第五章第四幕 目覚め
目を覚ました。腹部に痛みが走る。
「ああ、私、撃たれたのかな?」里美はそう思った。
天井が白い、左手には点滴が付いていた。
そこが病院だとすぐに理解できた。
周りを見渡した。
誰も居なかった。しばらくすると優作さんが入ってきた。
虚な目、……私はあの目を知っている。ハンバーガー屋を三日休んだ日、
優作さんのアパートに訪ねて行った時の目だ。
優作さんがこちらを見た。私も見た。目が合った。
「……すまない。」優作は謝った。
少し間があった。点滴が規則正しく落ちていた。
優作が口を開いた。「俺のせいだ。」
「……」里美はしばらく何も言わなかった。
「私、傷物になっちゃったね。」少し微笑みながら言った。
「すまない。」優作は、それ以上何も言わなかった。
「じゃあ、責任とってくれる?」里美はじっと優作の目を見た。
「……責任取ります。」優作は目を見ずに返した。
里美は少し笑った。「私からプロポーズするとは思わなかった。」
そして、真剣な顔で、「最初から覚悟はしてました。」と言った。
「あなたについていくと決めたのは私。」
「危険かもしれないのは最初から知っていました。」
「ありきたりの言葉だけど、私の人生は私がきめるのよ。」
「もう、私たちは走り出してるの。ゴールはわからない、でも—」
「まず決める。決めたら迷わない。」
「わかった?」里美は優作に言った。
優作の目から雫が落ちていた。
「……ああ、ありがとう」優作は絞り出すような声で言った。
数分後、
しばらく見つめあっていたが、瀬戸が病室の扉を開いた。
「優作さん時間です。」面会時間が少し過ぎていた。
瀬戸は里美が目を覚ましているのを見ると、
「医者を呼んできます。」とすぐに出ていった。
医者は病室に入ると、簡単な検査をした。
「問題ありません。ゆっくり休んでください。」
廊下で聞き耳を立てていた全員が安心した。
里美が入院している間、暁グループは、優作が代表代理を務めた。
多忙の中、ホライズンテクノロジーから、マイケルが訪ねてきた。
優作は少し眉を顰めながら、「どうして社長がこない?」と言った。
マイケルは少し間を置いた。「神崎代表の件は大変遺憾に思っています。」
「今回の件に関しては、当社としましては、全面的に協力させていただきます。」
「それで?」優作は一言だけ言った。
マイケルは続けた。「私は当社から、全権を委ねられてこちらに伺っています。」
「なぜ、リン・ウェイが凶行におよんだのか、内部資料を調べました。
不自然に、データが改竄消去されていました。」
「ARK。」優作は尋ねた。
『はい。』
「ネットワークでお前が入り込めない不自然な所がないか調べてくれ。」
『承知しました。』
『……私が入り込めない不自然な場所があります。
これは私のコードを理解していなければ不可能です。』
「……どういう意味だ」優作が聞いた。
『推測ですが、わたしの生まれた場所に関係があります。』
「つまり……。」
『GL研究開発部です。』




