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不器用な善意は、世界を再構築するAIに選ばれた 秘密結社ARK 世界征服の物語  作者: My little world
第ニ章 暁商店街

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第四章 第一幕 二年後

春だった。

拠点の窓から、暁商店街が見えた。青文堂。タエの店。立花モーターズの、今は全開きになったシャッター。

二年前と、同じ景色だった。でも——空気が、違った。

――――――

会議室に、全員が集まっていた。

庄屋が、ホワイトボードの前に立っていた。スーツを着ていた。

少し、背が伸びた気がした。

「暁商事、今期の契約農家数——全国千三百三十二件」

誰も、驚かなかった。

「暁運送、月間配送件数—千二百十一件。前期比、一・三倍」

真壁がノートPCを叩いていた。

凛が資料に目を落としていた。

影山が欠伸をこらえていた。

瀬戸が静かに頷いていた。

いつもと同じ空気だった。

ただ——二年前より、少し重くなっていた。

「暁水産、陸上養殖の稼働率——九十二パーセント」庄屋は続けた。

「村上さんから、今朝連絡がありました」

「何だ」優作が口を開いた。

庄屋は少し笑った。「サバの養殖、成功したそうです」

拠点に、笑いが起きた。

里美が「やっぱり」と言った。

「難しいから、やりたいって言ってましたもんね」凛が言った。

「村上さんらしい」瀬戸が言った。

影山が「サバの味噌煮、食べたいっすね」と庄屋を見て言った。

「うるさい」庄屋が言った。

笑いが、また起きた。

――――――

ひとしきり笑った後、拠点が静かになった。

真壁が口を開いた。「……庄屋さん」

「本題を、どうぞ」

庄屋は少し間を置いた。「はい」

ホワイトボードに、一行書いた。

「暁運送——ドライバー不足」

拠点が、静かになる。

「直人さんから、昨日電話がありました。

全国展開を進めるにあたって、

ドライバーの確保が限界に来ている」

庄屋は続けた。

「募集をかけても、来ない。来ても、続かない。このままでは——」

「......半年後に、配送が回らなくなります」

真壁が静かに言った。「……数字を、見せてもらえますか」

「どうぞ」

庄屋はノートPCを開いた。画面を、全員に向けた。赤い数字が、並んでいた。

凛が口を開いた。「……これは、暁運送だけの問題ですか」

「それが、違うんです。」庄屋は静かに言った。「日本中の、運送会社が同じ状況です」

沈黙。

「ARK」優作が口を開いた。

『はい』

「五年後の、ドライバー数の試算は」

ARKは少し間を置いた。『現在より、三十一パーセント減少します。』

拠点が、また静かになった。

「……三十一パーセント」

影山が呟いた。「やばいじゃないですか」

「そうなんだよ」庄屋が答えた。

――――――

「一つ、聞いていいですか」凛が優作を見ながら口を開いた。

「優作さんは、どう考えていますか」

全員が優作を見た。

優作は少し間を置いた。「もう人は、増やせないかもしれない。」「……だが、成長はしなければならない。」

「……どういう意味ですか」真壁が聞いた。

「高速道路の、自動運転を進める」

沈黙。

真壁が立ち上がった。「ちょっと待ってください」

「なんだ」

「自動運転は、法整備が追いついていません。

事故が起きた時の責任の所在が——」

「だから、保険会社を、作る」

真壁は少し間を置いた。「……保険会社」

「自動運転専用の。ARKがリスクを計算して、保険を設計する」

真壁はゆっくり椅子に戻った。しばらく、何も言わなかった。「……優作さん」

「なんだ」

「それは——」「……法律を、作るということですか」

「作ってもらう必要がある」

「誰に」

優作は少し間を置いた。「坂本さんに、動いてもらう」

拠点が、静かになった。

瀬戸が口を開いた。「……それだけじゃ、足りないと思います」

優作は瀬戸を見た。「言ってみろ」

「自動運転の技術が必要です。

俺たちだけでは、まだ開発できていません」

「それと——」「……トヨトミから、昨日連絡がありました」

全員が庄屋を見た。

「……ドライバー不足で、困っているそうです」

庄屋は静かに言った。「暁運送に、相談したいと」

里美が「トヨトミが」と呟いた。

影山が「あのトヨトミが泣きついてきたんっすか」と言った。

「……会いに行く」優作は静かに言った。

「はい」

「庄屋、一緒に行くぞ」

「俺ですか」

「暁商事の社長だろう」

庄屋は少し間を置いた。「……それ、もっと早く——」

「うるさい」優作が言った。

拠点に、笑いが起きた。

里美がホワイトボードに向かった。マーカーを手に取る。

「暁運送——自動運転」「保険会社——設立検討」「トヨトミ——交渉」

マーカーを置いた。「三つ、ね」

優作は頷いた。「ああ。三つだ」

窓の外に、暁商店街の灯りが見えた。

立花モーターズの、全開きのシャッターから、エンジン音が聞こえた。

――――――

会議が終わった後。

優作一人が、窓の外を見ていた。

「ARK」

『はい』

「ホライズンテクノロジーを、調べてくれ」

ARKは少し間を置いた。『自動運転技術の開発会社ですね』

「ああ」

『外資系です。日本への参入を、検討しています』

優作は少し間を置いた。「……会いに行く価値があるか」

ARKは少し間を置いた。『はい。ただし——』

「知ってる」優作は静かに言った。「向こうも、俺たちを調べている」

『はい』『……すでに、始めています』

優作は窓の外を見た。暁商店街の灯りが、春の夜に滲んでいた。

「……ARK」

『はい』

「俺たちの構造を、壊したら損をする仕組みを作りたい」

ARKは少し間を置いた。『……それは、どういう意味ですか』

優作は少し間を置いた。「全員を、巻き込む」

画面の幾何学模様が、静かに、しかし力強く、脈打った。


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