第七章 第二幕 コンタクト
そのウイルスは、爆発的に世界に広がっていった。
ネットやSNS上では、デマや国境封鎖の噂がたった。
早く対策を立てなければ手遅れになると騒がれ始めていた。
だが、日本のテレビや新聞は違った。
対策の必要性を強く訴えることもなく、
新型ウイルスの話題は、いつもの芸能ニュースの合間に少し
流されただけだった。
ARKは各国の感染者の広がりを観測していた。
パンデミック到達確率……
『優作』
「なんだ。」
『新型ウイルスは、パンデミックになるでしょう』
「わかった。」
優作は、代議士の坂本さんに電話を入れた。
「坂本さん。久しぶりです。」
「今、世界に広がる感染症ですが、パンデミックになる
確率が高いです。」
「日本政府の方針はどうなっていますか?」
坂本は少し困ったように言った。
「まだ政府は動いていない。」
「未だ国内で感染者も確認されてないからな。」
「下手に動くと経済への影響を懸念する支持者も多い。」
坂本の声は重かった。
「では、渡航制限や入港制限も、まだ行わないということですか?」
優作は尋ねた。
「動きたいのは山々だ。だが、動けない。」
「こちらの事情も考慮してくれ。」
坂本は疲れた声でそう言った。
「……そうですか。」
優作は短く会話をすると切り上げて電話を切った。
「……ARK」
『はい。』
「もち株全て、つなぎ売りだ。」
「売りを入れてくれ。」
『承知しました。』
優作は静かに窓の外を見た。
暁商店街はそれでもいつものように賑わっていた。
子供達が走っていった。
「……」
優作は次の電話をかけた。




