静かな街
慌てて扉を閉めると、シェルターは再び暗闇に閉ざされる。
「『イルミナティオ・フォティーゾ』。 足元に気を付けてください」
ダリアの魔法によって、空間が一時的に照らされる。
その灯りを頼りに、僕たちは再び席に着き、ダリアの話を聞くことにした。
「近くに強大な魔力を感知しました。 もちろん、先程まで無かったはずの物です」
そう言いつつも、どこか腑に落ちない様子で、首を傾げるダリア。
「これまでの経験からすると、魔素飽和したモンスターが正体というのが妥当ですが……、どうやってこの街に?」
僕たちがシェルター内に居たのは数分程度だ。
その数分の間に、モンスターが街に侵入したということか?
いや、それにしては……。
「ダリアさん、"近く"とは、どのくらいの距離ですか?」
僕の質問に彼女は直ぐさま答える。
「300メートル強といった辺りでしょうか。 おそらく、大通りの方向です」
侵入には街を覆う壁を越えるか、門を突破する必要がある。
それだけでなく、街には警備もいるはずだ。
なのに、ものの数分で大通りまで侵入を許すなど、にわかには受け入れ難い話だ。
当然、この街に"住む"二人にとっても。
「ま、待ってくださいダリアちゃん! ここ、街ですよ? 警備隊の方も居ます。 それなのに大通りまで?」
アスピダの慌てぶりは尋常ではない。 それだけ、今起きている状況が不自然なのだ。
軍事国家が街の中心部へモンスターの侵入を許すなど、冗談としか思えない。
「そっ、そうよ! それに、魔素飽和なんて滅多に起こるものじゃないわ!」
……。
アスピダも一瞬真顔になったのが見えた。
普通の認識は確かにそうだ。
「それに、大通りなんてすぐそこよ? 悲鳴の一つも聞こえないし、サイレンも――」
そこでソフィアは、何かに気付いたかのように息を呑み、同じタイミングで目を見開いたアスピダと顔を見合せる。
「……アスピダ姉。 これまで、たった数分でサイレンが止んだことがあった?」
その言葉に、アスピダはゆっくりと首を横に振る。
「いえ、無かったはずです。 毎回、攻撃が止んでも小一時間は鳴り続けてました」
その会話を聞いた僕たちも、街の異変を確信する。
何が起こっているか分からないのは相変わらずだが、尋常の事態でないことは確認できた。
無策で飛び出るのはあまりに危険すぎる。
どうやら、もう少しだけこのシェルターに世話になるようだ。
面白いくらい話が進みません。
面白くさえないレベルです。
私にしては珍しく先の展開ができているので、早くシェルターから出てほしいです。




