act.27
あのジジイ、トンプソンは巫山戯た事にあの襲撃から一時間後には前金らしい4千万を振り込んで来た。
そして、更にその3日後にはオカッパで大きな丸メガネをかけた地味そうなJKとその地味子を守る様に猫耳を生やした筋肉質な巨乳JKに派手な真っ赤なパーカーと隠す気ゼロのマチェットを下げたエルフJKがやって来た。
場所は赤城ミリアの自宅に成っている公社のビル。
「アンタの事は知ってる」
地味子の名前はユキコと言うらしい。ユキコ・トンプソン。彼女の母親は日本人の血を引いているらしい。そして、コールドスリーパーだったとか。
「それは光栄な事だ。
それで、僕は君の説教を引き受けるなんて一言も言ってないんだがね?」
「私だって高々人殺し風情に私の生活をとやかく言われる事はされたくねぇんだ」
「なら、何で来たのさ?
仕事のジャマだからゴットファーザーごっこしに帰りなよ」
出口は入り口と一緒だよと告げるとエルフとネコ娘が此方に殺気を飛ばしてきた。
思わず撃っちゃう。2人はそのまま後ろに吹っ飛んだ。ゴム弾入れてて良かったよ。
「ああ、ゴメンよ。
仕事中だからさ。こうなるとは思って最初の一発はゴム弾なんだ。
次からは本物。死ぬから気を付けてね」
「部屋の中で銃ぶっ放さないで!臭くなるじゃない!」
ミリアが僕に向かって呼んでいた雑誌を投げつけて来た。
「無理無理。
殺気感じたら取り敢えず撃って置かないと誰かがケガする。
殺気出してきた奴が怪我するなら良いけど君や僕だと不味いことになる」
「しらないわよ!
そこをどうにかするのがアンタの仕事でしょ!」
我儘なお姫様だこと。思わず殺気が漏れちゃう。ブチ殺すぞクソアマが……
「取り敢えず、君がどんな遊びをしようと勝手だ。然し乍ら、今日のこのやり取りだけで僕は君等が敵対している組織から君を殺すように依頼されたら僕は迷わず受ける程度には君等にヘイト溜まったよ」
ニッコリ笑い一発撃った分の弾丸を補充し直す。今度は実弾。
「私を殺したら、公社を敵に回すぞ?」
地味子が冷や汗を掻きながら告げる。何だコイツ?
「おいおい、おい。
何だそれは?ガッカリだ。あんだけイキっておいて、ピンチに成ったら其処らへんに居る三下のチンピラ共がやる様な詰まらない脅しかい?
パパが復讐する?どうぞご勝手に。
そうなったら、早々にお前とお前のパパにママをあの世で再会させてやるよ。
他に誰を送っておいて欲しい?今の内に教えてくれ。きっちり殺しに行くからさ」
舞台俳優の様にオーバーな動きで、メモ帳を開く。
ついでにペンも取り出しておこう。地味子はチッと舌打ちしかしなかった。雑魚が。所詮はパッパの権威を盾にしただけの雑魚よ。
「別に、僕は君が他人似麻薬を売って破滅させようが、借金地獄の奴に首を吊らせようが、若い少女を売春の沼に沈めようが心底どうでも良い。
君の心配をするぐらいなら家の脇に掘られた側溝の詰まりの心配をした方がまだ健全的だ」
そうだ。そうだよ。あの側溝大雨降ると途端に詰まるんだ。
「そうだよベルナドット。
君、大家なんだからあの側溝どうにかしてくれ。毎回大雨の時に家の前がグジュグジュになって家の中が泥だらけになるんだ」
「はぁ?
彼処は大家じゃなくて道路管理してる公社の責任だろ」
「なら公社に文句言ってくれ」
「何で私が?」
面倒臭いと言う顔でベルナドットがりんごを齧る。
「君が大家だからだ」
とにかく頼んだよ、とベルナドットに告げると中指を立てられた。
全く。シガリロを咥えると今度はりんごが飛んで来た。ミリアだった。
「ウチは禁煙よ!」
畜生。
ふと視線を感じるので辿ればまだ地味子達が座っていた。此奴等空気読めないなぁ。
「何してんのさ?
もう君等の話は終わりだ。さっさと帰ってくれ。仕事の邪魔なんだ。君のゴットファーザーごっこをしに帰って良いぞ。それと、あの4千万は迷惑料って事で貰っておくから。
君のパパに言っとけよ?」
そもそも此処は君等子供が遊びに来て良い場所じゃないんだぞ?と告げてデブ君と一緒に部屋の掃除をさせられているマリーにお客さんがお帰りだ、と告げる。
マリーははいと持っていた雑巾をバケツに戻し、地味子達にオッカナビックリしながらアッチですと案内していった。
「マリー、口だけの奴にビビる事は無い。
手を出したら向こうが負ける。ヤクザ如きにビビってたらやってけないぞ?」
「は、はい」
「それと、掃除は良いよ。
盗聴器もカメラも無かったんでしょ?」
ベルナドットを見れば当然と頷く。
「なら終わりだ。
お出かけまでゴロゴロするなり訓練するなり好きにして良いよ」
投げ付けられた雑誌を拾い上げて見てみれば、下着の雑誌だった。
「下着の雑誌なんか見てどうしたんだ?
