第3章 地下機構 ①
水音が響いていた。
ログとレオは、 暗い水路を走っている。
地下街の水路は狭い。
湿った石壁。
腐った木材。
時々、 何処からか冷たい風が吹く。
ログが先頭だった。
かなり迷い無く走っている。
レオは息を切らしながら叫んだ。
「待て下働き!!」
「誰が下働きだ!!」
声が水路へ反響する。
ログは止まらない。
「こっちだ!」
「何で分かる!!」
「空気!!」
「分かるか!!」
その瞬間。
ガコン。
嫌な音がした。
ログの顔が固まる。
「……あ」
床が抜けた。
「うおぁぁぁぁぁ!?」
ログ消える。
レオも巻き込まれる。
「ちょっ――!!」
崩れる石。
水音。
暗転。
そして。
ドボン!!
冷たい水へ叩き込まれた。
数秒。
咳き込む声だけが響く。
レオが水面から顔を出す。
「げほっ……!」
暗い。
上の穴は、 かなり遠かった。
ログが壁へしがみ付きながら呻く。
「痛ぇ……」
「お前ぇぇぇぇ!!」
レオの怒鳴りが反響する。
「空気じゃなかったのか!!」
「途中まで合ってた!!」
「途中!?」
地下水路へ声が響く。
だが次の瞬間。
二人とも黙った。
目の前。
暗い水路の奥。
そこに、 赤い光が揺れていた。
ぼんやりと。
霧の中みたいに。
見た事の無い灯りだった。
ログがゆっくり立ち上がる。
さっきまでの軽さが消えている。
レオも息を呑んだ。
水路の奥から、 微かに鎖の音が聞こえる。
ジャリ……
ジャリ……
そして。
人の声。
低い。
知らない言葉。
地下街の更に下。
誰も知らない場所。
ログは小さく息を吐く。
そして、 珍しく本気で顔をしかめた。
「……何だよここ」




