第5章 ⑦
地下道を駆ける。
黒帳の男達は。
すでに逃げ始めていた。
「追うぞ。」
ログが走る。
レオも続く。
角を曲がった、その時だった。
向こうから数人の男が歩いてくる。
古参達だった。
肩には黒帳の男。
二人。
三人。
縄で縛られたまま引きずられている。
ログが足を止める。
「終わったのか。」
古参が笑う。
「こっちはな。」
一人が男を床へ放り投げた。
「逃げ足だけは速かった。」
別の古参が肩を回す。
「久しぶりに動いたら腰にきた。」
「歳だな。」
「まだ若ぇだろ。」
「お前よりはな。」
笑いが起こる。
レオが辺りを見回した。
「……黒帳がいない。」
古参が頷く。
「もう散った。」
「残るのは奥だ。」
ログは頷く。
「行く。」
古参の一人が肩へ手を置いた。
「後は任せた。」
「俺達は酒飲みに帰る。」
「酒代勝負が残ってるからな。」
別の古参が笑う。
「まだ決着ついてねぇ。」
「負けた奴が奢りだ。」
「逃げんなよ。」
「逃げねぇよ。」
ログが少し笑う。
「飲み過ぎるな。」
古参達は吹き出した。
「坊主が言うようになったな。」
「その台詞。」
「昔は俺達が言ってた。」
古参達は手を振る。
「行ってこい。」
「後始末は任せろ。」
ログは一つ頷く。
「分かった。」
帽子を深く被る。
レオがその横に並ぶ。
「行くぞ。」
「ああ。」
二人はさらに奥へ駆け出した。
その背中を見送りながら。
古参の一人がぽつりと笑う。
「ちゃんと育ったな。」
誰も否定しなかった。
「さて。」
「酒飲みに行くか。」
笑い声が地下道へ響いた。