私にプレゼントしてくれるのか?」
「そんな格好してる癖に下着が欲しいのか?」
ベルナドットは何時も通りのビキニ上と迷彩服の下を履いている。
「知らないのかい?
恋人には下着を送る文化があるんだぜぇ?」
「どっからそう言う知識を得てくるのか……」
まったく。雑志をベルナドットに投げ渡すとベルナドットがそれをナイスキャッチ。
「ちょっと!それ私の雑誌よ!ポイポイ投げないで!」
「自分から投げたくせに」
やれやれ。
「好きなのを選びなよ。
それぐらいの甲斐性はあるよ」
「チゲーよ!そうじゃねぇんだよ!」
ベルナドットがそういう所やぞ!と叫び僕にまた雑誌を投げ渡した。
「今のは先生が悪いです」
「先生が選んで差し上げないと……」
「私の雑誌を投げるな!」
全く煩い。
適当に開いて適当に丸を付ける。
「だから!それ!私の!」
「雑誌如きでグダグダ言うな。どうせ一ヶ月後には縛って資源ごみだろうに」
序でにマリーとエマの分も選んでおこう。
マリーはフリフリの付いたかぼちゃパンツとキャミソールみたいな奴。エマはどうせ何でも良いだろうからご着用1千で売ってる奴。
「マリーとエマの分も序でに頼んで置いたから、届いたらエマに持って行きなさい。
エマはほっとくと穴開きパンツとかずっと穿いてるから」
穴開きパンツと言ってもエロい意味は全く無い。寧ろ、貧乏くさい。
「先生……そう言う所ですって」
「何が?」
ベルナドットにパンツ贈るならマリーとエマにも贈れば一石二鳥じゃないか。
ベルナドットを見ると頬を膨らませていた。なんだよ。
「何さ?」
「なんでもねぇよ!」
フンとソッポを向かれた。
やれやれ。にしても、この依頼は僕が暇だ。護衛ってのは暇な方が良いのだろうが僕はこう言うの無理だね。終わりはあるけどその終わりが遠い。
「暇だね」
「暇な方が良いです」
マリーが正論を言う。
「違い無い。
暇だからって言ってさっきみたいなのが来ても困るけどね」
何て言っていたら部屋に誰か入って来る。見るとパパトンプソンだった。
「ウチの娘はどうだったかね?」
「どうも何もクソガキでしたね。
彼処まで激しき反抗期も稀では?」
「だろう?でもそこもまた可愛いんだよ。
あ、ホレたら君を殺すからね」
「彼処に妻が居るのでそんな事は万が一にもありませんよ」
「ウチの娘が可愛くないのかね!?」
何なんだこの爺?
「あんまり騒がしくすると過激なファンとして殺しますよ?」
「過激なファンだと!?
私はあの娘の父親だぞ!」
話効かないジジイだな、オイ。
「ちょっと、此処は私の家よ!
用の無い奴は出てきなさいよ!」
お雇い主がお怒りだ。
「聞いたとおりだ部外者。
退出願おう」
リボルバーを抜くとジジイはムグゥと口を閉じる。うんうん。
そしてトンプソンはまた来るからな!と叫ぶと出て行った。何だ此奴……?
「次、あの爺さんが来たら撃ち殺して良いかな?」
「いや、ダメだろう。
公社と戦争に成るぞ」
「議長の娘に喧嘩売ってるから今更じゃない?」
「いや、議長派閥とそれ以外の派閥で別れてるんだろうが。
議長派閥に喧嘩売ってても、それ以外がお前の味方になるが、それ以外の派閥も敵に回したら完全に戦争だろうが」
え~?そんな大げさな。
「じゃあ、議席全員殺せば良くない?」
「ちょっと!テロの話は此処でしないで頂戴!」
「テロなんかしねぇよ!止めろ!」
何故か僕が怒られる。
軽いジョークじゃないか。紳士の。
「ま、あの爺を殺すかどうかはまた次に考えるとして」
「考えるのを止めろ!」
「Don't think feel」
言うとベルナドットにボディーブローを食らった。
「感じるのも止めろ!
公社に喧嘩売ろうとするな!」
「アンタと居ると私が有らぬ逮捕をされる気がするわ」
失礼な。全く。




