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act.12

 恙無く無事に研究所を脱出した僕等はそのまま街まで帰って来た。ユキシロは街の一角に降ろしてくれと言うのでそこで下ろし、後日長壁と共に会いに来るとか言っていた。


「最後の最後まで何も無かったね」


 大変よろしい。


「なにもない方が良いと思います」

「違いない」


 マリーに一本取られた。

 取り敢えず、事務所に戻る。事務所では同居人がお師匠の連れて来た彼の弟子の尻を掘っていた。弟子君は獣人で気の強い男の子だが、同居人にあっと言う間に尻を掘られる存在になった。


「何をやってるんだコイツ等は!?」


 コッホが同居人を指差す。


「見ての通りですよ。

 伊周さん。此処でセックスしないで下さいってこの前も言いましたよね?

 次見つけたら撃ちますよ」


 そして、マリーが呆れた顔で告げる。大人になったもんだ。来たばかりの頃は顔を真っ赤にさせて居たのに。


「5秒以内ね」


 リボルバーを抜くと同時に同居人は弟子君を抱えて自室に飛び込んで行った。


「何なんだあの変態は?」

「アレは巷で有名な撫切りよ。

 撫切り伊周、公社でも有名な奴じゃないかしら?」


 アリスがソファーに腰掛けて告げる。


「あ、彼奴があの撫切りか!?

 公社の人間を30人斬り殺し、45人の手足を落として再生槽行きにした!?」


 再生槽とは死んでなきゃ生き返してくれる不思議な機械で、単純に手足が切れただけなら1時間も掛らずにくっつく場所だ。因みに、ゼロから作ることも可能で、此方は二、三日掛かるとか。


「お前はあの犯罪者と何故つるんでいるんだ!?」

「話せば長い」

「そう言えば、撫切りとどこで知り合ったのか私も聞いてないわね」


 アリスが興味を持った。帰れよ。


「その話はまたこんどにしよう。

 皆だいぶ疲れてるだろう」


 何時もよりもボーッとしているマリーを見遣ると、アリスもコッホも納得した様に頷いた。


「明日、また来る」

「そうね。

 また明日」


 君等はもう来なくて良いよって話だけどね。二人を玄関先まで送ってから、マリーにお風呂に入る様告げる。銃を整備する部屋にマリーの小銃を持って入る。大きな油受け並々とブレーキクリーナーを注いで、小銃の銃身と機関部をバラして漬ける。明日整備しやすい様にだ。序に自動拳銃も片付けてしまおう。自動拳銃も良いな。エマに頼もうかな?

 手を洗い、コーヒーを淹れてテレビを付け、リラックス。

 リラックスしてると部屋から同居人がやって来る。


「ぞんび切りは楽しかったか?」

「楽しく無いよ。

 ボスゾンビ出て来ないし、アリスとコッホが居たし」

「カカカッ!

 お主はアリスが苦手じゃもんな!」

「勝手にライバル視して来て、顔合わせる度に嫌味を言われるからね。

 全く」


 シガリロに火を付けて眼の前の半裸を見る。


「それで?」

「うむ。

 弟子をボコボコにしてくれんか?」


 話が飛躍し過ぎだ。


「一から話せ。最初から」

「うむ。弟子の奴、なまじハンシャシンケーとシンタイノーリョクが高くての。並の者の銃撃は避けてしまうんじゃ。

 じゃから、まりいとお主の狙撃と射撃で奴をボコボコにして欲しいのじゃ」

「フム……それは良いね。

 マリーの射撃練習にもなるし、君の弟子君の練習にもなる。よし、明日の午後に一度やってみよう」

「奴を殺す気で撃ってくれな?」

「僕が撃ったら本当に死んじゃうから、僕は手を抜くけどマリーには殺す気で撃たせるよ」


 流石に僕が本気を出したら殺しちゃうだろうね。

 シガリロを中程まで吸った所でマリーが眠そうな顔で出て来た。


「小銃は銃身と機関部を抜いて油に漬けておいたから、明日の午前中に整備をしなさい。

 今日はもう疲れたろう。早く寝なさい」

「はい、あの、すいません。ありがとう御座います」


 マリーはペコリと頭を下げて部屋に戻った。


「にしても、まりいはお主に懐かぬな」


 同居人がキセルに火を付けて告げる。好い加減に服を着れば良いのに。


「眼の前で実父殺した相手に懐く方が可笑しいだろう?

