奇跡の欠片 #3
天使様。
――――天使、だと?
何を言ってるんだ、君は――――ふざけたことを言っているのか?
『言ってないよ、本当のことだよ。』
じゃあその天使というのを信じるとして、どうして君は僕らに共鳴ができるんだ?宝石精霊でもあるまいし。
『うんうん。みんなおんなじような反応を返してくるけど――――だから、共鳴の仕組みについて、まずは教えようかな。』
『まずは、宝石精霊の話から。宝石精霊は、奇跡を起こすことができる。…知らなかったかな?』
話がぶっ飛びすぎてて、訳がわからない。
『まあまあ、例えばね?みんなは食事をとったりする必要がないのも、生命維持の「奇跡」のおかげ。』
――――そうなのか?それは、宝石精霊の、力で…
『その宝石精霊の力、っていうのが何なのかを考えたことはないかな?……ほんとは別の名前があるんだけどね、ちょっと便宜的に「奇跡」って呼ばせてもらうね。』
…………。
『それからみんなは、自分の願いが叶ったような経験はある?
又は、ありえないと思った出来事が起こった経験はある?』
その言葉に、誰かが頷いた。
夢の中での故人との対話。
運良く、人間から逃げられた体験。
僕も、俺も、私も。と声が上がる。
――――ああ、そうか。
みんな、今までに多かれ少なかれ、命を狙われたという経験をしたことが――――あるんだろう。
『共鳴も、奇跡の一つ。』
クリミアちゃんとホープくん。
この二人は、共鳴をした。
『奇跡を起こしただけ。心の通う人とは共鳴をしやすいけど、別のたとえ話したことがない人でも、「意識をすれば」簡単に共鳴ができる。』
そう、アリアさんは言った。
…なんというか。
いまいち信憑性がないと感じるのは――――僕だけだろうか。
『いや、みんな思ってるよ。』
…………。
僕は、君をどう信じたらいい?というか、君はなんなんだ。
…信じられる話ではないが、アリアさんは、全く無関係の僕らにいきなり共鳴をすることができている。
そのことが、「奇跡」と「共鳴」と「天使様」の…証明なのではないか。
深く考え込むが、答えは出ない。
みんながみんな、無言のままでアリアさんの話を聞いているようだ。
時計の針だけが響く。
ちく、たく、ちく、たく、響く。
…一つ聞かせてくれ。アリアさん、君は今どこにいる?
『上の方。』
――――上の方?
『天界、かなあ。よく言われるやつだと…ね、クリミアちゃん。』
「え、あ――――え……?」
急に話を振られ、困惑するクリミアちゃん。
無言のやりとりが続く。
皆の額に汗が浮かぶ。
精神を集中させ、思考を続け…体が熱くなる。
怒りのような…まどろっこしい感情。
…いい加減にしろよ。
君はなんのためにこんなことをしている?「天使様」。
奇跡を自由に起こせるのなら、オリヴィアさんについて教えてくれ。




