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第4章 ➂

第4章③ 広がる影


地下街から。


笑い声が減った。


日が暮れる前には。


子供達は家へ帰る。


若い女は一人で歩かない。


住人同士が声を掛け合う。


そんな毎日になっていた。


それでも。


事件は止まらない。


「ログ!」


西区。


「今行く!」


「ログ!」


市場。


「分かった!」


地下街中を走る。


だが。


追いつかない。


「北区だ!」


住人が駆け込んでくる。


「ガキが連れて行かれた!」


ログは息を呑む。


「何歳だ!」


「十四だ!」


走る。


全力で。


現場には。


散らばった荷物だけが残っていた。


「もう一人!」


「南区でも!」


「十六の奴が!」


また走る。


間に合わない。


地下街は騒然となった。


「女だけじゃねぇのか」


「何が目的なんだ」


「誰を探してる」


誰にも分からない。


夜。


ようやく鴉樽へ戻る。


店の中は静かだった。


乳母は子供達を抱いたまま席を立たない。


ミナもヴィクを離そうとしない。


主だけが。


煙草を吸っていた。


灰皿には。


吸い殻が山のように積もっている。


ログは椅子へ腰を下ろす。


「女だけじゃなかった」


「十四と十六の男も連れて行かれた」


主は黙って煙を吐く。


返事はない。


ログは天井を見上げた。


「……何を探してる」


誰も答えられなかった。


ただ。


地下街の異変だけは。


少しずつ。


鴉樽へ近付いていた。

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