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ヴィク編 序章①
ヴィク編
序章 いつもの日常
地下街の朝は早い。
市場には人が集まり。
酒場では朝から酒を飲む馬鹿がいる。
鍛冶場からは金属を打つ音。
水路には荷船。
いつもの景色だった。
「ログ!」
声が飛ぶ。
「荷物運べ!」
「はいはい」
木箱を担ぐ。
一つ。
二つ。
三つ。
重い。
でも慣れていた。
運び終える。
次だ。
「ログ!」
今度は別の店だった。
「樽動かしてくれ!」
「了解」
樽を転がす。
汗を拭く間もない。
地下街では珍しくない一日だった。
「おい、ログ!」
振り返る。
主だった。
「また仕事だ」
「休みは?」
「知らん」
「ですよね」
肩を竦める。
周りから笑い声が上がった。
「便利屋も大変だな」
「右腕様は忙しいな」
「誰が右腕だ」
笑いながら返す。
こんなやり取りも日常だった。
その時だった。
遠くから慌ただしい足音が響く。
一人。
二人。
三人。
誰かが息を切らしながら走ってくる。
「ログ!」
嫌な予感がした。
「東側水路だ!」
「女が倒れてる!」
地下街の空気が、一瞬で変わった。
ログは駆け出す。
何故だか胸騒ぎがした。




