奇跡の欠片 #15
………結果だけ、いうと。
ベルーは負けた。
「ま……剣道四段程度ですが。」
人を殺したようなことがないような人ならば――――
「こんな風に打ちのめすことぐらい、簡単です、よ?」
と、彼女は言った。
彼女はベルーくんを殺さなかった。
「なんでだ…なんで、自分を殺さない…?」
「殺しても意味がないからです。殺すくらいだったら口を割らせます。」
「……はん。」
それこそ意味がない、とベルーくんは笑わずに言った。
「あいつのためなら、それぐらい耐えよう。なにせあいつがここにいなくても、“心”はいつもそばにある――――という、関係なのでね。」
「……口を割らせられる、自信はあるのですが…?」
………いや待て。
こんなところで争っていてどうする。
宝石精霊戦争に身内が巻き込まれる――――ターゲットにされている、が。
それをここで、人間一人と宝石精霊一人が争って何になる。
「ストップだ、ベルーくん、東雲玖澄さん。」
*ペア side
「ロベルト国の牢獄……」
薄暗く、ひんやりとした場所に、今僕たち――ペア、スフィア、スピアの3名――はいる。
オリヴィアさんの宝石を見るために、ある場所まで歩いているのだった。
………もう正午をとうに過ぎた。今日は何時に帰れるんだ。
いつになったら安心して、いつものようにゲームができるのか。
そればっかりを考えていた。
「……あぁ……ぐうっ!?」
胸が痛む。
この痛みは、もしかしてあの――――
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スイ「……ペア。」
ペア「…スイ!?ど、どどどどうしたの!?」
スイ「……やっぱり、大変なことになる。これから。」
ペア「何?これ以上大変なことに?何が、どうなるの…?」
スイ「よく聞いてくれ、ペア。
宝石精霊と人間が対立する戦争が始まろうとしている。」
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奇跡というものは、起こそうとした瞬間にただの手段に成り下がる。
そんなこと、僕らが一番、身をもって理解できるはずだったのだが……。




