第六章 第六幕 握手
数日後、瀬戸は、向井を拠点に連れて来ていた。
「大企業とは思えない本社の規模だな」
向井は周囲を見渡した。
暁商店街を瀬戸と並んで歩いて来た。
二人の前に、元喫茶店を改造した暁グループの
拠点があった。
向井はしばらくその建物を眺めた。
「まぁ、信じているが、信じていいんだよな」
向井は冗談混じりに言った。
瀬戸は苦笑いした。
「信じて大丈夫です。」
「ここが我が社の原点ですよ。」
二人は拠点の中に入っていった。
中には、里美と庄屋、そして優作がいた。
向井は息を呑んだ。
だが、息を吐き、また瀬戸に付いていった。
優作は、瀬戸と向井に気がつくと、二人の方に歩いていった。
「よく来てくれました。お待ちしていました。」
向井は軽く頭を下げた。
(腰が低い人だな)
「日本には、限界集落や、コストが合わないと、
荷物配送が難しい場所が多数存在します。
私は全て技術でなんとかしたいと思っています。」
「ぜひ、力を貸してください。」
「私は、自分のドローンの性能を上げたいと思っています。
そのためには全固体電池が必要です。力を貸してもらえますか?」
向井は、正面から自分の気持ちを伝えた。
「もちろんです。よろしくお願いします。」
優作は手を差し出した。
二人はがっちりと握手した。
里美は二人の握手を見ながら思った。
(技術畑の二人だから気が合うと思った。
でも……私がCEOなんだけどな。)
暁商店街は、まだ夏の暑さを残していた。




