月の涙 #11
目的…これから、私たちはどうなるのだろう。
「まず、僕は…保護されることを望まれている方だけ保護をしたいと考えています。
それで、目的としては…確保された4名、クリミア様、ペア様、スイ様、アメスト様の…解放です。」
解放。
思っていなかった言葉が出る。
ベルーが驚いた顔をした。
「……えっ?解放?」
「随分と強引に連れていかれたそうなので…彼ら達には一度考える時間を与えた方が良いでしょう。」
「…いや、いやいやいや…そんなうまい話、あるの…?」
ベルーは疑うように、そう問いかけた。
「……国王様は、少し躍起になりすぎているというか…。保護をしたい、というのはいいんですが、相手の意思を尊重しないところがあります。」
…それで、独断で行動した?
そんなこと、していいのかな…?
…いや、絶対にダメだろう。
何かある、この人、何かを隠してる…?
「…スピアさん、これって…あなたの独断の、行動なんですよね…?」
そう確認するように、私は問いかけた。
「………いえ、実は……本当は、解放することを頼まれたと言いますか……僕1人の判断ではありません。それも含めて、これからお話しいたします。…さて、着きましたよ。」
と、スピアさんは車を停止させた。
窓の外を見ると、いつのまにか夜となっていたようだった。
空は曇っていて、なんだか不穏なような気がした。
周りにはひまわり畑が広がっている。
車から降りると、そこには豪邸があった。
「すごい…こんな豪邸…?」
「僕は、国王様の側に使える代わりに、ある程度の自由が約束されています。まあ、この車の位置情報は向こうに送られているでしょうが、事前にああ伝えたので、大丈夫でしょう。」
別荘。
表札の横に、看板が立てられていた。
「軌跡荘」。




