月の涙 #10
「…僕はスピア・ロベルトというものです。スピネルの宝石精霊です…。ですが、ロベルト国王の側近をさせていただいております。」
そう、深紅の髪をした、軍服の青年は言う。
ここに至るまでの経緯。
どうしても人間を怖がるラピスが速攻で逃げを提案し。
「…いや、逃げる、来るな人間ッッ!!」
ホープがそれを反対して。
「おいラピス!話も聞かずに逃げようとするな!少しは話を聞け!」
「ッッ人間と関わりたくない!黙れ!」
そして喧嘩になりそうになったところをベルーが仲裁。
「2人とも落ち着く!いきなり暴れないで!」
そして、私がついていくことを提案して。
3対1の多数決で、どうにかラピスを説得し、ついていくことになった。
…ラピスは終始私の後ろに隠れている。
現在は森の外をでて、街を抜け、見知らぬ道を走り続けている…
あの大きい高級車の中に居る。
ちなみに運転手はスピアさんだ。
というか広いなこの車。
「…宝石精霊?」
スピアさんの言葉に、ラピスが私の後ろから顔を出す。
「あ、はい。あなたは…ラピスラズリの宝石精霊、でしょうか?」
「………う。」
いや『う』じゃなくてさ…
そう言ったきり、ラピスは再び私の横ろに隠れてしまった。
…人見知りの幼稚園児か!?
まあいいか…ラピスの過去は詳しく知らないけど、なにかよっぽどのことがあったのはわかる。
「わ、私はサファイアの宝石精霊で…スフィアといいます。
あの…今回のことに、あなたはどう関係しているんでしょう…?煌星荘のほかの4人は、どうなったんでしょうか?」
「確かに、それを説明していませんでしたね。説明しましょう。」
そうして、私たちはスピアさんから説明を聞いた。
どこかの貴族かと思っていたけど、まさかそんな…国王だなんて。
「…捕らえられた!?国王に!?」
その事実にベルーが声をあげた。
「…そ、そんな………どうして…………ぅ、お前…!お前、人間の手下なんじゃないのか!?お前、私たちを…!!」
ラピスがスピアさんを睨めつける。
「待て、落ち着けラピス。」
すかさずホープが止めに入る。
「離して!やめてっ!」
「落ち着けって言ってるだろ!」
「う、うぅう…」
落ち着いたかどうか…まだ、わからないけど、少し静まってくれた。
…ホープとラピスは、相変わらず犬猿の仲だ…。
スピアさんに質問する。
「…その、私たちはこれからどこに連れて行かれるんでしょうか?それから、スピアさんの目的とか…教えていただきたいです。」
「これから向かうのは、別荘です。数年前にまあ…僕が、頂いたものです。あの任務の後、別荘の管理のため向かうことの許可を得ました。…さて、僕の目的ですね。」
ゴクリ、と私は唾を飲んだ。
その目的次第では、私たちは…捕らえられる、下手をすれば、死ぬかもしれない。
真剣に、話を聞く。