 僕としてもマリーは今のままの距離が良いと思う。彼女は将来僕に復讐しに来るんだしね」

「ふむ。中々に絵になるではないか。

 親の仇に弟子入りし、その師を殺す為に技を磨く」


 クカカと同居人は笑うと腹が減ったと襖に告げる。奥からまた別の半裸が現れた。


「あらアキの旦那。バイオハザードごっこ楽しかったですかぁ?」

「つまんなかったよ。

 僕もお腹減ったな。何作るの?」


 半裸はンーッと態とらしく口の端に指を当てる。男じゃなかったらドキッとしていた。


「おうどんにしようかな」

「うどんか……

 何うどん?」

「冷蔵庫にお肉合ったし、まだ夜も長いから肉うどんね」

「じゃあ僕の分も宜しく」

「任せて。すぐ作るからアキの旦那はシャワーでも浴びて来て」


 異論は無いのでシャワーを浴びに行く。

 シャワーを浴びながら今日の反省。反省点は勿論、ユキシロにブライグして質問してしまった事だ。あれが無ければユキシロとラスボス戦でヘリコプター脱出だった筈だ。

 堪え性が無いのが駄目だな。後悔はシャワーで流し教訓として記憶する。

 シャワーから出ると丁度うどんも出来上がっていたので、頂く事にした。

 テレビを付けてニュースを確認。


《火星では帝国軍との戦闘が今も尚続いています。

 我々銀河同盟軍は貴方方一人一人の自由と誇りを守るために戦っています。我々と共に帝国の侵略からこの宇宙を守りませんか?》


 CMでは軍の募集を流していた。飽きもせずによくやるよ。

 この世界には三つの軍事組織がある。一つはこの銀河同盟軍。ケイ素系宇宙人主体で作られた一番規模のデカい軍事組織。

 次に公社。此れは地球でコールドスリープしていた人間の解凍や管理を担っていたのだが、何時の間にか地球を代表とする組織になっていた。

 正式名称は地球復興再開発事業公社……だったかな?そんな感じ。

 そして、最も小さく、しかし、どの組織よりも精強なのが傭兵と呼ばれる良くも悪くも宇宙人を連れてきてしまった外宇宙探検隊の生き残り達。

 また、公社から見捨てられた存在もこっちに来る。

 兵士の品質は概ね悪いとされるも、実際に戦闘力は高い。何故なら弱い奴から死んでいくから。


「アキの旦那は戦争に行った事あるの?」

「幸運な事に一度も。

 そこの怠け者は前はよく行ってたらしいよ」


 肉うどんを啜りながら別の半裸にちょっかい掛けている同居人を見遣る。


「旦那が戦場で戦うのは知ってるよ。

 私等は火星で拾われたんだから」


 ねー?っと半裸共が同居人に笑いかけると、同居人もねー?っと告げる。


「戦場には出るつもりは無いよ。

 あんな所、お師匠ですら梃子摺るのに僕が行ったらあっと言う間に死んじゃうよ」

「案外大丈夫じゃないか?」


 同居人が笑いながら告げる。酒でも入ってるのか、此奴は?


