第3章 地下機構 ⑲
真っ赤な光が、地下空間を飲み込んだ。
轟音。
崩落。
熱風。
レオは反射的に頭を庇う。
「うわぁぁぁぁ!!」
主が子供達を抱えるように前へ押し出す。
「走れ!! 止まるな!!」
地下通路が崩れる。
石が落ちる。
赤い灯りが暴れ狂う。
ログは白衣を引き摺ったまま走っていた。
「重っ!!」
白衣。
「扱いが雑だ……!」
「うるせぇ!!」
後ろで、 巨大な赤い目が崩れていく。
ひび割れ。
砕け。
悲鳴みたいな低音。
地下機構。
「接続……維持……不能……」
レオが振り返る。
「止まる……?」
主が即答する。
「止まらねぇ」
次の瞬間。
地下奥から、 最後の赤い腕が伸びた。
ログ達へ向かって来る。
速い。
レオの顔色が消える。
「まだ来るのかよ!!」
ログは振り返る。
白衣引き摺ったまま。
「しつけぇ!!」
赤い腕が迫る。
だが。
主が前へ出た。
煙草を咥えたまま。
静かに。
レオが叫ぶ。
「アンタ何する気だ!!」
主は答えない。
赤い腕が振り下ろされる。
その瞬間。
主の拳が、 赤い腕を正面から叩き潰した。
ドゴォォン!!
地下空間が揺れる。
赤い灯りが散った。
ログが止まる。
「……アンタも大概だろ」
主が煙を吐く。
「地下街だからな」
「便利な言葉にすんな!!」
レオ絶叫。
その間にも崩落は続く。
出口の灯りが見えた。
地下街の古い水路。
湿った風。
ログが叫ぶ。
「見えた!!」
主。
「ガキ先」
子供達が走る。
レオも押し出される。
白衣はまだ引き摺られていた。
「靴が!!」
「知らん!!」
そして。
最後尾。
主が地下奥を振り返る。
赤い目。
崩壊する地下機構。
完全に潰れる直前。
赤い目が、 ほんの一瞬だけ主を見た。
主の目が細くなる。
地下機構。
「……観測……終了……」
次の瞬間。
地下奥が完全に崩落した。
轟音。
赤い灯りが消える。
地下街へ、 静寂が戻った。




