく裁けない者に人がついてくると思うてか!」

「…………ふん。口で言うだけなら誰にだって出来るんだよ」


「……おい白狼。こいつらをサボらせんなよ。サボんなければ……いつも通りお供え物は出してやるからよ」


「ワォン!」

「「ワォォン!」」


 どうやら、一度は危ぶまれた共存の道は、まだ繋がっていけるようだ。

 俺はしばらくの間、白狼たちと村人の今後の関係についての打ち合わせに同席した。

 アルメリアも最後まで携わっていたかったようだが、カトレアが休みを取るように強く言ってくるため、二人揃って先に宿で休んでもらった。

 白狼たちは群れの半分を村の見回りや防衛に当て、残りの半数は狼の山に戻って引き続き魔物の間引きを行うことになった。

 お供え物に関しては、畑を襲った罰としてしばらくはなしだ。ただし、村の見廻組には駄賃という形で野菜を渡すことになった。

 カトレアに頼んで持ち帰ってきた戦斧以外にも、他のゴブリンが持っていた武器を狼たちが運んできたため、今年一年は他所から買い求めることで事なきを得られそうだ。

 話がまとまる頃には既に日付が変わっており、白狼たちはこのまま見張りに立つことになった。

 夜も遅かったせいで村人全員にこの件は周知できていないが、朝一で集会を開き伝達する手はずになっている。ここまで段取りが決まれば、俺たちが手を出せることはもうない。

 村長から依頼達成の認可をもらい、ようやく眠ることができた。


 その後の話になるが、ウェルイン村には狼がいたるところにおり、村の中には銅像まで作られより親密な間柄になったらしい。

 彼らは魔獣でないのに村人と心を通わせ、力を合わせて魔物を撃退するようになった。そう遠くない未来、ウェルイン村は『動物使い』と『魔獣使い』の発祥の地になったそうだ。











 明けて翌日、朝食後に村の集会が終わるまで見届けてから俺たちは馬車で村を出ることにした。

 明るいところで見える村人たちは、やはり年配の者ほど狼たちを崇め、若者たちはおっかなびっくりしており、子供たちは初めて見る動物に大はしゃぎだった。

 剣呑な表情を浮かべる者はいなかったから、やはり前向きに受け入れる方向性で進んでいきそうだ。


「それじゃ、元気でな白狼」

「もう魔物に負けたらダメよ」

「「「ワウッッ!」」」


 馬車に乗り込む俺たちを見送りに来る白狼と狼たち。

 力強い返事は、彼らの新しい決意の現れだ。これからどうなっていくのか見届けられないのは残念だが、互いに歩み寄る意志があるなら心配はないだろう。


 そう思って馬車に乗り込み、王都への帰路に着いたのだが……新しい心配事ができてしまった。


 どういうわけか、アルメリアがずっと黙ったままなのだ。

 行きの時のように魔力の制御訓練をするわけでもなく、雑談をするわけでもなく、ずっと窓の外をぼんやりと眺めたまま一言も発しない。

 その横顔はまるで能面のように無表情で、怒っているのか苛立っているのか気に入らないことでもあったのか、さっぱりわからない。

 なんで後ろめたいことしか思いつかないのかって? 散々ため口ききまくった後だからだよ。怒らせる要因はかなり思い浮かぶが、それ以外に心当たりがない。だから恐ろしくて声もかけられないのだ。


「…………これで今回の依頼は終わりなのよね」


 ガタゴトと揺れる馬車の音にかき消されてしまいそうなほど、小さな声でようやくアルメリアが呟いた。


「そうだな。明日からまた学園だ」


 スルーしてまた沈黙が訪れるのも気まずいので、当たり障りのない相槌を打った。

 けれどそれは届いていなかったらしく、アルメリアは口元に小さく笑みを浮かべた。それは自嘲の笑みだった。


「結局……私は何もできなかったわね」


「カトレアに守られて、貴方と白狼には足でまとい扱いされて、本当にただくっついてきただけ。こんなので初陣を華々しく飾れるとか思っていた昨日の私は、よほど滑稽だったでしょうね」


