第3章 地下機構 ⑰
地下機構。「警戒度、上昇」
赤い目が激しく脈打つ。
ドクン。
ドクン。
地下空間全体が震え始めた。
レオが顔を引き攣らせる。
「うわ嫌な感じしかしない!!」
ログは鉄骨を肩へ担いだまま、 核を睨む。
「効いてんだろ?」
主が煙を吐く。
「効いてるから焦ってる」
次の瞬間。
地下奥の壁が開いた。
重い音。
ジャリ……
ジャリ……
暗闇の中で、 複数の赤い灯りが点く。
レオ。
「……増えた」
白衣が床から顔を上げ、 青ざめる。
「防衛機構だ……!」
ログ。
「また殴れば――」
「数見ろぉぉぉ!!」
暗闇から、 鉄仮面達が現れる。
だが今までと違った。
動きが速い。
そして。
全員、 赤い線が浮かんでいる。
主の目が細くなる。
「接続済か」
鉄仮面達が、 一斉にログを見る。
地下機構。
「危険個体、排除開始」
ログ。
「何か嫌われてんな」
レオ絶叫。
「自覚あったのか!!」
次の瞬間。
鉄仮面達が一斉に動く。
速い。
ログが鉄骨で受ける。
ドゴォン!!
衝撃で石床が砕けた。
ログの顔から、 初めて軽さが消える。
「……重っ」
主が低く言う。
「若造」
「分かってる」
ログ、 笑う。
かなり悪い顔。
「つまりコレ壊されると困るんだろ?」
レオ。
「嫌な笑い方した!!」
ログは鉄骨を構え直す。
地下機構が脈打つ。
警戒。
敵意。
焦燥。
その全部が、 赤い灯りへ滲んでいた。
ログが口元を歪める。
「じゃあもう一発だ」
ログは鉄骨を構え直す。
地下機構が脈打つ。
レオ絶叫。
「だからその発想やめろ!!」
だが遅い。
ログ、 突っ込む。
鉄仮面達が一斉に動いた。
赤い線が走る。
速い。
地下機構に繋がっているせいか、 動きが今までより洗練されていた。
ログが鉄骨を横薙ぎに振る。
ドゴォン!!
一体吹き飛ぶ。
だが次が来る。
更に次。
ログが舌打ちした。
「面倒くせぇ!!」
主が子供達を背へ庇いながら、 低く言う。
「役人」
「な、何だ!」
「若造が殴る道作れ」
レオが固まる。
「は?」
主は煙を吐く。
「アイツは真っ直ぐしか行かねぇ」
ログ。
「聞こえてんぞ!!」
「曲がれんのか」
「……無理」
レオが天を仰ぐ。
「認めるなよぉぉぉ!!」
その瞬間。
鉄仮面がログの背後へ回る。
レオの顔色が変わった。
「後ろ!!」
ログ、 振り向かない。
代わりに。
主が投げた酒瓶が、 鉄仮面の顔面へ直撃した。
ガシャァン!!
炎が上がる。
鉄仮面がよろめく。
主が静かに言う。
「行け若造」
ログが笑った。
「おう!!」
走る。
一直線。
鉄仮面達が止めようとする。
だが。
主が前へ出た。
煙草を咥えたまま、 鉄仮面の腕を掴む。
ギギギ……
鉄が軋む。
主の目だけが冷たい。
「邪魔だ」
次の瞬間。
鉄仮面が床へ叩き付けられた。
レオが叫ぶ。
「アンタも大概だよ!!」
だがもう、 ログは止まらない。
核の前。
巨大な赤い心臓が、 激しく脈打っていた。
地下機構。
「危険個体、到達」
ログが鉄骨を振り上げる。
「胸強くやられると苦しいんだろ?」
レオ。
「その理論まだ続くの!?」
ログ。
「経験談だからな」
主が後ろで煙を吐く。
「説得力はある」
「増やすなぁぁぁ!!」
そして。
ログが、 全力で振り下ろした。




