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ロジェは万国共通

長い間お待たせいたしました。


「うぅー。ケヴィン団長〜、本当に入るのですか?」


立ち入り禁止の看板が、その存在を主張するかのよう大きく立っていた。

『立ち入り禁止』という文字は荒々しく刻まれ、魔の森への入り口は人の足跡はおろか、獣の足跡すらない。

深い緑に囲まれている魔の森は中に入れば、ほぼ夜かと思うくらい暗闇だろう。


そんな魔の森を目の前にしたロジェは半泣きでガクガクと震えている。

これでも陛下直属の騎士部隊、5番隊を任されている存在なのだが、まだ幼いからか将又(はたまた)ロジェの性格なのかは不明だ。

それにしても、陛下直属の騎士部隊隊長達とケヴィン団長の8人を初め、隊員も来たいと言う奴らを連れて来た。

仲が一段と良いこの騎士部隊はほぼ全員がケヴィン団長のことを好いている。


「ロジェ、大丈夫だって。入るぞ?呉々もみんな離れるなよ」

「はい!」


全員がケヴィン団長の言葉に返事し、準備万端で魔の森に足を進める。

魔の森は噂通りの森だった。食べ物など全然なく、古くからある木々は『早くこの森から出てけ』と言う風に太く大きく、その枝さえも立派で、隊員達はそんな木々を見るだけで背筋が震えた。

一方、先頭を歩いているケヴィンは人差し指を伸ばし何か喋っている。

これは騎士部隊の全員が理由を知らない動作だった。


「この森の妖精だね、立派な木々達だ。少しこの森をお邪魔してもいいかい?」


上級妖精のジェミーに優しく小声で話しかけたケヴィンに、ジェミーは警戒心を解きコクコクと頷く。


「ありがとう。」


許しをもらい礼儀正しく低頭するケヴィンを見送ったジェミーは、ハッと気付いて慌てて塔の方へ飛んで行く。

先ほど物凄い叫び声が森に響き、その声の主がレイシアと分かり、心配になったジェミーは急いで塔へ向かう途中ケヴィンに会ったのだ。


「団長〜、ちょっと休憩しようぜ」


ケヴィンは下っ端妖精達に道を聞きながらここまでやって来たが、塔までの道のりは結構遠いもので、ただ遠いだけなら屁でもない。

しかし道が自然な道なので色々と体力を削りながら前に進むのは、最近鍛錬をサボっていたロムにとって少し厳しかった。


「そうだな。まだまだ道は長いようだし、ここらで休憩とするか。」

「はい!」

「あっ、お前ら何があっても木を蹴るとかしないようにな。」

「そんな怖いこと…言われなくてもしませんよ!だって、どう考えても僕達に触るなって睨んでるように見えるじゃないですか!」


ロジェの泣きそうな言葉にロムとケヴィン以外は頷いた。

ケヴィンはなんか感じるのか?とロジェを凝視してみたが、ロジェは目を合わせると顔を真っ赤にし「な、なんですか!?そ、そんなに見ないで下さいよ!ケヴィン団長!」と、怖いと言っていた木の影に隠れた。

すると、森の殺気が弱まった。とケヴィンは感じる。


ロジェの反応は万国共通として癒されるらしい。

隊員を見渡すと水分補給は済ませたようで、いつでも行ける準備をしていた。

そんな隊員を見て笑うと、立ち上がる。


「では、そろそろ行くか。」

「はい!」


ロム以外が元気に返事をした。




*****




《シア…シア…どうしたの?大丈夫?》


急いで塔に帰ってきたジェミーが見たものは、手の中で握り潰す勢いでリーフを掴もうとし、ルイスに止められている、(やつ)れたレイシアの姿だった。


「離してー!おのれリーフめ!この痛さを思い知らせてやる!」

「やめろって、大体ババァだって承認しただろーが。痛さが襲って来るって聞いただろ?」


冷静なルイスの言葉を聞いたレイシアだが、体の節々が痛いという理由で何も耳に入らない。


(だい)の大人でも泣いて転げ回る痛さを、身を持って体感したのだ。

少しくらいはリーフに怒りをぶつけてもいいだろう、というのがレイシアの言い分。


「分かった分かった。痛みが弱まるまで何でも言うこと聞いてやるから。」

「本当に!?」


やっと耳を傾けたレイシアが満面の笑みで振り返り、ルイスは少し後悔した。

何を要求されるのかビクビクしていたが、手を離したレイシアはその場で静かに座り込んだ。


「なんだろう…気持ちが悪い。体が重い…」


膝を曲げて壁に頭を(もた)れながら目線を下に移すレイシアに周りは心配になって近寄る。

ルイスはこの前、これで近寄り鳩尾(みぞおち)を食らったので少し遠目でレイシアの心配をしていたが、レイシアの反応は本物だった。


「おい、大丈夫か?シア。」

「ルイス、窓辺に運んでくれない?風に当たりたいの」


いつもの強気さは無く、持ち上げてみたルイスも少し驚いた。

まるで気絶をしているかのように一つ一つの動作に力が無かったのだ。


《それ、もしかしたら記憶を覗いた後遺症かも…多分一時的なものだと思うんだけど。》


恐る恐る話し出したリーフに、ルイスは納得する。


「シアなら大丈夫だから。椅子を窓の近くに運んでくれ」


その場にいる妖精達がみんな一斉に動き、力を合わせて椅子を窓の近くに置いた。


「ほら、シア座れるか?」

「ん、ありがとう。」


ぐだーっと窓辺に上半身を倒し吐きそうな声を出す。


「吐けば楽だぞ」

「この下には花があるから…吐きたくないの」

「分かった分かった。ジッとしてな。今、苺をとってくるから。苺なら食べれるだろ?」


レイシアは最早、声を出すことも辛いよう。

頷くだけで意思を示した。





レイシアが花に吐きたくないと言った時点で、またまたレイシアの高感度があがりましたね。

レイシア、不幸続き…まぁ、いつも好き勝手してるし大丈夫でしょう。


1番怒りそうなアーシュは今回は見ているだけでした。

さすがにリーフの身の危険を感じたのかな?

レイシアを抑えている時のルイスは人型です。


ケヴィン団長は妖精が見えることを黙っています。

妖精は見える人がいたり、感じる人がいたりと様々です。

ロジェは感じるのかな?


陛下直属の騎士部隊は7つあります。

ケヴィン団長はその7つをまとめる存在。


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