 そんなことはない。彼女の魔法の援護がなければ、白狼がハイゴブリンを討つのに時間が掛かったはずだ。

 それに彼女たちが一緒に来てくれなければ、依頼を受ける前にもうひと悶着起きて期日までに達成できなかった可能性だって十分にある。

 アルメリアのおかげでこんなに早く依頼を達成できた。それは間違いでない、けれど……。


「……そんなことはない。とは言ってくれないのね」

「俺がどうこういっても、アルメリアがそれでは納得できないだろう?」

「ええ……だって私、一体も魔物を倒してもいなければ直接戦ってもいない。依頼に全く貢献できていない、それでどう納得しろというの?」

「でも相手が悪かったのも事実だ。山の調査程度だと思っていたけど、予想外の大物と手勢だったんだ。今回はイレギュラーな結果だよ」

「それなら、ただのゴブリンが相手だったら貢献できた? 貴方や白狼と一緒に戦うことはできた?」


 アルメリアの詰問に、俺は答えられなかった。

 ただのゴブリン相手に、彼女一人立ち回るのはできるだろう。一対一という条件さえあれば。

 だが、俺や白狼のように相手の近くで戦い、素早く攻撃と魔法を繰り出すスピード勝負についてこられるのかといえば、無理に決まっている。

 それは彼女が武器を持っていなかった、というだけじゃない。詠唱なんて悠長な時間を使っているから、ついてこれなかったのだ。


「貴方がアカデミーでわざわざ詠唱しない理由がわかるわ。実戦であんなに長く詠唱していたら、誰かに助けてもらわないと魔法の一つも撃てやしないんだから」


 アルメリアもそれを嫌というほど実感したんだろう。

 事実、俺は戦いながら何度かアルメリアが魔法を唱えようとしていたところを見ていた。

 けれど詠唱している間に敵が逃げたり、動き回られたり、照準から外れてしまい一から唱え直す羽目になっていた。

 一年生である彼女は、まだ移動しながら魔法陣を描くコツを知らない。だからジッとしている相手にしか魔法を当てられないのだ。

 魔法書を読むだけでも、授業を聞くだけでもわからない、実戦を知るものだからこそできるテクニックがある。それは戦闘の初心者がすぐに身につけられるものじゃない。


「ねえ、レオ……貴方に習う裏技、期間の延長をお願いしてもいいかしら」


 外を見ていたアルメリアが、ジッと俺を見据えてくる。


「……具体的には?」

「無詠唱で発動させる方法。そして貴方が実戦で使える技術を、少しでも多く教えて欲しいの」


 随分と大きく出たが、確かに教えることは不可能ではない。

 彼女にできないことと言ったら義眼の魔法具を介した技術くらいだが、それは視界と同期させるくらいで別に難しいことはしていない。

 だが、それはいくらなんでも恩返しの領分を越えている。さすがに教えろと言われて、はいそうですかと簡単に頷けるものじゃない。


「もちろん、タダでとは言わないわ。ついでに言うと、今さら報酬を出すなんて契約内容を違えるようなことを言わない。それでは筋が通らないでしょ?」


 こちらの意図を察したのか、アルメリアは金払いで教わる気はないという。

 確かに今さらお金をもらってまで教える、という方針に変更するのは座りが悪かったが、ならどうするというのか?

