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第6章 ⑭
数日後。
地下街。
いつもの酒場。
いつもの騒ぎ。
常連が酒を飲んでいた。
「おい。」
男が通る。
見慣れない顔だった。
「誰だ。」
「知らねぇ。」
一人が立ち上がる。
男の横を通り過ぎる。
すれ違いざま。
小さく囁いた。
「……スヴェトグラス。」
男は首をかしげる。
「何だ?」
そのまま歩いて行く。
「外れか。」
「酒一本。」
周りが笑う。
「また負けたな。」
男は何のことか分からないまま去って行った。
その日の夕方。
今度は別の男。
護衛が立ち上がる。
男へ近付く。
すれ違いざま。
「……スヴェトグラス。」
男の目が見開いた。
反射だった。
「スヴェトグラ――」
腕へ。
赤い線が浮かぶ。
酒場が静かになる。
赤い線は肩まで伸びた。
「黙れ。」
護衛が低く言う。
赤い線が消えた。
男はその場へ崩れ落ちた。
少しだけ間。
「……当たりか。」
誰かが呟く。
「一本だな。」
「ちぇっ。」
酒瓶が一本。
護衛へ渡る。
常連が男を担ぎ上げた。
「鴉樽だ。」
「ああ。」
誰も慌てない。
酒場はすぐに。
また笑い声で満ちた。




