混深 1
「...よし、頼む」
「あの、本当にいいんですか? 自分殺されません?」
9歳、この日俺は最近改装された小綺麗な闘技場にてバクと2人、模擬戦を提案した。
今なお人に対する敵意のある者もいるため、筋肉質かどうかを除いて体格がほぼほぼ同じバクに頼んで小手をはじめとした軽装防具を用意してもらった。さすがにバクの今の一撃は本気でなくてもすぐにダウンしかねないから。
「頼んだのは俺だぞ? それに少しづつ上げていって俺のレベルに合わせてくれればいいから」
「...まあいいですけど、ソレも使わないってのはちょっと不安しかないんですが」
とバクは俺の足元に置いた小型バッグを指さした。
「ユウマさんのびっくりアイテム戦を抜きにするって、申しにくいですが今の自分相手に無謀ではないでしょうか。自分、むしろその知識の広さで戦い抜いてきたユウマさんもすごく尊敬していて」
「じゃあ聞くが、もし俺と対峙するとして、俺の戦法知ってる条件ならどうする?」
「...正直、危険の度合いが掴めない以上、初手からそのバックを無力化します。」
「だろ?俺だってそうする。あるいは逆手に取る。『粉塵爆発』何て、それこそ自滅しかねないしな」
「で、ですが!」
「いいから構えてくれ。先手もらうぞ!」
俺は言い終わると同時に距離を詰めた。
俺のスタイルはどこまでいっても『卑怯』と言えるものだろう。バクが慌てて構えた時には拳がバクの胸に向かっていた。
ガン!
「...クソッ」
だが、所詮ガキの拳、どんなに薄い防具でも特にダメージなどなく、遅れて反応したバクの裏拳が俺の顔に向かってくるのがわかった。
ドンッ!!
わかってはいた。
俺の最後に見た景色は、薄暗いが晴れた空だった。




