第4章 ⑥
第4章⑥ 注文
翌日。
ログは地下街を歩いていた。
昨日より静かだった。
だからこそ嫌な静けさだった。
路地へ入る。
その時だった。
「おい」
男が三人。
見覚えのない顔だった。
「最近よ」
「随分走り回ってるらしいな」
ログは立ち止まる。
「何だ」
男が笑う。
「少し話を聞きたくてな」
「断る」
ログは歩き出す。
男が肩へ手を伸ばした瞬間
ログはその腕を払い。
拳を振り抜く。
ドゴッ。
一人が崩れ落ちた。
残った二人が目を見開く。
「なっ……!」
一人が飛び掛かる。
ログは半歩ずれる。
そのまま腹へ拳を叩き込む。
男は声も出せず倒れた。
最後の一人が後退る。
「化け物かよ……!」
「違う」
ログは帽子を被り直す。
「急いでる」
男は踵を返して逃げ出した。
その背中を誰かが捕まえた。
「見つけたぞ」
地下街の常連だった。
「主の注文だ」
男は暴れる。
だが。
もう一人。
さらにもう一人。
いつの間にか常連達が集まっていた。
「離せ!」
「嫌だ」
「助け――!」
あっという間だった。
縄で縛られる。
ログは呆れたように眺める。
「早いな」
常連が笑う。
「やっと主が動いたからな」
その時。
鴉樽の扉が開く。
「主ー!」
別の常連が肩へ男を担いで入ってきた。
ドサッ。
床へ転がす。
「一人、捕まえてきた!」
その直後。
また扉が開く。
「失礼しまーす!」
もう一人の常連が現れる。
肩には、さらに一人。
ドサッ。
帽子を取り一礼した。
「ご注文は、お揃いでしょうか?」
店の中が静まり返る。
ログが捕まえた男を見る。
床には三人。
「……増えてるぞ」
医者が眼鏡を押し上げる。
「注文は一人だったはずだ」
常連は胸を張る。
「本日のサービスです」
レオが頭を抱えた。
「何なんだ、この地下街は……」
誰も否定しない。
主は煙草を灰皿へ押し付けた。
「……まあいい」
ゆっくり立ち上がる。
捕まった三人を見下ろした。
「…喋れ」
店から笑いが消えた。
地下街の流儀で。
反撃が始まる。




