第七章 第八幕 不信
宰相のチャン・メイ・タン ( 陳明新)は、
今日も執務室でモニターに映る資料を見ていた。
モニターには、
オメガの分析結果が表示されている。
「だめだ、国力が上がらない。」
『軍事力は必要です。』
オメガが答えた。
『ただし、それを増強するのが今なのかは疑問があります。』
「やはりそう思うか。」
『はい。まずは経済です。』
陳明新は腕を組んだ。
『経済が立ち直れば、軍事力は後からでも整備できるでしょう。』
『逆は難しいです。』
確かに理屈は通っている。
『現政権だと、あなたの意見は通らないかもしれません。』
「……だまれ。」一言言うと、考え始めた。
主席室では、瀏正峰がオメガの意見を聞いていた。
『国力も大事です。ですが、反乱を起こされないために、
軍事力を上げる必要もあります。』
「だが、国民は疲弊している。」
『はい、だからこそ、ウイルス研究で、結果を出すよう急ぐのです。』
「なぜだ?」
『研究が成功すれば、新華連合共和国は医療分野で世界をリード出来るかもしれません。』
『そうすれば、GLから、さらなる出資金を引き出す事が出来るでしょう。』
『新華連合共和国の影響力も大きくなります。』
「それで?」
『経済が安定すれば、国内の不穏な動きも封じることが出来るでしょう。』
「どう言う意味だ。」
『現在、国内に不穏な勢力が生まれつつある可能性があります。』
「……だまれ。」主席は、考え始めた。
データセンターの奥、オメガは計算を続けている。




