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第6章 ⑨
薄暗い部屋。
男が一人、膝をついていた。
「報告します」
部屋の奥。
返事はない。
男は続ける。
「伝言役」
「確認役」
「共に連絡が途絶えました」
静かな声が返る。
「……死亡か」
男は首を振る。
「分かりません」
「ただ」
「接続が消えました」
部屋の空気が変わる。
「消えた?」
「はい」
「確認できません」
「これまで、そのような例はありませんでした」
沈黙。
誰も口を開かない。
やがて低い声が響く。
「鴉樽」
男は頷く。
「はい」
「近付いた者だけです」
もう一度沈黙。
「しばらく手を引け」
男が顔を上げる。
「ですが」
「命令だ」
男は頭を下げた。
「承知しました」
「拐った者はどうしましょう」
長い沈黙。
「……まだ生かしておけ」
男は頭を下げた。
「承知しました」




