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第1章⑥

第1章 地下街育児戦争、開幕⑥


部屋は静かだった。


赤ん坊は乳を飲み終え。


安心したように眠っている。


乳母が小さく笑う。


「元気になるわ、この子」


ミナも笑った。


「良かった……」


その時だった。


乳母が首を傾げる。


「そういえば」


「名前は?」


……。


全員が止まる。


主が聞く。


「無いのか」


ミナが俯く。


「聞けなかった」


ログが赤ん坊を見る。


「なら付けるか」


主が腕を組む。


「お前がか」


「ああ」


ログは少し考える。


真剣だった。


全員が待つ。


「ヴィクトリー」


……。


しん。


ミナが瞬きをした。


「長い」


常連。


「長いな」


医者。


「呼びにくい」


乳母。


「赤ちゃんよ?」


ログ。


「駄目か」


主。


「却下」


「早いな」


「長い」


「そこか」


ミナが考える。


「じゃあ……」


「ヴィク?」


……


しん。


主。


「それでいい」


常連。


「覚えやすい」


医者。


「短い」


乳母。


「可愛いじゃない」


ログ。


「……」


「まあ、いいか」


ミナが赤ん坊を見て笑う。


「今日からヴィクね」


眠っていた赤ん坊が。


小さく笑った。


「決まりだな」


主がぽつりと言う。


地下街に。


新しい家族の名前が生まれた。

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