 言ってはなんだが、彼女から俺に提供できるものに想像がつかない。そもそも、俺がこれといって欲しいものがないからだ。

 金は自分で稼げる分あればいいし、どうしても欲しい代物も思いつかない。手堅く払えて誰もが有効活用するのが賃金なのに、それ以外に何を支払うというのか……。


「レオ。貴方は特待生で入学した。ついでに言うと、卒業まで特待生でいたいのではなくて?」

「……まあ、俺は平民だからね。節約できるところは節約したいよ」

「だったら、私はそれに協力しましょう。もちろん、学費を肩代わりするということではないわ」

「それなら勉強を教えてくれると? あいにくだけど今はそこまで困って」

「礼儀作法。各種公の場でのマナー。ダンスステップ」

「……………………」

「貴族の令息令嬢なら幼少期に叩き込まれて当然の礼儀作法、貴方はどこまで身につけているかしら? 授業では習わないけど、完璧にこなせる?」

「犬とお呼びください」

「急にそこまで卑屈にならないでよっ。だから、これが私から提供できる対価よ」



「貴族が習う礼儀作法を貴方に教えてあげる。それこそいつ王宮で王族とお話しても恥をかかないほどに、完璧にね。

 だから……この対価に合う範囲で、貴方の持てる技術を私に教えて欲しい。どうかしら?」



 はっきり言って、破格の条件だ。

 アルメリアが言った通り、アイワーン学園では貴族が通うことを念頭に置かれているため、礼儀作法に関する授業は一切行われない。

 そのくせダンスパーティーを始め、アカデミー生のみだが卒業記念パーティーや交流茶会など作法にうるさそうな行事がたくさん出てくる。

 礼儀作法やマナーは普段の学生生活や行事の中で見られるため、そういった行事でちゃんと出来ているアピールをしなければならない。

 もちろん独学で勉強したし、今のところ大きなボロは出てないように思える。けれど、今後も大丈夫だという保証はない。

 特にダンスや茶会での作法といった、相手の動きや道具を用いたマナーなんかは勉強しただけで、実際に習ったわけじゃない。土壇場になって失敗する可能性は十分にある。


 それをアルメリアが教えてくれる。しかも、対価として要求される俺の技術は、こちらの匙加減に任せるというのだ。

 だからといって、すべて適当に済ませるつもりはない。彼女が求めるレベルのものを、少しずつものにしてもらえたらいいと思う。

 期間限定にして詰め込めるだけ詰め込んでも、どこかで油断や慢心、見落としがあった瞬間、魔法は自分に向かって牙を剥いてくる。

 今教えている内容は、ジェーンさんクラスの人からすれば初歩の初歩だ。しかし、無詠唱の発動にまで話を持っていくと、素人の生兵法ほど危険なものはない。

 故に最後に、この条件だけはどうしても受け入れてもらわなければならない。


「俺がいいというまで、勝手に教えた技術を用いて魔法を使わない。それも条件として飲み込んでくれるなら、喜んで内容を更新しましょう」




「そう――――なら契約更新、成立ね」





 今まで浮かべていたこわばった表情が崩れ、年相応の柔らかな笑みを浮かべるアルメリア。

 これからもよろしく、と差し出された小さな手を直ぐに握り返せないくらい、彼女の笑みは美しく可憐だった。


 そこから先は、いつもの調子に戻ったアルメリアが訓練で四苦八苦するのを見守り、時に助言しながら行きの馬車と同じ雰囲気で王都までのんびりと向かっていった。

 馬車を公爵家に置きに行ったカトレアと共にアルメリアは公爵家に戻ることになり、そこで俺たちは別れた。

 冒険者ギルドに報告に行った俺は、さすがに貴族から圧力が掛かっているかもしれないと嘘発見器に似た魔法具で検査されながら、包み隠さず報告を行った。

 すると少しずつ、報告を聞いているユエルさんの頬が引き攣っていった。やがて最後まで話を聞き終えると、やけに疲れた表情でテーブルに突っ伏してしまう。


「あの……レオ君? 一度本格的にお祓いを受けてみる気はありませんか」


 前世の頃によく言われたセリフだ。まさか今世でも聞くことになるとは……。

 というか、お祓いという文化がアレスガルドにあることが驚きだ。


「東大陸の島国では、『巫女』と呼ばれる神官がいるそうです。神の声を聞くだけでなく、運勢を向上させたり、対スピリット系の魔物に対するスペシャリストがいるそうですよ」


 絶対それ転生者の末裔か、転生者が作った文化だろう。

 胡散臭い、とまでは言わないがマイナ様からは転生特典で授かった加護は子孫に引き継がれないという話だから、立ち上げた人物よりも腕は落ちるはずだ。

 ついでに言うなら、お祓いを受ける気はない。多分、というか絶対に無駄にお布施を払って終わりそうになる気がする。

 なにせ転生の女神さまでさえ俺の不幸に匙を投げて、少しでもプラスになるようにギフトを与えたくらいだからな。


「まあ確かにハイゴブリンと戦うDランク冒険者なんていませんよね。パーティを組んでて運が良かったですよ」

「それなのですが……ハイゴブリンの討伐の件について、お話が……」


 なんでも、DランクがCランクに上がるためにはCランクの魔物の討伐依頼を受ける必要があるのだ。

 そう、あくまで偶発的な遭遇ではなく、自らの意思で討伐依頼を受けることで、昇格試験として扱われる規約になっている。

 つまり……調査依頼で偶然ハイゴブリンは倒したが、それではCランクへの昇格はできないのだ


「申し訳ありません。そのかわり、レオ君で討伐できそうなCランクの討伐依頼があれば、優先的に確保しておくから!」

「いえ、そこは普通に回してくれていいですよ。討伐依頼を後回しにして困るのは、依頼をした人たちなんですから」

「うぅっ……ごめんなさい、レオ君」

「規則なら仕方ないですよ。それに、あまりランクには固執してないですから」


 少なくともアカデミー生であるうちは、そこまで熱心にランクを上げるつもりはない。卒業して冒険者としてやっていくのであれば、もう少し貪欲になるかもしれないが。

 もともとハイゴブリンとの遭遇はイレギュラーなのだ。命があっただけで物種だし、ランクの昇格までは望んでいなかったのだから。

 ただ、それでもハイゴブリンの魔石はかなり高値で買い取ってもらえた。

 本来なら夜に帰ってくる予定だったが、日の高いうちに帰って来れた上に報酬までたくさんもらえたのだ。今回の依頼は満足な成果だったと言える。


 だがしかし、これの反動なのだろうか。

 翌月の頭頃、再び不運が俺に牙を剥いたのだった。




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遅筆な作者のペースが上がる! ……かもしれません(汗

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