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紅蓮の炎は天にも昇る

2話連続投稿です。すみません


「みなさーん!起きて下さい!本国に到着しますよー!西の大国、ライワノール国に!」


朝日が差し登るなか、ロジェの高い声が船の上で響く。

レイシアは簡素なベッドの上にごろんごろんと寝返りをうち、目を擦ってやっと起きた。

ふと、何故ベッドの上に寝ているのか。と疑問に思ったが、起きた時、横にケヴィン団長が居なくて安堵もした。

朝から会うなんて、モヤっとするのが何か分かっていないのに嫌だ。と思ったからだ。


そんなレイシアの思いとは裏腹に、昨晩はイライラしていたルイスが、衝動的にベッドまで運んだのだった。



「おはよう、」


ぐあーっと大きな口を開けて欠伸をしながらのレイシアの登場に、周りの隊員達が苦笑いを浮かべる。

ロムが一歩前へと代表で出た。


「レイシアさんよ〜、もちっとそーいうの気配りしたら、女としての魅力とか、アダ名に相応しい女になれると思うぜ?」

「アダ名ってアレでしょ?黒の天使やら神の送り人やらでしょ。別に相応しい女になりたくはないんで」


欠伸をしている口を閉じて、今度は両手を伸ばす。伸ばしながら横目でチラリとロムの顔を見て、真正面に向き直った。


「ババァ、起きたのか」


真っ赤な髪がそよ風に揺られ、黄色の瞳は優しい色を醸し出している。ルイスだ。


「いい加減、言葉を誤ったら捻り潰すわよ。このチビが」


距離が少々遠かったので殴る蹴るはしないレイシアだが、言霊でルイスに暴力をふるう。

今のルイスは人型、ゆうにレイシアよりも高く、大人びている。


「ルイス!あなた戻りなさいよ!その身長は偽造でしょーが!」


近付いてきたルイスのデカさに、妖精の姿ならぶっ潰せると思ったレイシアが喚いた。


「いつものチビにも・ど・れ!この、よ…むぐ!」


妖精と言いたかったレイシアだが、口を人型ルイスの大きな手に押さえつけられた。


「ふごごご!ふがっ!ふご!」


離しなさいよ!この!妖精め!とレイシアは言っている。それを分かっているルイスが、満面の笑みで、嫌だね。と返して、レイシアの怒りは頂点にたとうとしていた。



「おいおい、朝から騒がしいな」


ふわぁー。っと目を擦り俯きながら歩いてくるのはケヴィンだ。


「団長!おはようございます!」


タッタッタっと小走りで走ってくるロジェの頭に手を置き西の大国を見やるケヴィンは、レイシアとルイスの行動に笑った。


「相変わらず、仲がよろしいことで」


クククッと笑いをこぼすケヴィンに睨みつけるルイス。

ルイスの睨みに肩を震わせ、船が到着したことを知る。


「さて、ようこそ。西の大国、ライワノール国へ」


綺麗な流れで敬意を表す礼をとり、レイシアの手をとった。

船を囲んで高貴な身分の人や珍しさを見に来た人、多い人の群れが一面に広がっていた。

そんな群れより三歩ほど前に出て、同じ服を着ている使者らしき人。


「もう、使者が来ておられます。神の送り人よ、足元を気を付けてお降り下さい」


先程とは打って変わったケヴィンの言葉遣いや動作に動揺しながら、流されてしまうレイシア。


「レイシア、黙っていた方が身のためだぞ」


ケヴィンがボソリと放った声に、レイシアはニコリと微笑む。

その笑顔に船を囲んでいる人の群れがワッと湧き上がった。

しかし、その笑顔に安堵したような笑みを見せたケヴィンを突き放すかのように、ドンッと倒す。


「煩い。神の送り人だが何だか知らないけど、私は私よ!どこぞの馬鹿な王様が無理やり連れてこさせたの。楽しくなんかありゃしないわ」


微笑みを消し去り、堂々と前に向かって突き進むレイシアに一同唖然である。


ーー身震いがする…

ーーおい、今。あのケヴィン団長を蹴飛ばさなかったか?

ーー顔が綺麗でもあれじゃあな


ルイス以外が動揺の眼差しでレイシアを見ていた。

ルイスは満足そうな笑みをし、レイシアの横に並ぶ。


「女、我王を侮辱したな」


同じ服を着た1人の使者が腰に差していた剣を抜き取り、レイシアに向けた。


「神の送り人だとも定かではない。愚弄した罪、極刑に値するぞ」


次々と使者が剣を抜く。

その目は怒りに満ちていた。

使者の言葉に、周りの人たちがワッと口を揃えて罵る。


「今すぐ極刑に!我王を侮辱した罪をこの女に!」


蹴り飛ばされたケヴィン団長も、周りの反応に落胆してしまう。


ーーだから言っただろう。黙っていた方が身のため、だと…。


溜息をついて辺りを見渡せば、殺せ!と野蛮な言葉の旋律が繰り返されている。

使者も勢いに身を任せ、じりじりとレイシアに近付いていた。


隊員達もどんな行動をするのが正解なのか、不安定に目を揺らしている。仕方が無いことだ。この陛下直属騎士団は頭脳系の集まりではないのだから、誰かが声をかけないと、取り返しのつかないことになってしまう。



「鎮ま……」


ケヴィンが大きな声で、鎮まれ!と言おうとしたが、その言葉は天にも昇る紅蓮の炎に掻き消された。


「なんだ!?あれは!」

「どこから炎が!」



その炎は、レイシアの周り一帯を囲み、近寄る者は誰だろうと焼き尽くす勢いで燃えている。



その炎の中心に黄色い眼光が、細く鋭く、ゴミでも見るかのような厳しい眼つきで微笑んでいるルイスがいたーーー。



書いてる途中で、あれ。ルイスがヤンデレっぽくなってる。あ!ヤンデレ設定だからいいのか!と思ったのですが、あれ?ヤンデレっていうよりキチガイ?と少し悩みましたが、この路線でいきます。ルイスはレイシア第一の騎士(ナイト)なので、いいのです!


ケヴィンは、レイシアの性格を何と無く読み取って大人しくしていてくれ。とオブラートに言ったのですが、それがレイシアに逆効果だったみたいです。

久々に見る人間の集まり、まるで見世物小屋にいるような、自分を見る目に嫌さを感じたのですね。

自分は自分である。それは神の送り人と言われようとも、レイシア本人の性格は曲げないというレイシアの強い信念です。


さて、中途半端に終わってしまいましたが次回に持ち越しです。すみません

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