第3章 地下機構 ⑪
地下空間が揺れる。
赤い灯りが暴走する。
レオが石板へ噛り付く。
「封印維持機構だ!!」
主が顔をしかめる。
「チッ……」
ログだけが理解してない。
「……つまり?」
レオが半泣きで叫ぶ。
「これ止まったら地下ごと落ちる!!」
ログが数秒黙る。
そして奥を見る。
逃げようとしている白衣。
ログが指差す。
「じゃあアイツ知ってんだろ」
レオと主が同時に止める。
「待て若造」
「待て下働き」
ログ、 もう走ってる。
「待ってたら逃げる!!」
白衣が振り返る。
その瞬間。
ログの飛び蹴り。
ドゴォン!!
白衣吹っ飛ぶ。
地下空間へ転がる。
白衣、 人生で初めてくらい困惑した顔をする。
「な……」
ログが胸倉掴む。
「戻せ」
「貴方は理解――」
「いいから戻せ!!」
地下空間また揺れる。
レオ絶叫。
「説明してる時間が無いんだよ!!」
主が煙草咥え直しながら吐き捨てる。
「役人、お前も大概地下街染まってきたな」
地下空間へ、赤い灯りが伸びる。
細く。
生き物みたいに。
ログの足元へ絡み付こうとした。
その瞬間。
子供達が一斉に怯えた。
「駄目!!」
小さな悲鳴。
「逃げて!!」
主の目が細くなる。
レオが青ざめる。
「若造、触るな!!」
ログだけが理解してない。
「だから何なんだよこれ!!」
赤い灯りが、 ゆっくりログの足へ触れた。
ドクン。
地下空間が脈打つ。
その瞬間。
ログの頭へ、 知らない音が流れ込んだ。
鎖。
赤い部屋。
泣き声。
誰かの声。
“繋げ”
ログの顔から、 一瞬で表情が消える。
主が動く。
「若造!!」
だが次の瞬間。
ログが赤い灯りを、 思い切り踏み付けた。
ブチッ!!
地下空間へ、 嫌な音が響く。
全員止まる。
ログは顔をしかめたまま、 足元を見る。
「……気持ち悪ぃ」
赤い灯りが暴れる。
まるで痛がるみたいに。
白衣が初めて叫んだ。
「何をした!!」
ログが顔を上げる。
「知らん!!」
そして。
「取り敢えずムカついた!!」
ログ、 走る。
赤い灯りを引き千切りながら、 白衣へ突っ込む。
レオ絶叫。
「だからお前はそうなるぅぅぅ!!」
主が煙を吐きながら、 低く笑った。
「いいぞ若造」
地下空間の奥で、 巨大な赤い目がゆっくり細くなる。
まるで。
初めて興味を持ったみたいに。