「取り敢えず、これを食べたら僕はもう寝る。

 君等も発情した猫の様に盛るのは良いが、そろそろ家賃の支払日だって事を思い出してくれよ?」


 釘を刺してから、ウドンを啜る。ニュースは然程代わり映えしない内容だった。少なくとも、僕に関係の有りそうな内容では無かった。

 部屋に戻り、着替えてベッドに入る。

 取り敢えずの稼ぎは出来た。僕の家賃分は大丈夫だ。


 翌朝、何時も通りの時間に目を覚まし着替えて身支度をする。歯を磨いていると、マリーが眠そうに目を擦りながら洗面所に現れた。


「おはようございまふ……」

「ああ、おはよう」


 歯を磨き、顔を洗って寝癖を整えてからリビングに。リビングでは半裸が全裸で同居人と寝ていた。

 観葉植物に水をやる為の霧吹きを手に、全裸共に振り掛けてやる。


「んん、冷たいのぉ……」

「んーっ……ふぅ」


 全裸共は起き出すと何事も無かったかのように脇に脱ぎ散らかされている服を纏い、半裸になる。

 同居人は寝転がって煙管に火を付ける。


「朝ご飯はどうします?」

「マリーの要望で良いよ」


 マリーはパンケーキを所望したので今朝は血糖値高めで行く事になった。マリーは低血圧だ。

 取り敢えず、マーガリンとはちみつをたっぷり掛けてナイフで切り分ける。


「この、ぱんけぇきは甘過ぎる」

「ケーキだからね」


 砂糖抑えめのミルクたっぷりコーヒーを一口。


「伊周さんはパンケーキ嫌いですか?」


 マリーが口の周りにハチミツとマーガリンを付けながら尋ねる。


「嫌いでは無いが、朝からはちと重い」


 マリーは首を傾げていた。


「年寄りだから朝から血糖値高めの食事は苦手なのさ。

 気にしなくて良いよ」


 そんな話をしていると全裸の弟子君が現れた。


「良い匂いがする」

「あら、嬉しい事言ってくれるじゃない」


 服を着た半裸がオホホと笑っている。


「アンタのことじゃねぇ」

「マリー、今日の午後に僕等で彼の修行を付き合う事になった。

 僕は彼を撃つ。マリーも彼を狙撃しなさい」

「銃で撃ったら死んでしまいます」


 マリーが驚いた顔で僕を見た。


「ハッハッハッ!

 マリーにはそこまでの腕なんか無いよ。寧ろ、それが出来たら君は僕の教えを請わなくて済むからね」


 僕が笑うと同居人も笑う。


「流石に今のまりぃでは此奴に致命傷は与えれんな。

 今日の午後にでもやる。お前も、まりぃの弾に中ったら明日から一週間女装させるからな」

「巫山戯んな!?」

「じゃあ、マリーにも罰与えようかな?」

「えぇ!?」


 何が良いかな?マリーの為になりつつ僕の為になるのが良いな。

 あ、そうだ。


「そうだなぁ……よし、弟子君に当てられなかったら狙撃以外にも他の銃種も使える様になろう。ショットガンとか拳銃とかね。

 ショットガンはくるみ子さんに頼んで置くよ。拳銃はスピン出来る様になろうか。僕が教えるよ」


 そして、僕もショットガンを習いに行こう。くるみ子さんに。

 いやー、マリー外さないかなぁ?いや、外すだろうなぁ。マリーにはまだ人を撃てる技量も度胸もないから。


「……それは罰なので?」

「ん?うん。

 あんまり君の為にならないだろう?」

「ならばこうしよう。

 まりぃはこの一年で恋人を作れ」


 脇で鼻くそをほじくっている同居人を睨む。


「なら、僕も弟子君にはこの一年で彼女を作るようバツを決めようかな」

「此奴はワシのぞ!?」

「ンな訳あるかバカ。

 それより、君、今月の家賃払えるのかい?散財しまくってるみたいだけど?」


 請求書の山を見遣る。フィッと視線を反らしやがった。知らねぇからな、僕は。

 それから、マリーに銃の手入れを命じてから依頼主たる長壁が来るのを待つ。

 ウチの穀潰しは珍しく外に出ると言って出て行った。午後には戻るとのことだが、僕としては然程気にしては居ない。

 暫くして長壁がユキシロを連れてやって来た。序にコッホとアリスも一緒だった。


「どうも」


 取り敢えずコーヒーを出しておいた。

 部屋の隅で作業台を持ってこさせてマリーには小銃の手入れをさせている。銃口通して、機関部を全てバラす。煤を取り、丁寧に油を塗らせるのだ。

 銃の手入れは命の保証に繋がる。

 長壁は僕の報告に毛ほども反応せず、只々ナルホドと分かりましたを繰り返し、最後にお金を払って去って行った。


「ま、どうでも良いんだけどねぇー

 アリスとコッホの依頼料ね」


 そして、二人に取り分を分ける。アリスもコッホも何か話題を見つけようとし始めたので、僕は午後に予定が入ってしまった事を告げて早急に立ち去らせた。

 出来れば、もう二度と話したくない。お二人で仲良くやってくれって感じだ。


「じゃ、あのバカが帰って来るまで銃の手入れでもしようかな」

主人公のリボルバー、ネイビーだったね、そう言えば

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