↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/149

閑話 七夕

七夕閑話 願い事


夜だった。


地下街では珍しく。


笹が一本立っていた。


誰かが地上から持ってきたらしい。


短冊も揺れている。


ミナが笑う。


「今日は七夕よ」


主が聞く。


「何だそれは」


「願い事を書く日」


「願えば叶うのか」


「そういう日なの」


主は少し考える。


「なら書く」


紙を受け取る。


迷わない。


さらさら。


ミナが覗く。


「何て書いたの?」


主は平然と答えた。


「地下街の天井が落ちないように」


「現実的!」


ログも紙を受け取る。


しばらく考える。


長い。


珍しく長い。


書き終える。


ミナが覗く。


「何?」


ログは紙を隠した。


「……秘密だ」


「えー、見せてよ」


「駄目だ」


主が横から紙を奪う。


「貸せ」


「返せ!」


主は無言で眺める。


そして。


にやり。


新しい紙を取り出した。


さらさら。


笹へ結ぶ。


ミナが読む。


『もてますように』


「ちょっと主!」


「俺じゃない!」


医者が一言。


「似合ってる」


ヴィク。


「あー!」


ぱちぱち。


ログは頭を抱えた。


「笑うな!」


地下街は笑い声に包まれた。


しばらくして。


騒ぎが落ち着く。


誰もいなくなった笹の前。


風が吹く。


短冊が揺れる。


その中に。


誰にも見せなかった一枚があった。


『俺の願いは、もう叶ってる』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。