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act.13

 さて、何故僕は此処に居るんだろうか?


「それで、どうかしらアキさん」

「そうですね、ミセス・トゥワイス」


 場所はトゥワイス警備保障。

 トゥワイス、つまりはアリスの師匠の事務所だ。


「ミセス。ミセス・トゥワイス。

 僕は、確かに戦場に出ても生き残るでしょう。生き残りますが、それは僕が一人で行くならば、ですよ。

 流石に、戦地のど真ん中でアリスの護衛は無理です」

「何も全部守れって言ってる訳でもないの。

 アリスの可愛いお尻を守って欲しいだけなのよ」

「ええ、理解してますよ。

 しかし、生憎、僕は戦場に行った事は無いんです。何時もの様に()()()とは訳が違う」

「ええ、でも貴方なら大丈夫よ。

 シェリフもそろそろ戦場に行って来なさいって」


 トゥワイスはお師匠が書いたと思しき手紙を差し出した。その手紙が入った封筒には火星行きのチケットも入っていた。


「ん~……まぁ、アリスが死んでも責任を問わないって言う条件でなら依頼を受けても良いですよ」


 まぁ、これは契約にすらならない。

 だって、死守対象が死んでも責任こっちに無いよって言う訳の分からん事を言っているんだから。まともな奴ならNo一択だ。僕ならそうする。


「では、それで行きましょう」


 口径デカくして、胸部装甲位でも作って貰おうかな?


「では、一週間後、事務所に来て下さい」

「ええ、分かりました」


 トゥワイスが僕の前にサインをした書類を置く。それを確かめ、僕もサインをする。うん、契約成立。鋭い殺気が飛んできたので迷わず、思わず撃ってしまった。


「ッ……」


 見ると、エルフが引っくり返っていた。


「ああ、すいません。突然殺気が飛んできたので思わず撃っちゃいました」


 エルフ、正式には情報統制強化型ゲノム兵だったか?僕が眠ってから50年ぐらい後に遺伝子操作で生まれた存在らしい。ゲノム兵と一般の人間の区別として耳を長くしたらしい。つまり、エルフ耳。で、ついでからと寿命も伸ばし、美形に設計したらしい。

 つまり、エルフだ。まぁ、ファンタジーなエルフと違って魔法は使えない。


「アリスが棺桶に入って戻ってきたらお前も棺桶に入れてやるからな」

「そうならないよう、最大限の努力をします」


 ニッコリ笑って答える。あのエルフはアリスを溺愛しているのだ。ガチレズなのだ。球磨型軽巡洋艦四番艦なのだ。

 アリスの周りはだから近付きたくない。

 抜いたリボルバーを手の中で回し、ホルスターに収める。


「ショットガンとライフルも新調しないとな」


 リボルバーもボアアップするとなると幾ら掛かるんだろう?エマに聞いてみるか。

 トゥワイスの事務所を出て、その足でエマの店に。相変わらず、エマは銃を弄っているのだろう。店先を覗けば、丁度、警備ロボットが出て来たところだった。


「やぁ、エマは寝てしまったかい?」

「ハイ」

「店の中で待たせて貰っても?」

「ドウゾ」


 ワザとらしい機械音声はエマの趣味らしい。

 店の中に入ると、ブラウンケットを掛けられたエマが年頃の女の子が出してはいけないレベルで凄まじい鼾を掻いて作業台で潰れていた。脇には作りかけの小銃。巨大な、アンチマテリアルライフルだ。

 店の隅にあるソファーに腰かけて、机の上に拳銃を二丁置く。ニュー・モデル・ネイビーだ。

 36口径の、本来ならばパーカッション式リボルバーだが、お師匠はこれを金属薬莢使用式に替えた物を僕にくれた。そういう意味ではM1868と言う方が正しいのかもしれないが、もうここまで来るとレプリカのレプリカなんてレベルじゃないので何でも良いのだ。

 また、36口径なので弱てんを狙わねば効果は低い。

 お師匠もネイビーモデルを使用している。僕個人としてはお師匠と同じ36口径で行きたいのだが、戦場で通用するほどでした僕は経験豊富では無い。

 大人しくネイビーからアーミーに転換しよう。

 ネイビーならば所謂ハンショしてきた的にもアーミーならばワンキル出来る筈だ。


「ん?お、トゥーハンドじゃねぇの。

 何してんだ?」


 入口から入って来た人物を見る。入って来たのはサキさんとくるみ子さんだった。わぉ!最高!


「こんにちわサキさん、くるみ子さん」


 立ち上がって一礼する。サキさんは大きな紙袋を、くるみ子さんはショットガンを持っていた。


「ショットガンの整備ですか?」

「ああ、くー子のショットガンをな。

 そういや、トゥーハンド。お前、火星行くんだって?」


 何でさっきの今で情報伝わってんのさ?


「ええ、初めての戦場です。

 その為に新しく装備を整えようかと」


 リボルバーを見せる。


「自動拳銃にでも乗り換えるのか?」

「乗り換え、はしませんが用心で持っていこうかと思います。

 あと、大口径に設え直そうかと思いましてね。他に、ショットガンとライフルも新調したいな、と」

「かーっ!金持ちだなお前!

 クー子!お前、コイツの嫁さんになれよ!んでそのクソボロい中古じゃなくて新品買って貰え!」


 サヤさんはそんな事を言う。


「馬鹿な事言わんで下さいよ!」


 くるみ子さんが呆れた顔をする。僕は全然構わない。無問題だ。


「僕はくるみ子さんなら全然構いませんよ」


 ニコリと笑って告げる。


「だってよ!

 良かったなクー子!これでテメェも処女卒業だぞ!」

「ちょっ!?しょ、処女じゃねぇし!!

 お前もなに笑ってんだ!」


 顔を真っ赤にしたくるみ子さん、処女だってよ。やったぜ。やったぜ!


「うるせぇ!?」


 ブンとスパナが飛んで来て、そのままサキさんの顔面に直撃……かと思ったらサキさんの顔が炎と変化してスパナは通り抜けた。


「流石、炎帝」


 ガシャンとジャンクパーツの山に当たったスパナを拾い上げて、寝不足で目の座ったエマに返す。


「……何しに来たのよ」


 エマは脇に置かれたコーヒーを一口飲む。


「一週間後に戦場行くことに成ってね」

「うん」

「自動拳銃2丁、ショットガン一丁、ライフル一丁を設えて欲しい。

 あと、コイツを44口径のアーミーモデルにして欲しいんだ」


 エマは暫く僕の顔を見詰めてから、コーヒーをまた一口飲んだ。


「うん?」

「うん」


 首を傾げるので取り敢えず頷いておいた。相変わらず酷い顔だ。ゾンビみたいな顔だである。到底年頃の女の子がして良い顔じゃ無い。


「……取り敢えず、明日の朝、もう一回来て。同じ事言って。後、マリーも連れて来て。

 今の私はスーパーマンでも殺せる位に眠い」

「わかったよ。

 明日の朝9時位にマリーと一緒に来るよ」


 サキさんを見るとサキさんも苦笑していた。


「取り敢えず、私等も明日来ようか」


 サキさんがくるみ子さんに告げるとくるみ子さんはそうっすねと頷いた。

 

短いけどね

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